480馬力エンジンで80kgも軽量化! 全日本ダートラを爆走した「スーパーBRZ」の恐るべき戦闘力
この記事をまとめると
■全日本ダートトライアル選手権の開幕戦が行われた■この記事では鎌田卓麻選手の新型BRZのマシンに注目■トラブルに見舞われたものの、今後の活躍に期待
ターボで武装した新型BRZの実力は如何に!?
未舗装コースのスピード競技、全日本ダートトライアル選手権もついに開幕を迎え、3月18日〜19日、京都府の京都コスモスパークを舞台に開催。各クラスで激しいタイム争いが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めていたのが、鎌田卓麻が投入した「itzzオクヤマDL栗原BRZ」だと言えるだろう。 鎌田はご存じのとおり、全日本ラリー選手権でも活躍するドライバーで、全日本ダートトライアル選手権でもトップ争いを展開。2019年からは旧型のZC6型のBRZを武器に最高峰のDクラスで活躍してきた。 この2023年にデビューした同モデルはZD8型の二代目BRZをイメージしたダートトライアル競技用モデルで、ZC6型の旧型BRZと同様に名門コンストラクターの栗原オート企画がDクラス車両として開発。フレーム自体はZC6型の初代BRZが使用されているが、バンパーやフェンダー、ヘッドライト、テールランプなどのボディスキンはZD8型の新型BRZから移植さており、しかも、新型のZD8は旧型のZC6よりも全高が10mmも低いことから、ボディパネルを装着するためにピラーをカットしてルーフ位置を低くしている。
ダートでも性能を発揮できるマシンに進化
搭載されているパワーユニットは2500ccのEJ25型エンジンでIHIのタービンをインストール。自作のマフラーを組み合わせることで最高出力は480馬力前後を実現したという。ダンパーはテイン、ブレーキシステムはウインマックスで、PPGのドグミッションを採用。新型BRZのボンネットがスチールからアルミに材質が変更されたことに加えて、軽量化を追求すべく、アーム類も栗原オート企画のオリジナルパーツを使用したことで同社のチーフメカニック、市村圭一氏によれば「昨年まで使用していた旧型BRZの車両重量は1100kgですが、80kgは軽くなったと思います」とのことだ。 つまり、新型BRZは究極のパワーウエイトレシオを誇るモンスターマシンだが、これに加えてステアリングを握る鎌田は「これまで乗っていた旧型BRZはリヤのジオメトリーがあまり良くなくて、途中で変更したんですけど、この新型BRZではその経験を活かして、アッパーアームも作り替えているのでジオメトリーの最適化もうまくいっていると思います」と語る。 事実、18日にウエット路面で行われた公開練習で鎌田×新型BRZはトップタイムをマークしていた。「クルマが軽いおかげなのか、とてもコントロールがしやすい。きちんと止まるし、加速もトラクションがかかっている。慣性モーメントが少ないので、リヤが流れずに止まってくれる。乗りやすいのでミスも少ないと思います」と鎌田も好感触だ。 それだけに好天に恵まれ、ドライで行われた19日の競技本番でも鎌田×新型BRZの躍進が期待されていたのだが、予想外のトラブルが発生した。第1ヒートでドライブシャフトのトラブルが発生すると、第2ヒートでもドライブシャフトのトラブルに祟られ、アタックができないまま競技が終了。なんとかフィニッシュしたことにより、12位で完走したものの、鎌田×新型BRZは不完全燃焼の状態でデビュー戦を終えることになったのである。「ドライの路面でもフィーリングはとても良かった。ドライブシャフトにトラブルが発生したことは残念ですが、それだけトラクションがかかっていた証拠です。マシンをチェックして次戦までに対策を行いたいと思います」と鎌田は好感触を掴んでいるだけに、今後も鎌田および新型スーパーBRZの動向に注目したい。