【ルマン24時間】初制覇の可夢偉、「チームが正しい判断で導いてくれた」…決してラクではなかったトヨタV4

モータースポーツ レスポンス

21〜22日に決勝が実施された、第89回ルマン24時間レース(フランス)。4年連続総合優勝を1-2で達成したトヨタだが、レース展開的な見た目とは違い、決してラクな内容ではなかった。悲願の自身初制覇を飾った小林可夢偉らのコメントから、あらためてそれが伝わってくる。

◆ハイパーカー時代最初のルマンという“難関”

ルマンを含む世界耐久選手権(WEC)の最上位カテゴリーが“ハイパーカー時代”に移行して最初のルマンで、「トヨタGR010 HYBRID」が1-2フィニッシュを達成。旧LMP1カーのアルピーヌ1台、トヨタ以外では現状唯一のルマン・ハイパーカー(LMH)規定の参戦車である「グリッケンハウス 007 LMH」の2台、計3台のハイパーカー・クラスのライバルたちを退けて、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing=TGR)は4年連続のルマン総合優勝を飾った。

ウエットで波乱含みに始まった今年のルマン(2021年WEC第4戦)だが、24時間という尺度でのレース展開的にはトヨタが危なげなく勝ったと評してもいいように“見えた”。ただ、トヨタの2台は“新規定の今季ニューカーでのルマン”という難しいタスクに立ち向かい、けっこうな試練を味わってもいたのだ。特にレース終盤、2台のGR010を燃料システム系のトラブルが順次襲ったことはかなりの難事だった。

このトラブルが先に起きたのは8号車。陣営は解決法を模索し、それを見出した。のちに7号車にもトラブルが生じると、先例を活かす格好で対処し、「トラブルを最後までコントロールすることができた」としている。これは、後続との差やレース残り時間も考慮しつつ、うまくトラブルと付き合って走り続ける方策を見つけ、それを遂行できた、ということだろう。

もちろんトラブルは出ないことが理想。でも、新規定マシンでそれはなかなかに難しい。そこで重要になるのは(致命傷でない限りという前提に基づくが)、トラブルが出た時に状況に応じたベストな対処ができるかどうか、である。

トヨタ、TGRはそれができた。技術力と経験値、そして2台のマシンに競争をさせつつも、チームワークを壊さない陣営一丸の姿勢。これらが相まったからこそ、トラブルを“コントロール”しての走行継続、1-2フィニッシュが可能になったのだろう。

そして、こうした“強さ”の面と同時に、レース中盤までに一定のマージンを対他的に確保できる総合的な意味での“速さ”(安定感を含む速さ)をトヨタが有していたこと、これも重要な勝因であり、難局で強さを発揮できた前提条件であったことは言うまでもない。

◆小林可夢偉「走り続けるために特別な操作が必要でした」

トヨタは4年連続のルマン総合優勝を2年ぶり3回目の1-2で飾り、7号車の小林可夢偉、M. コンウェイ、J-M. ロペスは待望のルマン初制覇を果たした。

優勝の#7 小林可夢偉

「ルマンの勝者としてここにいるというのは、最高の気分です。ここに到るまでに、何年も何年も、様々な経験を経てきましたし、そのなかには本当に辛いものもありました。ルマンに勝つためには運が必要だと常々感じていましたが、今日も運が必要でした。最後は走り続けるために、特別な操作をしなくてはなりませんでした。終盤の7時間は、生き残るために死力を尽くして戦う必要があり、とても難しい作業でした」

「通常であれば、そこでレースは終わりでしたが、チームが本当によくやってくれて、正しい判断で導いてくれたおかげで、なんとか最後まで走りきることができました。チームメイト、車両担当やエンジニアはみんなこのレースウイーク、素晴らしい仕事を成し遂げてくれました。彼ら全員に感謝します」

トラブルに対するチームの正確な判断と、それを実行できるスタッフやドライバーの技量があってこその勝利。繰り返しになるが、レース展開的には楽勝のように見えても、陣営にとっては決してラクな勝利ではなかった。

◆中嶋一貴「7号車はルマン・ウイナーにふさわしいです」

昨年の優勝クルーである中嶋一貴、S. ブエミ、B. ハートレーの8号車は今回2位。一貴とブエミは4連覇での4勝目を逃し、ハートレーもポルシェ時代の2017年とトヨタでの昨年(2020年)に続く個人3勝目を逃した。とはいえ、開戦直後にグリッケンハウスの1台に追突されて大きく後退したというのに、わずか1時間と少しで1-2態勢を構築するなど、8号車はさすがの戦い様であった。

2位の#8中嶋一貴

「まず、勝利をあげた7号車のクルーとチームに最大の祝福を贈ります。この勝利はチームの勝利であり、8号車もその一員として、とても嬉しいです。7号車は何年も運に見放されてきましたが、やっと勝利を手にしました。彼らはルマン・ウイナーにふさわしいです」

「我々8号車にとっては、なかなか難しいレースになりましたが、トラブルを抱えながらもなんとか最後まで走りきることができました。対処法を見出してくれたエンジニアやメカニック、そしてチームメイトに感謝します。本当に素晴らしいレースでした」

TGR WECチーム代表 村田久武氏

「非常に困難な状況下での激しいレースでしたが、これぞまさにチームでつかみとった勝利です。ドライバーにはたくさんの難題を課すことになってしまいましたが、一切のタイムロスを生ずることなくやり抜いてくれました。彼らの技量には度肝を抜かれました。この結果は、勝つために決してあきらめず、やれることをすべてやる、そんなチーム全員の努力の賜物です」

「チームメンバー、パートナー企業のみなさま、トヨタ自動車の仲間を含めたすべての関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。また、各カテゴリー(クラス)で勝利されたみなさま、本当におめでとうございます。そして我々と争い、このレースの精神を体現してくださったハイパーカー・カテゴリーのアルピーヌとグリッケンハウスのみなさまに感謝いたします」

ハイパーカー・クラスおよび総合の3位は#36 アルピーヌA480-ギブソン(A. ネグラオ / N. ラピエール / M. バキシビエール)、4〜5位にグリッケンハウスの2台が続いた。3位の#36 アルピーヌと4位の#708 グリッケンハウスは優勝の#7 トヨタから4周遅れ、2位の#8 トヨタとは2周差。トヨタの“対処”が間違っていれば、見た目の圧倒ムードも一気に崩壊し、1-2できなかったり、勝利を逃したりすることもないとはいえない差だったのである。

来年はプジョー、再来年はフェラーリがLMH規定車で参戦を予定しているなど、さらなる活性化が見込まれるこれからのルマン戦線。トヨタが連覇を5以上に伸ばしていくならば、その価値は数字が増す以上の輝きを放つことになるだろう。

◆2022年のルマンは6月回帰の予定。富士戦は9月

今回、LMGTE-Amクラスでは藤井誠暢、星野敏らの#777 アストンマーティン(D’station Racing)がクラス6位(総合33位)に入った。木村武史らの#57 フェラーリ(Kessel Racing)はリタイア。

また、特別枠から出走した#84 オレカ07-ギブソン(Association SRT41)にはかつて二輪ロードレースのトップライダーだった青木拓磨がドライバーのひとりとして参画、総合32位となっている。

(*本稿における順位等は、日本時間23日夜の段階での情報等に基づくもの)

今季2021年のWECは残り2戦。いずれもバーレーン・インターナショナル・サーキットでの開催で、第5戦が10月30日決勝、最終第6戦が11月6日決勝というスケジュールだ。

なお、ルマンのレースウイーク中にWECの次季「2022年シーズン」の開催予定が発表された。2022年も全6戦の予定で、3月に米国セブリングで開幕し、ルマンは6月開催に回帰して6月11〜12日に第3戦としてラインアップされている。そして日本の富士スピードウェイ戦は9月11日、第5戦の位置付けになっている(日程は、すべて決勝予定日)。

  • 遠藤俊幸
  • 優勝の#7 トヨタGR010(小林可夢偉組)。《Photo by TOYOTA》
  • 優勝の#7 トヨタGR010(小林可夢偉組)。《Photo by TOYOTA》
  • トヨタの村田代表(左端)と、優勝した#7 トヨタの(左から)コンウェイ、小林可夢偉、ロペス。《Photo by TOYOTA》
  • 決勝2位の#8 トヨタ、左から中嶋一貴、ハートレー、ブエミ。《Photo by TOYOTA》
  • ハイパーカー・クラスのマシンたち。《Photo by TOYOTA》
  • 優勝する#7 トヨタGR010、夜間のピットストップ。《Photo by TOYOTA》
  • 悲願のルマン初制覇を飾った小林可夢偉。《Photo by TOYOTA》
goo 自動車&バイク
トップ
中古車
車買取・査定
車検・整備
自動車保険
バイク
バイク買取・査定
ランキング
ニュース
特集
Q&A
サイトマップ