【青山尚暉のわんダフルカーライフ】犬の大きさ&乗車人数別、クルマの乗せ方…30年の経験から

業界 レスポンス

これまで約30年間、大型犬、中型犬、小型犬と共に暮らしてきた筆者。日々クルマに乗せ、ドライブ旅行に出かけ、過去9カ月に及ぶ週2回の動物病院通い(通院治療)の経験から、今、愛犬の大きさや家族構成別のクルマの乗せ方について一つの結論に辿り着いたので、ここに報告したいと思う。

◆特等席は後席、フラット&座面の長さがポイント

まず、一つ言えるのは、愛犬にとっての特等席は後席、3列シートのミニバンの場合は2列目席ということだ。理由は明白。運転席や助手席の飼い主に近く、乗り心地が良く、お互いのアイコンタクトがしやすく、愛犬の様子を確認しやすい。そしてエアコンの風も届きやすいからである。小型犬、中型犬なら、飼い主と一緒に座ることもできる。

さらに言えば、セダン、ワゴン、SUV、軽自動車のハイトワゴンなどの2列目席は、できるだけフラットなほうがいい。高級車の後席になると、かけ心地や豪華さ、お尻の座りの良さ、プライベート感を出すために、左右が独立した仕立てになり、後席全体を見れば結構凸凹しているものだ。が、実用車あるいはシートアレンジにこだわっているクルマは、比較的平板な座面になっていて、それがむしろ犬にとっては好都合。フラットなシートでより快適に寛ぐことができるというわけだ。

後席の座面については長さも重要だ。短いもので450mm、平均的には480mm程度で、人が座るぶんにはまったく問題ないのだが、大型犬、中型犬が寛ぐとなると500mmはほしいところ。その点、意外にもコンパクトカーや軽自動車でも、平板な座面に加え、座面の長いクルマが少なくない。例えばコンパクトで両側スライドドアを備えたコンパクトカーの中でもドッグフレンドリーカーとして最上級と言えるスズキ『ソリオ』、大人気のコンパクトクロスオーバーSUVのトヨタ『ヤリスクロス』、軽自動車でも日産『ルークス』、兄弟車の三菱『ekクロススペース』などは後席座面長が500mmである。国産車で後席の座面長にもっとも余裕があるのはトヨタ『ハリアー』で、520mmに達する。

後席の座面長がたっぷりしていると、愛犬の座り心地だけでなく、後席用のペットシートマットやサークル、ドッグベッドを設置したときの安定感にも直結。いいことだらけなのである。

◆大型犬や中型犬、多頭でドライブする時は?

ところで、愛犬家に利用者の多い3列シートのミニバンについてだが、大型犬や中型犬、または多頭でドライブする際の最適な乗車フォーメーションを考えてみると、ミニバンやステーションワゴンを含む様々なクルマに愛犬を乗せてきた経験では、やはり2列目、それも非上級グレードのベンチシートが適切だ。

そもそも2列目キャプテンシートでは、小型犬ぐらいしか座れず、愛犬を乗せ方の自由度という点においては使いづらくなる(トヨタ『ヴォクシー/ノア』や日産『セレナ』などは、2列目席がキャプテンにもベンチにもなるので便利)。もし、4名でのドライブ旅行なら、前席2名、3列目席2名の乗車として、愛犬を家族の真ん中に乗せてあげると(愛犬ファーストの考え方)、より安心してドライブを楽しめるのである。

そうそう、愛犬が2列目席、人が3列目席に乗車の場合、3列目席の人がスライドドアから下りるのはけっこう面倒。ならば、ホンダ『ステップワゴンのわくわくゲートのサブドア付きであれば、なんとそこから乗り降りできるから便利だ。もちろん、愛犬も乗り降り可能である。

しかし、4名乗車で宿泊をともなうドライブ旅行となると、それなりの荷物を積まなければならない。3列目席に人が座るとなると、ラゲッジスペースは最小限になるのが普通(ホンダ ステップワゴン500mm、日産 セレナ360〜480mm/3列目席シートスライド位置による、ヴォクシー&ノア400mm)。

が、これもこれまでの経験から裏技があり、キャリーケースやボストンバッグを、愛犬が乗る2列目席の足元=フロアに置けばいいだけ。座面の高さとうまく合わせればシート座面長が延長されたようになり、かえって犬も安定、安全に乗車できるのだ(ペットシートマットやキャリー、ドッグベッドなどの併用時)。

◆“飼い主1人+愛犬”で乗車する場合

では、飼い主1人とドライブする場合は、愛犬をどこに乗せるべきだろうか? 基本的に助手席はNG。場合によっては道路交通法に抵触する可能性もあり、また万が一エアバッグが展開すると、愛犬にダメージを与えてしまうからである。ただし、超小型犬、小柄な小型犬(足が短い)であれば、助手席に安全に乗せる方法がある。それは、ホンダ純正のドッグアクセサリー、新作の「ペットシートプラスわん2」を利用すること。助手席に確実に取り付けられ、エアバッグ展開時の干渉を避けた前部が傾斜した形状になっているからだ。

とはいえ、基本は後席に乗せるのが鉄則で、もし、飼い主1人と愛犬のドライブの機会が多いというなら、子供のケアにも適した、後席が5:5分割などで、前方に大きくスライドできるクルマが理想的だ。すると、運転席から無理なく後席左側(助手席側)の愛犬との距離が縮まり、お互い安心してドライブが楽しめるようになる。例えば、軽自動車の日産『ルークス』、兄弟車の三菱『eKスペース/クロス』がそうで、なんと後席に5:5分割の320mmものクラス最大級のロングスライド機構が盛り込まれ、助手席をグーンと前出ししておけば、運転席と後席の距離が一気に縮まるのである。

さらに言えば、前後席ウォークスルーが可能な車種だと、乗車時にリヤドアから後席に愛犬を乗せ、車外に出ることなくそのまま運転席へ行けるので便利。逆に、降車時には運転席から後席に移動し、安全のために先に愛犬にリードを付けてからリヤドアを開け、車外に出る…といったことが可能になる。雨の日には絶対的に助かる前後席ウォークスルーによるドッグフレンドリーポイントとなりうる。

◆意外に“乗れる”軽自動車

ちなみに、大型犬や多頭飼いの飼い主は、クルマは大きくないと愛犬が快適に乗れない…と思っているだろうが、実は2名乗車+愛犬というケースなら、軽自動車でも十分だったりする。理由は、後席格納によるラゲッジスペースの拡大だ。両側スライドドアを備えたホンダ『N-BOX』、スズキ『スペーシア』といったスーパーハイト系の車種なら、後席格納時の拡大フロア長は1100mm(日産 ルークス)〜1470mm(スズキ スペーシア)に達し、天井も高いため(同1070〜1200mm)、大型犬や多頭でもゆったり乗れるのである。ただし、後席を格納したときのフロアの凸凹、強い傾斜がないのが理想で、それに合致するスーパーハイト系軽自動車はスペーシアになる。

なお、クルマの種類、家族構成、犬種によって、どうしてもワゴンやSUVのラゲッジスペースに愛犬を乗せなければならない場合は、後席が4:2:4分割であることが必須。であれば、後席中央の2部分をアームレスト代わりに倒すことで空間ができ、エアコンの風通しが確保され、飼い主とのアイコンタクトが容易になるからだ。

というわけで、モータージャーナリストにしてドッグライフプロデューサーの肩書を持ち、輸入車の純正ドッグアクセサリーとしてフラットベッドやドッグベッドの開発にも携わっている筆者の、“クルマの乗せ方アドバイス”が以上である。もちろん、愛犬、飼い主、家族構成などによって、理想は様々。あくまでも一つの考え方として、参考にしていただきたい。最後になるが、近所のドッグカフェ、ドッグランへの移動ならともかく、長距離、長時間のドライブでは、愛犬ファースト! そして愛犬を車内のどこに乗せるにせよ、飛び出し防止には、くれぐれも配慮していただきたい。

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー

自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 青山尚暉
  • 犬の大きさ&乗車人数別、クルマの乗せ方《写真 青山尚暉》
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  • 三菱 eKクロスの後席《写真 青山尚暉》
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  • ホンダ ステップワゴン《写真 青山尚暉》
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  • 犬の大きさ&乗車人数別、クルマの乗せ方《写真 青山尚暉》
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  • 「ペットシートプラスわん2」《写真 青山尚暉》
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