【テスラ モデルY 買いました 3】8年前の「電欠恐怖」の記憶を払拭できるのか

新車 レスポンス

テスラ『モデルY』が発売されたと同時にとっさにポチッてしまった一編集者である筆者。金額は619万円! テスラを買うとはどういうことか? これから始まるテスラ購入までの道のりを消費者目線でレポートする本連載。前回は「ポチったあとに気づいたこと」を紹介したが、すぐにポチれた大きな理由が8年前の体験にもあった。その体験とは?

2014年、EVでの旅行体験の記憶を払拭できるのか

モデルYをポチった翌日、テスラを駐車できるのかどうか、メジャー片手に車庫の広さを確かめに行った。横幅を計測するとギリギリ駐車できることがわかってほっと胸をなで下ろす。とはいっても実際停めてみないと駐車したあと、なにが障害になるかわからない。まぁたぶん大丈夫だとは思うが、あとは実車で確認するしかない。

これはテスラに限らず新モデルのクルマを購入する人たちも共通のことだろう。試乗したところで家まで試乗できることは少ないだろうし、予約販売などであれば、実際に乗ることなく、また、実車を見ることなく購入した人たちもいる。そういうことを考えれば、今回のボクのテスラ注文も、なにも変わったことをしていないとは思う。まぁ、サイズを確かめずにポチったのは論外かもしれないが…。

ボクは大学では自動車部に属し、運転免許証は自動車試験場で“一発試験”で取得した。大学は機械工学科だったので、エンジンの設計も授業でやった。つまりは自動車が好きなのだ。最初のクルマは白い国産車。機械式のキャブレターをいじりながらアナログなエンジンを日々いじって楽しんでいた。クルマ好きなのでいろいろなクルマを運転したくて、引っ越しのアルバイトをして、10tトラックを運転していたこともあった。

というわけで、社会人になってからは、中古のドイツ製スポーツカーを購入。若いうちにしかできないマニアのクルマ生活を楽しんだ。その後、子どもができたのを機にドイツ製のセダンを乗り継いでいき、ときには国産軽自動車に乗り替えるなどして楽しむよりも快適な“日常の足”として、クルマ生活を送ってきた。それほどにクルマに興味があったボクは、いまから8年前の2014年、初代日産『リーフ』がやっていた試乗キャンペーンに応募し、片道130km程度、1泊2日の小旅行をした。

電欠恐怖の思い出

試乗した初代リーフの航続距離はJC08モードで228km。都内から目指したのは伊豆方面。途中どこかで充電すれば余裕で往復できる距離だ。そのころでもいくらか充電設備は整っていた。しかし痛感したのは、整っていると思っていた充電設備の頼りなさ。

あるショッピングモールには2台の充電器があるとの情報だったが駐車スペースが2台分で充電器は1台しかなく先客が充電中。運転手はいない。見ると残りあと15分。じっと15分待ち、ほどなく帰ってきた運転手に軽く会釈をして充電開始。私たちはショッピングしながら充電完了を待った。

その後、山を越えて伊豆半島を南下することにしたが、上り坂になると表示される走行可能距離が極端に落ちる。山道を上っていくとどんどん走行可能距離が短くなっていくのだ。もはや心臓に悪いレベル。目的地までの実際の距離は100km弱だが、残り走行可能距離が60kmなどと平気で表示される。逆に下り坂では“回生ブレーキ”で充電されるために走行可能距離は伸びる。

しかし常に電欠への不安があり、途中、充電設備の場所をググっては、目的地をそこに変え、また山道を避けるルート変更をして、電欠することなく、無事、1泊2日の旅を終えた。しかし、たかだか往復260kmという距離でも、相当に気を遣う旅だった。この時の記憶がボクのEVに対する記憶として深く刻まれることになり、その後EVに関心を持つことはなくなっていった。

決定的な独自の充電設備

しばらく経つと、アメリカのテスラという会社が大胆な方法で電気自動車を作ったという話が耳に入ってきた。PC用のバッテリーを数千個搭載しているという。なんとも大胆だな、との印象を持ったことを覚えている。スポーツカーで、格好もいい。しかし所詮、海の向こうの高級車のこと。そんなに強い関心を持ち続けることなく日々が過ぎていった。

そんなテスラに興味を持ったいきさつは第1回「20分で600万超のクルマを躊躇いなくポチった理由」に書いた。しかしボクが惹かれたのはクルマ本体だけではなかった。充電設備である。

日本国内の急速充電器は“チャデモ(CHAdeMO)”という規格で統一されている。世界では、そのほかに“コンボ(CCS)”という規格、そして、テスラ独自の“スーパーチャージャー”がある。日本で販売されるEVはテスラを除けば、急速充電方式はチャデモ規格になっている。普通充電は、“SAE J1772”というコネクタを利用して充電する。日本メーカー製の電気自動車は、ほとんどこの2つのコネクターが車体に実装されている。

そのチャデモ急速充電器は、日本全国では充電器検索サイト「EVsmart」に登録されている数が7873台(8/17現在)である。基本的にテスラ以外の海外メーカーのEVでも日本で販売されている電気自動車は自宅以外では、このチャデモ急速充電器で充電することになる。とくに旅行に行くときは、時間の関係もあって、普通充電器ではなく、この急速充電器を使うことが多いと思う。ボクはリーフで旅行したときもこのチャデモ急速充電器にお世話になった。

しかし、テスラはスーパーチャージャーを世界で展開、日本では2014年のテスラ『モデルS』を販売した当時から設置している。そのときから全国にスーパーチャージャーを設置し、2022年8月17日現在、南は九州・熊本から北は北海道・札幌まで49か所に設置されており、今後も静岡など各地に増設されることが発表されている。そのほかレストランやショッピングセンター、ホテルなどに設置しているテスラのコネクターを備えた“ディスティネーションチャージング”という無料の普通充電の仕組みもある。

これが大きかったのだ。テスラへの急速充電はチャデモ急速充電器ではアダプターを介して行うことができる。これにはチャデモで充電するための会員組織に加入し、充電用カードなどを発行してもらう必要がある。この急速充電は通常は有料だが、ときに自治体などが無料で提供している。しかしテスラの場合、これに加えて“スーパーチャージャー”が使える。電欠の恐怖を知っている身としては、少しでも多くの充電設備がほしい。

加えてテスラのスーパーチャージャーは、公式サイトによると15分で最大275km相当分の電力を充電できるという。充電速度が格段に速いのだ。しかもプラグを差し込むだけで自動的に充電が始まり、充電完了時には独自のテスラアプリで通知されるそうだ。料金は登録しているクレジットカードに課金される。アプリではスーパーチャージャーの空き状況までわかるというから、魅力的なサービスだ。

実際に納車されないと本当に魅力的なのかどうかはわからないが、少なくともテスラは“電気自動車メーカー”というだけではなく、電気自動車全体の体験を提供する“EVソリューション&サービス会社”なのではないか。そうであれば、そのサービスを体験するしかない。

田代真人

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にて初代Webマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て独立。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動後、現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「編集論」。

  • 田代真人
  • リーフに試乗した当時の急速充電設備。1台の充電器(ケーブルも1つ)を2台でわける??《写真撮影 田代真人》
  • 世界中で展開するスーパーチャージャー《写真提供 Tesla, Inc.》
  • 全国150か所以上に設置されているディスティネーションチャージング《写真提供 Tesla, Inc.》
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