トヨタの商用車プロボックスはなんとダイハツ製だった! 意外と知らない2社が関係しているクルマたち
この記事をまとめると
■ダイハツは創業120年を超える老舗メーカーで、現在はトヨタの子会社となっている■トヨタ車の受託生産やOEM生産を手掛けていることでも有名だ■営業車で有名なプロボックスもダイハツの工場で手掛けている
ダイハツとトヨタの関係は想像以上に深かった
軽自動車におけるシェアナンバーワンを誇るのはダイハツ工業である。2022年の軽自動車販売台数は53万8974台、全軽自協の発表によれば、市場シェアは32.9%でトップとなっている。 そんなダイハツは創業120年を超える、日本の自動車メーカーでは随一の歴史を持つ会社でもある。大阪にある発動機(エンジン)の会社ということで「ダイハツ」という愛称で呼ばれるようになり、それが社名になったというエピソードも有名なところだ。 そんな長い歴史を誇るダイハツだが、現在はトヨタの完全子会社となっているのも、ご存じのとおりだ。それでも独立したブランドとして存在感を示しているのは、前述のように軽自動車でのシェアが高いことにあるだろう。 しかし、ダイハツは軽自動車だけを作っているわけではない。トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーやトヨタ・ルーミー/ダイハツ・トールといったコンパクトカーにおけるトヨタとダイハツの姉妹車は、基本的にダイハツが生産している。開発においてもダイハツの知見が採用されていることが多い。 軽自動車においては、多数のモデルをトヨタとスバルにOEM供給を行っているのもよく知られているところだ。 そんなダイハツがトヨタとの関係を深めるようになったのは、1967年にトヨタと業務提携をしたことに端を発している。その後、ダイハツはトヨタのコンパクトカー「パブリカ」の受託生産をするようになる。 受託生産とOEM供給というのは、似ているようでまったく違う概念だ。 業界によって理解はさまざまだが、少なくとも自動車業界においては、OEM供給は商品の開発から担当していることを意味している。ほとんどのケースにおいて、自社製品をベースに相手先ブランドのエンブレムに変えたものを供給する場合に、OEM供給という表現が使われている。
意外なクルマがダイハツの工場で生産されていた!
たとえばトヨタのリッターカー「パッソ」はダイハツ・ブーンの姉妹車で、ダイハツからOEM供給しているモデルである。パッソのカタログやホームページで主要諸元の表を見ると、下のほうに「製造事業者:ダイハツ工業」と書かれているはずで、それこそOEM供給であることの識別ポイントといえる。 一方で、受託生産においては車両の開発・設計までは依頼する企業が行う。受託する企業は、生産だけを担当するというスタンスになる。たとえばスバルの北米工場では、かつてトヨタ・カムリを作っていたこともあるが、それは典型的な受託生産だ。 そしてダイハツは、いまでもトヨタ車を受託生産している。そのクルマこそ商用バンとして名高い「プロボックス」だ。 ダイハツのホームページにおいてプロボックスの車体及び、NR型エンジンの受託生産をしていることが明らかにされている。ただし、プロボックスの主要諸元を見ても「製造事業者:トヨタ自動車」となっているので、ダイハツが関わっていることは意外に知られていないかもしれない。 トヨタの商用車でいうと、タウンエースもダイハツ製となっている。こちらはダイハツが開発から行い、インドネシアで「グランマックス」として販売しているモデルを日本向けの商用車としてアレンジしたもので、OEM供給といえる。実際、タウンエースの主要諸元表を見ると、「製造事業者:ダイハツ工業」となっていることが確認できるはずだ。 ちなみに、トヨタ車のなかでも圧倒的なリセールバリューの高さを誇る「ランドクルーザープラド」は、日野自動車が受託生産を行っているモデルだったりする。そもそもランドクルーザー300系についてはトヨタ車体が全面的に担っていたりもする。 OEM供給と異なり受託生産というのは、グループ内でのリソースの最適化や提携企業の工場稼働率を高めるためなど、技術力だけでなく経営判断的な部分もある、いずれにしても、OEM供給や受託生産といったキーワードと車名を組み合わせて検索すると、意外で興味深い事実が判明するかもしれない。