ZF、電動車向け新開発2速トランスミッション発表…航続5%向上
ZFは、ドイツで開催した「グローバル・テクノロジー・デイ2019」において、電動乗用車向けの新開発2速トランスミッションを発表した。
この新開発の2速トランスミッションは、最大出力190hpを発生する新型モーター、パワーエレクトロニクス(インバーター)と組み合わせられる。現在、EVのトランスミッションは、固定ギアのシングルスピード(1速)が主流。これに対して、新しい2速機構はエネルギー消費が削減されるため、1速ユニットと比較して航続が最大5%向上するという。
1速から2速へのギアチェンジは時速70kmで行われる。車両のCAN通信に接続することで、自動車メーカーの要望に応じてデジタルマップやGPSなどと連携した独自のシフトプログラムを設定することも可能だ。例えば、次の充電スポットまでの距離を計算して必要に応じてエコモードに切り替えたり、高速道路上では地形に応じた効率の良い変速を行ったりすることもできる。また、システムのソフトウェアは、クラウドへの接続によってアップデートが可能だ。
コンパクトに設計された2速駆動システムは、室内空間を広く取ることが重要な小型乗用車にメリットが大きい。また、自動車メーカーの性能に対するニーズにも対応する。これまで自動車メーカーは、トルクかトップスピードのどちらかを重視した電動モーターの選択が必要だった。この電動ドライブはその問題を解決する。エネルギー効率の向上によって、現状と同じサイズのバッテリーを搭載して航続を延ばすか、航続をそのままに、小型のバッテリーを使用するか、自動車メーカーには2つの選択肢が生まれる、としている。
- 森脇稔