オペル、再チャレンジの本番[日本にまだないブランド]

業界 レスポンス

世界には日本での知名度は低いが他の市場ではメジャーというブランドが多数存在する。そんなブランドにスポットライトを当ててみる本企画の第2弾は、2022年に日本市場に登場予定のドイツブランド、オペルだ。

120年以上にわたる自動車製造の歴史を持つオペルは第二次世界大戦前にアメリカのゼネラルモーターズの100%子会社となり、GMの欧州戦略を担い続けてきたが、21世紀に入ってから業績が悪化。2017年にフランスのPSAプジョー・シトロエン(その後フィアットが合流し、現在はステランティス)に買収された。

日本では1993年に高級輸入車販売の草分けであったヤナセが大々的に売り出したものの、同社が有していた富裕層への圧倒的な営業力をもってしても定評を得られず数年で販売不振に陥るなど、とかくユーザーとの相性が悪かったオペルだが、本国では90年代まではGM本体の大赤字を埋めるだけの潤沢な利益を生み出す優等生で、ドイツではシェア首位だった時代もある。

20世紀にオペル車が支持を集めていた主因はフォルクスワーゲンなどドイツの地場資本ブランドに比べて高性能なモデルを割安な価格で買えたことだ。オペルは“空力マニア”ぶりで知られており、88年デビューのDセグメントミッドサイズ『ベクトラ』がCd値0.29、86年デビューのEセグメントラージサイズ『オメガ』が0.28、さらにはクーペの『カリブラ』が0.26と、同じく空力志向が強かったアウディとの比較でも優位に立っていた。また、技術的に保守的な傾向が強いドイツの中で4バルブエンジンやターボエンジンの低価格化にも意欲的だった。

が、ドイツの地場資本メーカーが先進技術主義に転じるにつれ、オペルは同じくコストパフォーマンスで売っていたドイツ・フォードともども次第に独自色を失っていった。膨大な顧客をヨーロッパ市場に抱えていたのは強味だったが、経営危機に瀕していた親会社GMのグローバル戦略の都合に振り回されて欧州にきちんと照準を合わせた商品開発ができなくなり、その強味を生かせなかった。その結果が冒頭で述べたプジョー・シトロエンによる買収である。

プジョー・シトロエンあらためステランティスは買収から4年という比較的短い期間で、Dセグメントミッドサイズセダン『インシグニア』などいくつかの例外を除き、販売モデルを一斉にプジョー車ベースに切り替えた。日本への導入が予定されているBセグメントサブコンパクト『コルサ』はプジョー『208』、SUV『モッカ』は同『2008』、『グランドランド』は同『5008』と、3モデルともすべてプジョーの新しい世代のエンジニアリングによるものである。とくにコルサとモッカは電動化も視野に入れた最新のプラットフォームが使われており、クルマの性能、品質については大いに期待が持てるだろう。

が、オペルというブランドのマネジメントについては話が別だ。モデルの刷新が先行して行われた本拠地ヨーロッパ市場でもプジョーとのクルマの作り分け、新生オペルブランドのアイデンティティ確立はまだまだ道半ばで、ユーザーがポジティブに評価する段階に至っていない。販売台数も低迷したままである。日本市場を含め、これからが再チャレンジの本番といったところだろう。

  • 井元康一郎
  • オペル・コルサ《photo by Opel》
  • オペル・モッカ《photo by Opel》
  • オペル・モッカ《photo by Opel》
  • オペル・グランドランド《photo by Opel》
  • オペル・グランドランド《photo by Opel》
  • オペル・インシグニア《photo by Opel》
  • オペル・カリブラ(1989年)《photo by Opel》
  • オペル・ヴェクトラ(1988年)《photo by Opel》
  • 独リュッセルスハイムのオペル本社工場《photo by Opel》
  • ジュネーブモーターショー2017にて。PSAのタヴァレスCEO、OpelのノイマンCEO、GMのアマン社長(いずれも当時)《Photo by Harold Cunningham/Getty Images News/ゲッティイメージズ》
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