【トヨタ クラウン 新型】世界一ではなく“町いちばん”のクルマ作り

新車 レスポンス

トヨタ自動車から発表されたフラッグシップの『クラウン』新型は、15代目のマイナーチェンジを見合わせて、16代目の開発が進められたという異例の存在だ。

◆セダンも考えてみないか

トヨタMid-size Vehicle Companyプレジデントの中嶋裕樹氏は新型クラウンの開発経緯に次のように話す。「2年と数か月前、私が描いていたのは15代目クラウンのマイナーチェンジだった。社長の豊田にその企画を見せた時に “本当にこれでクラウンが進化できるのか。マイナーチェンジは飛ばしても良いので、もっともっと本気で考えてみないか”と。いま思えば、ここから16代目のクラウンの開発がスタートした」と当時を振り返る。

そこでまずは、「歴代主査の思いに触れ、そもそもクラウンとは何かを徹底的に見つめ直すところから始めた」と中嶋氏。そこには、「クルマの形や駆動方式という決まりは何もなく、あったのは、歴代の革新と挑戦というスピリットだった」という。そこで中嶋氏は、「私たち自身が内向きに決まりを作り、自らを動けなくしてしまっていた」と気付きがあったことを明かす。

同時に、「社長就任以降、豊田がいい続けてきた言葉を思い起こした」。それは、「“もっと良いクルマを作ろうよ”。それと“世界一ではなく“町いちばん”を目指そう”という2つだ。クラウンがロングセラーであり続けられたのは、歴代主査が常に町いちばんで考え、日本のお客様の笑顔を思い浮かべながら、もっと良いクラウンを目指して挑戦してきたからだ」と思ったという。

そこから考えを大きく変えた。「固定観念にとらわれず、これからのお客様を笑顔にするクラウンを目指そうと開発を始めたのが、このクロスオーバーだ」と中嶋氏。しかし、「ある程度形になり、社長の豊田から“これで行こう”とゴーサインが出たと同時に、新しい宿題が出た」という。それは、「セダンも考えてみないか」だった。

中嶋氏は、「正直、耳を疑った」と本音を語る。その一方で、「私たちがあのマイナーチェンジの時から発想を変え、原点に戻ったいまだからこそ、豊田はセダンをやってみたらどうかと問いかけているのだと受け止めた。それならばこの多様性の時代、ハッチバックやワゴンも必要だと、4つの異なるモデルを提案したというのが正直な経緯だ」と語った。

◆4タイプとも全部クラウン

さて、中嶋氏は新型クラウンの4つのボディタイプを次のように説明する。

「クロスオーバーはセダンとSUVの融合で乗り降りしやすく、視点も高く、運転しやすいパッケージとしながらも、走りは新たなハイブリッドシステムとともに、セダンを超えるセダンとして進化させた」。

次にスポーツは、「エモーショナルで創造的な雰囲気を持ち、乗りやすく、運転しやすいパッケージとともに、俊敏でスポーティな走りが楽める新しい形のスポーツSUVだ」。

そしてセダン。「正統派セダンとして新たなフォーマル表現とともに、上質さ、快適さを追求。ショーファーニーズにも十分応えられるクルマだ」という。

最後のエステートは、「機能的なSUVとして、大人の雰囲気で余裕のある走り、アクティブライブを楽しんでもらえるクルマだ。後席はフルフラットデッキにもなり、まさしくワゴンとSUVのクロスオーバーともいえるだろう」と4台を説明。

そして、「これら4車種の名前は全て統一してクラウンだ。今回発表のクロスオーバーを振り出しに、これから1年半の期間で順次世の中に送り出していく」とした。

◆カンパニー制とTNGAがキー

さて、クラウンは上記のようにクロスオーバーが先陣を切って開発されたが、最終的には計4つのボディバリエーションが展開される。その開発は、「至難の技だった」と中嶋氏はいう。それを可能にしたのが、「カンパニー制と、TNGAだ。この2つなくして、新型クラウンは実現できなかったと断言できる」と述べる。

トヨタは2016年に大幅な体制変更を行った。これまでの機能軸ではなく製品軸で仕事を進めていくことで、機能の壁を壊して調整を減らし、すべての仕事を“もっといいクルマづくり”とそれを支える“人材育成”につなげていくことが目的である。その結果として、新たな9つのビジネスユニットが互いに競争、切磋琢磨し、ヘッドオフィスと連動することで、企業価値の向上が図れるものとされている。

そのひとつが製品軸のカンパニー制で、製品群ごとに7つのカンパニー体制へ移行し、中短期の商品計画や製品企画はカンパニーが担い、そのカンパニーひとつが中嶋氏率いる“Mid-size Vehicle Company”なのである。「担当のクルマに愛着を持ち、またそのクルマのことを最優先に考え、自分たちの意思で決断し、行動することが使命だ。Mid-size Vehicle Companyとしてクラウンを1番に考えることができたこと、またプレジデントとして、自らの責任と判断で実行できたことが非常に大きかった」と中嶋氏はいう。

そして、「これまで当たり前だった開発プロセスを見直し、無駄を徹底的に急ぎ落とし、リソーセスを確保しなくてはいけなかった。そのために、例えば、製品企画と開発の各工程を1つのチームにし、全員がプロであるという意識を高め、従来以上に緊密なコミュニケーションで乗り切った」と説明。

もうひとつはトヨタニューグローバルアーキテクチャ、TNGAだ。これは、もっといいクルマ作りを実現するため、プラットフォームとパワートレインを刷新し、一体的に開発することで、基本性能を飛躍的に向上させることを目指し2012年にその構想を立ち上げ、10年の時を経てTNGAも成熟・進化。「一目見てこのクルマが欲しいと思ってもらえるデザインや、ずっと乗っていたいと思ってもらえる走り、乗り心地など、クルマの基本性能を高めていった」と中嶋氏。そして今回のクラウンでは、「さらに成熟させ、例えばスポーツでは新開発した専用プラットフォームを用いて、タイヤの大径化とともに居住性とデザインとの両立を狙い作られている」と説明。

また、TNGAパワートレインでは、「低重心化とともに優れた走行性能と環境性能を両立させ、ダイレクトアンドスムースを重点的に開発」し、それを今回さらに進化。「例えばクロスオーバーでは、エンジンと電気モーターを直結させ、後輪にも大型モーターを搭載し、350馬力、550Nmというトルクフルな走りを実現。加えて緻密な四輪駆動制御で車両姿勢のコントロールも行う新しいハイブリッドシステムを導入した」と述べる。

最後に中嶋氏はクラウンのコンセプトを、「トヨタブランドのフラグシップだ。カンパニー制とTNGAで4つのクラウンを並行開発し、それぞれのお客様のフラッグシップにふさわしい品質に作り込みお届けしていく」と意気込みを語った。

◆世界に向けて

豊田章男社長は、新型クラウンの発表にあたり、「いつの時代もクラウンが目指してきたものは幸せの量産だった。クラウンは日本の豊かさ、ジャパンプライドの象徴だった。そして世界に誇る日本の技術と人材を結集したクルマだった。新型クラウンにも、そんな日本の底力が詰まっている」とコメントしたうえで、「だからこそこのクルマで、私はもう一度世界に挑戦する。新型クラウンは約40の国と地域で販売をしていく。シリーズの販売台数は年間20万台規模を見込み、クラウンが世界中の人々に愛されることで、日本がもう一度元気を取り戻すことに繋がればこんなに嬉しいことはない。日本のクラウン、ここにあり。それを世界に示したいと思っている」と話す。

そして、世界に向けて、「新型クラウンシリーズは、日本だけでなく、初めてグローバルに販売していく。日本の情熱、プライド、発展が生み出した歴史あるクルマに、世界中のお客様に乗ってもらえるようになる。このクルマはきっと、クラウンの最高傑作になると思っている。日本のクラウンの新しい未来に期待してほしい」と発信した。

  • 内田俊一
  • トヨタ・クラウン新型《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン新型《写真提供 平原克彦》
  • トヨタMid-size Vehicle Companyプレジデントの中嶋裕樹氏《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・クロスオーバー《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・クロスオーバー《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ代表取締役社長の豊田章男氏《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・スポーツ《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・スポーツ《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・スポーツ《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・スポーツ《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタMid-size Vehicle Companyプレジデントの中嶋裕樹氏《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・セダン《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・セダン《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・セダン《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・セダン《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ代表取締役社長の豊田章男氏《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・エステート《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・エステート《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン・エステート《写真提供 平原克彦》
  • トヨタ・クラウン・エステート《写真提供 トヨタ自動車》
  • トヨタ・クラウン新型のプラットフォーム《写真提供 トヨタ自動車》
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