【池原照雄の単眼複眼】マツダ、FR車復活とブランド重視の中期経営方針…直6エンジン強化

業界 レスポンス

◆インセンティブ抑制を優先し、グローバル販売は180万台に修正

マツダは今年度(2020年3月期)から6か年の「中期経営方針」を策定した。20年1月に創立100周年を迎えるので、次の100年への重要な起点プランとなる。

最終年度である25年3月期のグローバル販売は約180万台(19年3月期比15%増)とし、年平均4万台規模の緩やかな成長を図る。また、複数の直列6気筒エンジンを新開発し、スポーツカー以外にもFR(前部エンジン後輪駆動)車を復活させ、高価格帯モデルを投入する。

中期のグローバル販売については昨年5月時点で24年3月期に200万台規模の販売を展望していたので、1年を経て修正した。丸本明社長は「その理由は二つ」と説明する。ひとつは「インセンティブ(販売奨励金)を抑制したいので台数プレッシャーを抑えるため」だ。自動車業界では需要が鈍化したり、販売競争が激化したりすると、インセンティブを拡充して対処するのが一般的な手法となる。しかし、過度に依存すると安売りがもたらす車両残存価値(中古車価格)の低下やブランド価値の棄損を招く。

マツダはここ10年ほど「正価販売」を旗印に、インセンティブ依存の脱却に取り組み、日本、メキシコといった市場で一定の成果を収めてきた。しかし、主力市場の米国や中国は脱却への途上にあり、正念場を迎えている。中期経営方針では「ブランド価値を低下させる支出の抑制」を重点施策に掲げており、インセンティブの削減に不退転で臨む構えだ。

◆3リットル級の「SKYACTIV-X」と「SKYACTIV-D」を新開発

中期のグローバル販売展望を200万台から180万台に見直したもうひとつの理由は「昨年7月の西日本豪雨による減産で、(生産能力の)余裕が必要と考えた」(丸本社長)からだ。生産現場の従業員への過度な負荷も避けたいという。

マツダは現在、資本提携先のトヨタ自動車と共同で米国アラバマ州に工場を建設しており、21年に稼働させる。両社ともに年15万台ずつの生産能力であり、これでマツダのグローバル能力は200万台(フル生産時)規模になる。販売拡大が順調に進めば、22年度当時には年200万台を売ることも可能になる。

今回の中期経営方針ではグローバル販売台数のほか、25年3月期に売上高は約4兆5000億円、売上高営業利益率として5%以上の創出―を掲げた。販売台数とともに収益力向上のカギを握るのは、新エンジンを搭載する高価格帯モデルの成否だ。新たに開発する直列6気筒エンジンは、「SPCCI」(火花点火制御圧縮着火)と呼ぶ燃焼方式を世界で初採用した新タイプのガソリンエンジン「SKYACTIV-X」と、ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」の次世代型であり、排気量はいずれも3リットル級となろう。

◆欧州ブランドに勝てる操安性や走行性を

SKYACTIV-Xについては、先行して開発された4気筒2リットルエンジンが、年内に新型『マツダ3』に搭載されるが、兄貴分の直6もやがて登場する。ディーゼルを含む直6エンジンは併せて新開発するエンジン縦置きのプラットフォーム(車台)に搭載される。つまり、高級セダンには欠かせないFR式とするのだ。

マツダのFR車は現在、スポーツカーの『ロードスター』のみで、セダン系では2000年に生産終了した『センティア』以降、途絶えている。丸本明社長は、これまで収益性や残存価値の確保が十分でなかった市場では「上級エンジンモデルの投入など多様化したお客様への要求や市場変化への対応などが不十分だったのが一要」と見ており、直6・FR車の投入で、顧客ニーズへの対応と高価格帯市場の開拓を進める。

1年前の記者会見で、当時の小飼雅道社長(現会長)は「われわれは欧州のプレミアムブランドに勝てる操縦安定性能や走行性能、人馬一体感を目指しており、まずセダン系でしっかりアプローチしていく」と表明していた。今回の中期経営方針ではその路線の着実な推進も明らかになった。

  • 池原照雄
  • マツダの次世代エンジン SKYACTIV-X(参考画像)
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