クルマがディーラーに来てるのに納車できない! 悪循環に入り込みつつある納期遅延の実態
この記事をまとめると
■いま納期遅延が新たなフェーズに入ろうとしているという■クルマがディーラーに届いたあともなかなか納車できないことがある■理由はアクセサリーの装着などを行う人員の不足
納期遅延が新たなフェーズへ
「新車の納期遅延」というものについて、すでに聞き飽きた人も多いかもしれない。半導体をはじめ部品供給の滞りがいまだに続き、思うように車両生産ができないことが納期遅延のおもな理由とされているが、その納期遅延も新たなフェーズに入ろうとしている。 筆者は2月末に半年ほど待って新車が納車となった。しかし、この新車の初度登録年月日は2023年1月31日となっており、初度登録から約1カ月かかり手元に届いたことになる。平時のつもりで筆者は当初、「1月31日登録ならば2月上旬には納車になるかもしれない」と考えていたのだが、担当セールスマンからは一向に納車をいつにするかなどの連絡がこない。2月中旬になっても具体的な納車時期がはっきりしないので、セールスマンにどうなっているのかと聞くと、当該新車が自分の販売会社に届いてからフロアマットやサイドバイザーなどのアクセサリーを装着するのに時間がかかっているとのことであった。 メーカーから完成車が届くと、当該ディーラーで車両の最終整備や前述したような「ディーラーオプション」とも呼ばれるアクセサリーを装着し、担当店舗へ陸送されて晴れて購入者へ納車となる。現状ではそのアクセサリーを装着したりする人員が不足しており、時間を要しているとのことである。
工場ではなく店舗でメカニックがアクセサリーを装着するディーラーも
「私が聞いた話では、ディーラー内の専門工場でまとめてアクセサリーを装着するのではなく、各店舗へ装着せずに配車し、各店舗のメカニックが装着するようになるとのディーラーもあるようです。ただでさえ点検・整備で多忙なメカニックにそのような業務をさせれば、納期はさらにかかるようになるのではないかと話題になっています」とは事情通。※写真はイメージ あるメーカーではメーカーの生産工場で各ディーラーへ出荷する前にアクセサリーの装着を行い出荷しているとも聞いている。実際店舗にきてからはETCのセットアップやボディコーティングぐらいしか作業は行わないとのことであった。 コロナ禍となってからも目立って販売が落ち込まなかった新車販売だが、それでもコロナ禍前よりは販売台数が落ち込んだのは確か。しかも、新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着きを見せてくると、今度は新車の納期遅延が発生し、さらに世界的なインフレとなった。納期遅延で思うように新車が供給されないなか、世界的なインフレも手伝い新車の生産コストも上昇することになり、ただでさえギリギリだったディーラー収益を圧迫した。労働集約型産業でもある新車ディーラーだが、すでに整備部門も販売部門も各店舗での定員割れも常態化が目立ち、規模縮小がメーカーから届いた新車の整備やアクセサリー装着などを行う間接部門へ向かっていると考えられる。 仮に新車の生産状況が改善されたとしても(短期間では難しそう)、今度はディーラーに新車が来てから待たされるという事にもなりかねない事態になっている。