【池原照雄の単眼複眼】ホンダやトヨタ、中古車強化で系列販社を支援---新車市場縮小にらみ

業界 レスポンス

◆全国ネットで在庫情報を共有するホンダ

自動車メーカー各社が国内系列販売会社の中古車事業の強化を支援する動きを活発化させている。中古車販売がもたらす利益は、直接的にはメーカーの収益にはならないものの、販売会社の体力を強めることで新車販売の促進につながる。少子高齢化の加速で、国内新車市場の縮小と競争激化は避けられず、自動車各社は相次いで中古車部門の強化策を進めている。

ホンダは自社ブランド中古車の認定制度や全国のホンダ販売会社で中古車の在庫を共有するネットワーク化など、中古車事業の新施策を11月から順次展開する。ホンダ販社が良質な中古車を認定する仕組みはこれまでもあったが、より厳格な制度に刷新し、「U-Select(ユーセレクト)」という名称で展開する。

新制度ではホンダ車のみを対象とし、車両骨格部分の修理歴がなく、日本自動車査定協会など第3者機関による「車両状態証明書」が発行されていることを認定条件とする。さらに、新車登録から5年未満などの条件をクリアした「ユーセレクト・プレミアム」という上級グレードも導入する。認定車にはいずれも1年または2年の無料保証を付け、ユーザーが安心して選べるようにし、販売増につなげる。

もう一方の在庫共有化は、全国で中古車の情報をネットワーク化し、オールホンダでの商機を逃さないようにする狙いだ。現状では販社の「ホンダカーズ」各社が個別に管理しているデータを連携させる。2020年夏にはこの在庫情報を一般ユーザーにも公開し、好みの中古車を豊富な品ぞろえから選んでもらえるようにする。

自動車メーカーと系列販社によるこうした在庫共有化は、「全国規模での導入は相当珍しい仕組み」(日本本部販売部の岩崎則彦部長)になるという。ホンダは一連の事業強化策により、ホンダ販社による中古車販売(一部卸売含む)を2018年度実績の15万8000台から23年度には20万台へと、5か年で27%成長させる計画だ。

◆販社改革へトヨタも中古車テコ入れを重視

18年の新車販売が157万台、シェアは30%という日本市場最強のトヨタ自動車も、今後の国内事業強化のポイントとして中古車部門を掲げている。トヨタは新車の系列販社を「トヨタ店」から「ネッツ店」に至る4系列(他に高級車の「レクサス店」)としてきたが、国内需要の縮小やシェアリングなどクルマの使用形態の変化に対応するため、4系列の扱い車種を全車併売とする。

その実施時期は従来、2022年から25年の間としていたが、販社改革を急ぐため、この6月には20年5月に早める方針とした。トヨタは総市場の縮小が免れない2020年代にも国内販売は150万台レベルと、現状並みの維持を目指している。かねて豊田章男社長が「石にかじりついても守りたい」としている「国内生産300万台」のためには、その半数を国内市場で賄う必要があるからだ。

トヨタは、系列販社の経営が健全な今のうちに更に体質を強めるべきと見ており、販社の再編にもつながる全車種併売の改革策を打ち出した。改革は新車部門にとどまらず、中古車やサービス(整備や部品販売)部門での支援も行う構えだ。

◆中古車粗利の60%は専業者などメーカー系列外が握る

日本自動車販売協会の統計によると、18年の中古車の登録台数(一部業者間取引を含む、除く軽自動車)は384万台で、同年の新車登録台数の335万台を上回る規模にある。ホンダやトヨタが、今やそうした中古車部門のテコ入れが不可欠と判断しているのは、「ガリバー」のブランドで事業展開するIDOM(東京都千代田区)など中古車専業者の台頭が著しいからだ。

本来、メーカー系列の販社で多くが発生する中古車だが、ユーザーからの直接買い取りや全国ネットでの豊富な在庫などを武器に、専業者がビジネスの主役となっている。ホンダの調べによると、国内の新車販売がもたらす粗利のうちメーカー系列販社のシェアは92%に及ぶ。だが、中古車販売での粗利となるとメーカー系列販社のシェアは40%で、過半数の60%は専業者などが握っている。

ただ、視点を変えれば、メーカー系の販社にとって中古車部門拡大の余地は、大いにあるということだ。まずは、「外部に流出する中古車を少しでも内部還流させるようにしたい」(ホンダの岩崎部長)という。そこからトヨタも含む自動車メーカー各社による中古車巻き返しのアプローチが始まる。

  • 池原照雄
  • 中古車強化も課題(千葉県のトヨペット店)《撮影 池原照雄》
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