時速20km以下の低速モビリティ「GSM」でヤマハとJAFが協業…その狙いは?

新車 レスポンス

ヤマハ発動機と日本自動車連盟(JAF)が、GSM(Green Slow Mobility:グリーン・スロー・モビリティ)と呼ばれる低速モビリティに関する協業契約を締結した。GSMというと古いエンジニアは2Gの携帯電話の無線規格を思い浮かべるかもしれないが、時速20km以下で公道を走行できる車両およびその移動サービスのことだ。そんな車両にニーズがあるのかと思うかもしれないが、国内モビリティ事情はそう単純ではなさそうだ。

GSMの特徴は

GSMの特徴は20km/hという速度制限の他、ドア・ウィンドウやシートベルトがないといったものがある。そのため開放感があり乗り降りも比較的楽。同乗者やドライバーとのコミュニケーションがとりやすい。多くはゴルフカートをベースに開発されていたりするが、ドアや窓がついた10人乗り、18人乗りのマイクロバスタイプも存在する。遊園地やテーマパーク内の乗り合い巡回バスや電動カートをイメージすればよい。

公道を走行するため普通運転免許が必要。11人以上の乗車定員なら中型か大型車の免許が必要となる。また、運賃をとる旅客・貨物サービスを提供するには黒ナンバー、緑ナンバーが、旅客輸送事業なら運転免許は二種が必要となる。車両は、サイズ、乗車定員等により軽自動車から普通自動車のナンバーを取得する。だが、制限速度が低いため車両保安基準が緩められている。いまのところ型式指定の対象となっていないので、個別の車検・登録を行う。

電動キックボードや一人乗りパーソナルモビリティの公道走行が解禁され、都市部の幹線道路では既存車両との共存が問題になっている。公道走行が可能なGSMもシティコミューター、シティモビリティのような用途が考えられるが、実際にどのような用途に適合するのだろうか。

ヤマハとJAFが考えるGSMの使い道

人通りが多い観光地や施設内、イベント会場のニーズが考えられる。だがJAFおよびヤマハが考える用途は、地域の移動手段、公共交通の代替だ。ヤマハが注目するのは、中山間部や離島の他、開発から年数が経った新興住宅地だ。そのような住宅地は住民の高齢化が進み免許返納などでマイカーそのものが少なかったり、街並みが古く道幅が狭い、混み入っていることも多い。スピードは必要ないので、電動の乗り合いカートが軽やマイクロバスより役に立つ。

GSM活用の取り組みは2014年から始まっており、現在まで70か所以上の地域で実証実験を含む導入事例が存在する。台数にして100台以上のGSMが投入されている。ヤマハではGSMを含むモビリティの新事業分野で、2024年までに300憶円の売上を見込むという。

ヤマハではゴルフカートをベースにGSM以外にも工場内のAGV(無人搬送車)やロボカーの開発、販売を広げている。カートベースとはいえ、GSMなど新型モビリティは、およそ5.5kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、油圧式のディスクブレーキ、電動パーキングブレーキを搭載する。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンだ。また、電磁マーカー、またはRFIDマーカーを使った自動運転対応タイプ(レベル2相当)も容易される。ステレオカメラを搭載して障害物を検知すると減速・停止するオプション機能も持つ。充電はAC200の普通充電方式となる。

ヤマハは各地の実証実験や実サービス導入の実績とノウハウをもとに、全国の自治体や地域交通事業者に導入支援、運用やビジネスモデルなどの支援とともにGSMの展開を進める。JAFは、全国の自治体や娯楽施設との観光協定や地域活性化事業、そして地域交通支援のため、ヤマハのGSM事業と協業を行う。JAFのロードサービスを含むサービス網は自治体や導入事業者の車両アフターサービスやドライバー育成も行う。

  • 中尾真二
  • ヤマハ発動機が実施している広島県福山市鞆の浦地区での低速モビリティ活用の様子(参考画像)《写真提供 ヤマハ発動機》
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