燃費ならAT! 速さでもAT! 悔しいからMT派が「楽しい以外」のメリットを探してみた
この記事をまとめると
■MTの新車は新車販売台数全体の1%前後と言われている■MTは故障が少ないほか、スポーツカーの場合はMTの方が査定が高いケースが多い■操作が多いMTは認知症予防の効果も研究されている
あえていまMTのメリットを見つめ直してみた
いまや1%にも満たないと言われているMT車の販売比率。それぞれにメリットとデメリットがあったとしても、ATのほうが優れているというのが世間一般の認識であることは間違いないでしょう。しかし、「MTだけが得られるメリット」も探すとまだまだあります。それは運転の楽しさといったありきたりなものだけではありません。
修理費が安い
トランスミッションが故障してしまったら走行不能になってしまう場合が多いです。そうなると騙し騙し走らせることすら出来ません。これがATの場合、ユニットごと交換となる場合が多く、その分修理費用が高額になることが多いです。しかし、MTの場合だったら故障内容にもよりますが、騙し騙し走らせることも出来ますし、ユニットごとではなく故障個所のみの修理で済むことも多いので、修理費用もATに比べて安価になることが多いです。 また、致命的な故障がATに比べて起きにくいというのも修理費用に関するメリットと言えるでしょう。これは中古輸入車を探している人たちの間でありがちな話ですが、高温多湿でストップ&ゴーが多い日本の環境にはATが合わず故障が多いという理由で、AT/MTどちらもラインアップに存在するモデルの場合、あえてATの個体を避けて中古車探しをするユーザーもいます。
エンジンブレーキが有効に使える
AT車でもエンジンブレーキを使用することはできますが、MT車の場合はATよりも利きやすいです。そのため、ワインディングの下りなどで、ブレーキを労りながらより安全に走行することが可能です。とくにMT車のエンジンブレーキの恩恵を強く感じることができるのは雪道を走行する時です。 AT車に比べて駆動でクルマを抑える力が強いので、より安心して低μ路の雪道を下ることができます。
MTはお金の面でも安全面でも有利!?
査定が高価になりやすい
これは車種によって異なる場合がありますが、MT車の場合、希少価値や人気の高さが評価されて査定額が高く付きやすい傾向にあります。スポーツ系の車種ならば間違いないでしょう。 また、スポーツモデルでなくても趣味性の高いイタリア車やフランス車でもこのような傾向はみられます。リセールを気にするならばMTを選ぶのもアリと言えます。
事故率が低い
近年、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故に関する報道が増えていますが、MT車の場合、発進にも停止にもクラッチ操作が必要なため、このような操作ミスによる事故が起こりにくいのがメリットと言えます。 実際に大学の研究などでは、一定台数あたりの事故率はMT車のほうが低いという研究結果が出ています。もちろん、MTだからという理由がすべてではありません。しかし、面倒な操作が安全性を高めていると捉えることができるでしょう。
認知症予防につながる?
これはまだ研究段階ですが、マツダは「MTの操作に認知症を防ぐ効果があるのではないか」、そんな趣旨の研究をおこなっています。AT車より操作が複雑で、操作ミスをすると車両がストップしてしまう(エンスト)MT車。その面倒さが認知症を防ぐのに役立つのではないか? という訳です。アクセルとブレーキの踏み間違い事故でも高齢ドライバーの例が挙げられがちですが、もしかしたら高齢ドライバーにこそMT車がオススメなのかもしれません。 まだ先の話にはなりますが、筆者も両親が高齢になってきたら衝突被害軽減ブレーキが装備されているMT車を勧めようかと考えています。地方では生活にクルマが必要不可欠ですので、免許返納を勧めにくいのも事実です。「実家の親が生活で運転しているのが不安……」、そんな人はあえてMT車をオススメしてはいかがでしょうか。 最後に紹介した研究のように、「いまさら……」と思われているMT車にもまだまだ未来があると言えるでしょう。今後のMTに関する研究開発に注目していきたいところです。