【青山尚暉のわんダフルカーライフ】電気自動車と愛犬同伴ドライブの相性は?

業界 レスポンス

自動車の世界はカーボンニュートラルに向けて、本格的に始動している。北欧のボルボがいち早く全ラインアップを電動化し、各自動車メーカーともに、ハイブリッド化、プラグインハイブリッド(PHV、PHEV)モデルの拡大、そして何と言っても本命と言える電気自動車(BEV)を続々と登場させている。

モータージャーナリスト&ドッグライフプロデューサーの筆者も、ここ最近、国産車だけでも『ホンダe』、日産『アリア』、スバル『ソルテラ』、日産『サクラ』といった電気自動車に試乗。ソルテラは東京〜御殿場のロングドライブも経験している今日この頃だ。

◆電気自動車はわんダフルなのか?

が、そこでひとつ、気になったのが、愛犬とのドライブ、わんダフルカーライフにとって、ハイブリットやPHVと違い、エンジン(発電用含む)を積まず、バッテリーだけで駆動する、充電ありきの電気自動車が、果たしてわんダフルなのか、ということだった。もちろん、エンジンを積んでいないため、パワーユニットからのノイズは皆無に近く、車内は静か。聴覚に優れた犬にとって最適な走行環境がもたらされ、モーター駆動によるスムーズな走行性能は、車内でどこかにつかまれない犬にとってストレスの少ないドライブを楽しませてくれることもまた、間違いないところではある。

日産サクラ、兄弟車の三菱『ekクロス EV』のような、街乗り、短距離専用の電気自動車として割りきられている車種であれば、近所の買い物、駅までの送り迎え、ドッグランや動物病院の往復が主な用途になるため、航続距離が充電環境などはあまり気にならないはずだが、日産アリア、スバル ソルテラのような、比較的ロングレンジの電気自動車の場合、愛犬とともに、ロングドライブを、これまでのガソリン車のような感覚で使えるのか…そんな疑問を、小心者の筆者は考えてしまうのである。

というのは、例えば、日本有数のドッグフレンドリーリゾートである軽井沢に東京から向かう場合、片道約170kmの距離がある。ソルテラの一充電航続距離はWLTCモードで542〜567km(駆動方式による)。充電時間は急速充電で約80%充電まで約30〜60分。自宅でも充電可能な200V充電で満充電までは約10時間〜となる。

軽井沢出発当日、約100%充電状態であれば、実質的な航続距離を65%と見るとFWDで約360km。ギリギリ、往復できることにはなるが、渋滞など途中何が起こるか分からないため、精神的にも最低1回の充電は不可欠となる。

◆エアコンを使うと航続距離は激減

もちろん、エアコンを使えば航続距離は激減する。暑い時期のエアコン(クーラー)はもちろんだが、冬のエアコン(ヒーター)は、さらに電費に影響する。だから電気自動車は冬がもっとも条件が悪い…とか言われるわけだ。そのあたりは電気自動車を製造する自動車メーカーも分かっていて、冷房、暖房の消費電力を抑える工夫に余念がない。しかしそれでも、出発時にエアコンOFFでの航続距離を確認した後、エアコンをONにすると、例えばエアコンOFFの航続距離398kmが一気に314kmに減って「ドキリ」とした経験もあったりする(エコエアコンスイッチONで322kmにはなった)。

寒さは電気自動車の大敵…しかしそれは、人間のみが乗っている場面に限られる、というのが筆者の持論。冬の電気自動車のドライブであれば、ヒーターを使わなくても、人間は厚着をすればいい。軽く動きやすいライトなダウンジャケットがうってつけだ。愛犬は1年中、毛皮を着ていて、暑さに弱くても、比較的寒さに強いはずだから、車内の抜け毛汚れ防止を兼ねて、ドッグウエアを着せて乗せればOKだろう。真冬でも、ドライブ日和の晴れた日中なら、車内は温室状態となり、寒さをそれほど感じずに済むこともある。

◆暑い時期は特に注意

が、筆者の電気自動車経験では、愛犬とのドライブにおいて鬼門なのはむしろ夏、暑い時期だ。寒さはシートヒーターや衣類、ドッグウエアなどでしのげても、暑さはどうにもならない。毛皮を着ていて、足の裏からしか発汗できない犬にとって、エアコンの使用は不可欠。それも、愛犬の乗る場所は22度ぐらいが適切と言われているほどだ。つまり暑い時期の愛犬とのドライブでは、エアコンをガンガン効かせる必要がある。人間だけなら、先日、29度の快晴の日に筆者が電気自動車のエコドライブで行った、東京〜東名高速道路海老名SAまでの区間、電費をかせぐためにエアコンをOFFにして、窓全開、汗だくの修行のようなドライブも、緊急時にはできないことはないが(決して快適な電気自動車ライフとは言えない)、愛犬連れの場合、犬の命に係わる熱中症を誘発する危険大である。だから、愛犬連れドライブの場合、エアコンONは必須。その上での航続距離を考慮する必要がある。愛犬の特等席は後席。後席独立型3ゾーンオートエアコンがあれば理想的だ。

だったら、エアコンON前提で、途中で充電すればいい…のだが、電気自動車が普及し始めている今、高速道路のSA/PAにある急速充電スポットに先客がいるかも知れず、また、約30分の急速充電時間の間、人間だけならエアコンの効いた屋内に避難!? し、食事やお茶をすることもできるが、ごく一部のペット店内OKのドッグカフェを併設しているSAを除き、それは叶わない。灼熱のテラスにいるしかなかったりする(雨の日も辛い)。電気自動車は充電中もエアコンを効かせ、ロックすることも可能だが、そもそも愛犬を車内に残し飼い主がクルマを離れるなど、もってのほかの行為である。

◆避暑地なら涼しいは過去の話

よって、電気自動車での暑い時期の愛犬連れドライブは、気温の下がった早朝、夜、深夜に移動するなどの配慮が不可欠となる。また、終始、エアコンを作動させられるように、航続距離、充電のタイミングを計ることも重要になるはずだ。

ちなみに、先ほど、軽井沢の話が出てきたが、避暑地で夏も涼しいはず…というのは過去の話。軽井沢通い45年の筆者の経験では、去年の夏の軽井沢の気温は東京とそう変わらず、今では気候変動のせいか、かなり暑い日がある(さすがに標高1000mの高地だけに湿気は少ないが)。避暑地だからエアコンの使用が控えられる…と思ったら、痛い目に合うことも頭に入れておきたい(昨年8月の山中湖の気温も35度だった)。

わんダフルカーライフを推進しているわが家では、真夏はガソリン車であっても遠出のドライブ(ペット仕事も!)は避けているが、電気自動車の場合、さらなる愛犬への配慮が必要になる、ということだ。

◆トヨタ bZ4Xは愛犬を乗せられない

ところで、最新の電気自動車に、スバル ソルテラとトヨタ bZ4Xの兄弟車がある。デザイン、装備、走行性能(特に乗り心地)にはそれぞれ個性、特徴があるものの、バッテリーの出力、航続距離、充電時間は一緒だ。しかし、愛犬家が選択できるのは、ソルテラのみ! 理由は販売方法にもあり、ソルテラは一般的な販売方法、対するbZ4XはサブスクのKINTOのみだ。で、bZ4XのKINTOのガイドブックを見ると、主な留意点の中の主な禁止事項に、喫煙、改造、競技走行とともに、「ペットの乗車」が記載されている。「こられの行為が発覚した場合、現状回復費用について実費を請求する」とあるのだ。もちろん、トヨタ派の愛犬家で、bZ4Xがどうしても欲しい…というのであれば、もう1台、愛犬乗車専用車を所有すれば解決するのだが。

いずれにしても、愛犬とドライブする機会の多い愛犬家が電気自動車を、静かで犬の耳に優しく、スムーズな走行感覚から車内でどこかにつかまれない犬にとってストレス最小限で済むドッグフレンドリーカーとして愛用するのであれば、季節を問わず、これまでのガソリン車、ハイブリッド、電欠なしの電動車であるPHV/PHEVとはちょっと違うドライブプラニング、気遣いが必要ということだ。

  • 青山尚暉
  • 三菱 アウトランダーPHEV《写真 青山尚暉》
  • ホンダe《写真 青山尚暉》
  • 日産 アリア《写真 青山尚暉》
  • 日産 サクラ《写真撮影 中野英幸》
  • 三菱 ekクロスEV《写真撮影 雪岡直樹》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • ラブラドールレトリーバーのマリア。軽井沢にて《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《画像 スバル》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • ジャックラッセルテリアのララ《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • 日産 アリア《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • 軽井沢《写真 青山尚暉》
  • 軽井沢にて《写真 青山尚暉》
  • トヨタ bZ4X《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
  • スバル ソルテラ《写真 青山尚暉》
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