【WEC 第3戦】小林可夢偉組の7号車が今季初優勝、トヨタGR010は3連勝…しかし次戦ルマンに向けては陣営に課題多し!?

モータースポーツ レスポンス

世界耐久選手権(WEC)第3戦の決勝レースが現地18日にイタリアのモンツァ・サーキットで行なわれ、「トヨタGR010 HYBRID」7号車の小林可夢偉組が優勝を飾った。可夢偉組は今季初勝利で、トヨタGR010は開幕3連勝。

今年は8月に開催されることとなったルマン24時間レース(今季WEC第4戦)が約1カ月後に次戦として控える状況下、F1イタリアGPの開催地として有名なモンツァ・サーキットで今季のWEC第3戦が開催された。ハイパーカー、LMP2、LMGTE-Pro、LMGTE-Amの各クラスを合計した決勝出走台数は36台である。

「トヨタGR010 HYBRID」が属する最上位クラス、ハイパーカー・クラスには今回、5台が参戦してきた。トヨタが2台(#7と#8)、旧LMP1カーで参戦しているアルピーヌが1台(#36)、そして第2戦でトヨタに続くルマン・ハイパーカー(LMH)規定車として1台が登場した「グリッケンハウス 007 LMH」が2台(#708と#709)に増えている。予選では#7 トヨタGR010(小林可夢偉 / M. コンウェイ / J-M. ロペス)がポールポジションを獲得し、開幕2連勝の#8 トヨタGR010(中嶋一貴 / S. ブエミ / B. ハートレー)は2位。

決勝6時間レース(路面ドライ)も序盤はトヨタ勢が1-2態勢で進めていくが、今回は珍しく、といっていいだろう、2台ともにシリアスと評すべきマシントラブルを発症するなどしてしまう。

より厳しい状況に直面したのは#8 トヨタGR010の方。開始1時間30分頃にスロー走行からピットイン、4分半ほどのガレージ作業となる。燃圧系統のトラブルに見舞われたということだ。その後も#8 トヨタGR010は苦難続きで、燃料系の部品交換のために長時間の作業をするなどして、このレースを完走最下位の総合33位(ハイパーカー・クラス4位)、トップから43周遅れで終えることになるのだった。

#7 トヨタGR010は優勝するわけだが、残り2時間を切る頃にメイン走行ラインを外れてコースの端にストップする状況があった。突然のエラーメッセージだったということで、コクピットにいた可夢偉の再起動作業によって短いロスタイムで済み再走できたが(直後にピットインもせず)、あわや事実上のトヨタ全滅か、という場面だった。ここで#709 グリッケンハウス 007 LMH(R. デュマ / F. マイルー / R. ウエストブルック)が首位に立つ。

ところが#709はラップリードを137〜138周目と2周記録してピットインした際に、トラブル修復のためガレージインしてしまい、最前線の争いからは脱落。これで#7 トヨタがトップに返り咲いた。#7 トヨタは、ここでは4周だけのラップリードでピットインし(このとき、パンクしていた模様)、ここから先の首位争いは#7 トヨタと#36 アルピーヌA480-ギブソン(A. ネグラオ / N. ラピエール / M. バキシビエール)が展開することとなる。

ピットタイミングでトップの座が入れかわっていくが、残り約40分で#36 アルピーヌが最終となるピットストップ(給油のみと思われる)に入り、#7 トヨタが先頭へ。ここで約1分の差となった。その後、デブリ回収のためにFCY(フルコースイエロー)となったところで#7 トヨタは給油をして、トップのままコース復帰、この段階でほぼ勝負あった。

可夢偉らの#7 トヨタは今季初優勝を飾り、トヨタGR010 HYBRIDはデビューから3連勝。とはいえ、今季初登場のマシンらしくというべきか、今回は大一番のルマンに向けて課題も少なくはない現実を突きつけられる格好にもなったようだ。以下のコメントがそれを物語る。

優勝した#7 トヨタ 小林可夢偉のコメント

「我々7号車はシーズンの序盤2戦からそうでしたが、レースウイークを通して速かったです。過去2戦は運に恵まれず、今日もいくつかトラブルに見舞われましたが、ようやく勝つことができました。ただ、この週末のレースで、ルマンでは絶対に許されない信頼性の問題が発生し、まだ相当な努力が必要だということが示されたと思います」

「7号車は本当に強くなっていますし、チームとしてまとまっているので、今年のルマンは大きなチャンスだと思っています(トヨタはルマン3連覇中だが、“7号車”と可夢偉、コンウェイ、ロペスはまだ勝っていない)。今日はモンツァで勝つことができて本当に嬉しいですし、ここで勢いが得られたことは、次に待つ最大のレースへ向けてとても重要です」

総合33位 #8 トヨタ 中嶋一貴のコメント

「自分がドライブするときには、既に修復のために大きくタイムを失っており、できることは安全に8号車をチェッカーまで走らせることだけでした。8号車を完走させるために大変な作業をこなしてくれたメカニック全員に感謝するとともに、優勝した7号車を祝福します。彼らの戦いぶりは勝利に値する素晴らしいもので、チームとして連勝(開幕3連勝)できたことも良かったです。ルマンはもっとスムーズなレースになることを願っています」

TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表の村田久武氏も、「ディフェンディングチャンピオンとしてタイトルを死守すべく、そしてハイパーカーでの記念すべきルマン初優勝を目指し、我々の目はもう、ルマンへと向いています」としたうえで、「そのゴールを達成するために、やるべきことがまだたくさんあります」とコメントしている。

近年のトヨタには稀ともいえるくらいドタバタした一戦を経て、4年連続の総合優勝を狙うルマンでの戦いに陣営は向かう。今回2位(総合、クラスとも2位)だった#36 アルピーヌとは6時間戦って同周回(204周)、最終的な差が1分しかなかったこと、新興グリッケンハウスもクラス3位(総合4位)の#709は#7 トヨタのトラブル時に一瞬とはいえトップに立ち、最終的にも4周遅れの位置だったこと、これらのレース内容がルマンの緊張度を増すかもしれない。

また、LMP2クラスの上位3台(総合3、5、6位)も今回#7 トヨタから4周遅れである(最上位クラスの規則が複雑に動き続けたりしてきたなか、今のLMP2は結構“速い”ともいえよう)。

24時間を走るルマンでは、台数少なく新車が多いハイパーカー・クラスが全面的なトラブル連鎖へと陥るケースもないとはいえない。そうなれば当然、LMP2に総合優勝争いの出番がまわってくるわけだが、ハイパーカー勢のトラブル度合いが致命的なところまでいかない“中規模な遅れ”くらいの場合でも、今のLMP2なら戦線に食い込めてしまう可能性が?(いずれにせよ、さすがに現実味はそう高くない話だろうけれど)

こうして考えてくると、今年のルマン総合優勝戦線がこれまでの想定より活気づく、とはいえそうだ。もちろん、このモンツァでのトヨタ苦闘Vだけを取り上げて混戦論に傾き過ぎるのはいかがなものか、とも思う。トヨタが自分たちのレース運びをきっちり実行しさえすれば敵はいない、そうも考えるが……!? ただ、繰り返しになるが、ここまでに抱いていた期待値よりも今年のルマンがさらに面白くなりそうなことは確かである。

世界3大レースのひとつ、今年で89回目の開催を迎えるルマン24時間レース(今季WEC第4戦)は、現地8月21〜22日を決勝日とする日程で開催される予定だ(同15日には公式テストデーも実施される予定)。

なお、今回のWEC第3戦モンツァでは星野敏 / 藤井誠暢 / A. ワトソンのD’station Racing(#777 アストンマーティン・ヴァンテージ)がLMGTE-Amクラスで終盤まで2番手を走り、最後の最後、大バトルの末に抜かれるも3位に入ってクラス表彰台に上がる活躍を見せている。

(*本稿における決勝順位等は、現地時間のレース当日に発行された「Final Classification」に基づく)

  • 遠藤俊幸
  • WECモンツァ戦、写真の上位5台がハイパーカー・クラスのマシン。《Photo by TOYOTA》
  • 優勝の#7 トヨタ、左から可夢偉、コンウェイ、ロペス。《Photo by TOYOTA》
  • 優勝を飾った#7 トヨタGR010(小林可夢偉組)。《Photo by TOYOTA》
  • #8 トヨタGR010(中嶋一貴組)はトラブル続きのレースとなった。《Photo by TOYOTA》
  • 2位となった#36 アルピーヌ。《Photo by FIA-WEC》
  • WECモンツァ戦、総合の表彰式。《Photo by TOYOTA》
  • 「グリッケンハウス 007 LMH」は今回、2台体制になった(#708=リタイア、#709=総合4位)。《Photo by FIA-WEC》
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