【竹岡圭の大きな夢を】特別編・ヘイキ・コバライネン選手「ラリーへの参戦は自分へのチャレンジ」

モータースポーツ レスポンス

ヘイキ・コバライネンさんと言えば、誰もが知っている元F1パイロットですよね。そのコバライネンさんが、なぜか全日本ラリー選手権に参戦中なんですよ。誤解を恐れずに言っちゃうと「なぜラリー?」「なぜ日本の?」と、正直なんでだろう? がたくさんついちゃって前から不思議に思っていたのですが、とっても気さくなコバライネンさんに、今回その理由を伺うことができました〜。

◆モータースポーツへの興味は5歳の頃から

そもそもコバライネンさんがモータースポーツに興味を持ったと、しっかり記憶があるのは5歳の頃。「お父さんがフィンランドのローカルラリーに参戦されていたのを観たんだよ」と、すぐそばにモータースポーツに触れ合う環境があったんですね。さすがはフィンランド! 

自分でドライブしたのは6歳の時。レーシングカートのレースに参戦されたのが、ご自身のモータースポーツの始まりだったそうです。だからフォーミュラカーの頂点を目指したの? と思ったのですが、レーシングカートだったのは子供が乗れたのはそれしかないからであって、最初に観たのはラリー。ご自分でもなぜF1に向かったのかは定かじゃないんだとか(笑)。

そしてその後も、レーシングカートのレースを続けることになったコバライネンさん。ターニングポイントになったのは、2002年にルノーのF1ジュニアチームに入れたことだったんだとか。最初は7名選抜メンバーがいたのに、最後はコバライネンさんおひとりだけが勝ち残り、その後の目覚ましい活躍に続いていくわけですが、そのF1GPでの活躍ぶりは皆さんご存知だと思うので、今回はなぜ日本? なぜラリーということに的を絞ってお話を伺ってみました。

コバライネンさんが最初に日本に来られたのは、2000年のことだったそう。「ツインリンクもてぎのレーシングカートのレースに参戦したんだけど、その時のメンバーがロバート・クビサ、ルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグ…」って、ビッグネームが出てくる、出てくる(笑)。次に訪れたのは2006年に幕張メッセと富士スピードウェイで行われたマイルドセブンのイベント。「F1をデモンストレーションで走らせたんだけど、その時はフィジケラと一緒だったな〜」って、これまたビッグネーム(笑)。

「そうそう、富士スピードウェイのイベントの時は、当時まだ恋人だった(現在は奥様)キャサリンと一緒でね、2シーターのフォーミュラカーに乗せたんだけど、キャサリンはエキサイティング!!って超喜んで。新婚旅行は二人だけでラスベガスに行ったんだけど、オンラインでお互いの両親につないで中継したりして」って、これってコロナ禍のいま流行りのヤツですよね!? メチャクチャ先取りじゃないですか。ちなみにコバライネンさんは超愛妻家だそうで、奥様の話になるとお話が止まりません(笑)。

◆日本のスーパーGT、全日本ラリーを選んだ理由

もとい。レースのお話に戻しますと、F1を卒業された後、なぜ日本のモータースポーツを選ばれたのか伺ってみました。

「F1の後、まだレースがしたかったし、参戦するなら勝ちたかったから、プロフェッショナルなチームで乗りたかったんだ。マニファクチャラーがきちんとサポートしている大きなレースって、世界でもそんなに数はないんだよね。そういう風に考えている時に、サードがコンタクトしてきてくれたんだ。その時は実はDTMからも誘われてたから、DTMかスーパーGTか正直迷ったんだけど、日本のスーパーGTの方が楽しそうに感じたんだよ」

「DTMはスプリントレースでしょ、ル・マンは長すぎるし(笑)、スーパーGTはちょうどいいと思ったんだ。それにトヨタのチームっていうところにも惹かれたんだ。トヨタだったらスーパーGT以外にも、いろいろな選択肢があると思ったんだよ」とのこと。なるほど、フォーミュラカーでは頂点を極めてしまったから、次はツーリングカー。こうやって理由を伺うと納得の選択ではあります。

でもそこまではいいとして、なんで全日本ラリー選手権? という疑問が残りますよね。「子供の頃、父親がラリーをやっているのを見ていたこともあったし、実は2015年にフィンランドでラリーに出たんだよね。それに、2007年のWRCの時にTOTALがルノーとシトロエンにスポンサードしてくれていた縁で、セバスチャン・ローブとペター・ソルベルグはF1、僕はWRCカーのテストをしたことがあるんだよ。だからラリーとは無縁ではなかったんだよ」とのこと。またもやビッグネームがサラリと出てきました(笑)。

「それでね、スーパーGTって毎日やってるわけじゃないでしょ(笑)。GTのスケジュールが空いているところに、ラリーのスケジュールを入れたらどうかな?と思って、自分からサードに提案してみたんだ。“ラリーはどうかな?って”(笑)」という提案は見事に通り、2016年はサードとラックがジョイントして何戦か参戦。

その後2017年、2018年はサードからのエントリーはなかったそうなのですが、現在コバライネンさんが乗っていらっしゃるRALLY TEAM AICELLOのオーナー牧野太宣さんが、ご自分がラリーに参戦しようと思い、ラックでラリーカーを制作していたところ「新城ラリーに出たい人がいるからクルマ貸してもらえないかな? とオファーがありましてね、それがなんとヘイキ・コバライネンさんだったんですよ! 二つ返事でお貸ししまして、それがご縁で翌年からRALLY TEAM AICELLOのドライバーとして乗っていただくことになりました」とは、牧野さんの弁。いやはやなんともビッグな出逢いですよね。

◆ラリーは難しいからこそやりがいがある

そんな経緯で2019年からRALLY TEAM AICELLOで参戦中のコバライネンさんですが「メインプログラムもキャリアもGTだけれど、ラリーは好きだし、GTの練習にもなる。他のGTドライバーがSFとかS耐やってるのと同じで、GTの練習カテゴリーとしてラリーを選んだんだ。それに何と言っても、ラリーは楽しくて大好きだからね」とのこと。

ちなみにいちばん好きなカテゴリーを伺ったところ「それはもちろんF1だよ。いちばん楽しいよ。いちばんプロフェッショナルだし、軽いし、パワーもあるし、唯一無二の特殊で特別なレースだと思う」と、予想通りのお答えが返ってきました。

「サーキットレースのいいところは、ターマックのハイグリップなフィーリングで走れるというドライバーとして楽しいところ、ラリーのいいところは、コ・ドライバーやチームとのチームワークが楽しいところ。逆にサーキットレースのイヤなところは、実際乗れる時間に対して、待つ時間が長いところかな。ラリーはペースノート作りが難しいけれど、いっぱい乗れるから楽しいよ。レースとラリーはまったく違うチャレンジだよね」と、もうとにかく走るのが好きなご様子。

「レッキも好きだよ。レッキはとっても重要だけど、いいペースノートを作るのは難しいよね。最初のペースノートは、マージンをたくさん取ったコーションノートに近いものになりがち。翌年はもっとチャレンジングなペースノートが作れるから、もっと速くも走れる。だからラリーは、ルーキーはほぼノーチャンスなんだよね。難しいよ」と、ラリーは難しいからこそやりがいがあると語ってくださいました。

ちなみに、日本のクルマも大好きだそうで「スイスに住んでた時は、日産『GT-R』に乗ってたこともあるよ。モナコとかイモラとか、欧州のサーキットは自分でGT-Rを運転して回ってたんだ。パワーもあるし、AWDだから冬も大丈夫だしね。毛色は違うけれど、トヨタ(レクサス)の『RC-F』も大好き」とのこと。本当にドライブが大好きなんですね。

「それにさ、GT-Rはトランクが大きいから、ゴルフバッグも積めるんだよ」と、含み笑い。なんでもゴルフは10年前のマレーシアGPに時に誘われて始められたそうですが、いまやすっかりシングルプレーヤー。レースウィークには、金曜日ゴルフの後に参加受付をし、土日はラリー、月曜日はまたゴルフなんてこともあるくらいのゴルフ好き。ゴルフ、ジムでのワークアウト、自転車、ランニングと、身体を動かす趣味が多いんだそうです。

◆「評論するより、自分で何かやりたいんだ」

今後のことも伺ってみたところ「まだまだドライバーとして走りたいから、明確には決まっていないけれど、いずれは若い世代に教えたり、マネジメントしたりしていきたいかな。実はね、F1コメンテーター、WRCコメンテーターとしてもオファーはあったんだけどお断りしたんだ。コメンテーターとして評論するより、自分で何かやりたいんだ」とヘイキ・コバライネンさん。ちなみにプロゴルファーは?と、質問してみたところ「それは、ない」と即答されました(笑)。

コロナ禍の今年は、8月5日に日本にようやく来日できたそうで「僕は日本のワーキングビザを持ってるけど、政府と領事館の許可書が出るまで日本に来ることができなかったんだ。ようやく許可が下りて、フィンランドでPCR検査を受けて、成田でPCR検査を受けて、2週間ホテルにこもってという感じ」と、とにかく大変な年だったそう。でも、来年も再来年も、そしてその先も…、さまざまな日本のモータースポーツシーンで、心ときめくようなパフォーマンスを魅せていただけることを心から期待しています!

「ヘイキ・コバライネンさんにとってラリーとは」

例えば、WRCに出ることが目的ではないんだ。僕にとってのラリーはスーパーGTとは真逆で、頭の回転力、動体視力、ペダルとハンドリングのコンビネーション、それを連続して長い時間使い続けるというトレーニングという意味合いが強いんだ。

GTは同じサーキットで走るわけだから、コンディションもある程度は想像がつく。でもラリーは毎回コンディションがまったく違う。自分にとって新しいセンスを使わないといけないから、それが新しいし楽しいんだよ。でもそれをある意味トレーニングだと思って続けていけば、排気量の小さいクルマから始めて、いずれは大排気量のクルマも乗りこなせるようになると思うんだ。自分へのチャレンジだよね。

「ヘイキ・コバライネンさんからのメッセージ」

今年はコロナ禍で変則的な年だったから、モータースポーツは大打撃だった。ファンの皆さんにも全然会えていない。でもこの前の富士のGTは無観客開催じゃなかったから、ファンの皆さんにも会うことができて、すごく楽しかったんだ。全日本ラリー選手権でも、たくさんのファンの人に会えるのを楽しみにしてるけど、まずはテレビで一緒に楽しんでもらえるよう、最大限のリザルトを獲るために頑張るよ。スーパーGTも全日本ラリー選手権もこれからも応援よろしくね!

  • 竹岡圭
  • ヘイキ・コバライネン選手と竹岡圭さん《写真撮影 宮崎壮人》
  • ヘイキ・コバライネン選手《写真撮影 宮崎壮人》
  • セントラルラリーでの走行シーン《写真提供 RALLY TEAM AICELLO》
  • セントラルラリーゴール後、トミ・マキネン トヨタWRTチーム代表と《写真提供 RALLY TEAM AICELLO》
  • JRC横手でのコバライネン選手の走り《写真提供 RALLY TEAM AICELLO》
  • ヘイキ・コバライネン選手《写真撮影 宮崎壮人》
  • ヘイキ・コバライネン選手、中山雄一選手の#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra《写真撮影 益田和久》
  • ヘイキ・コバライネン選手(左)とキミ・ライコネン選手(写真は2008年)Photo by Mark Thompson/Getty Images/Getty Images Sport
  • 2008年、F1時代のヘイキ・コバライネン選手Photo by Clive Mason/Getty Images/Getty Images Sport
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