最近のクルマは気密性高そう! 「車中泊」で「酸欠」になることはないのか?
この記事をまとめると
■最近のクルマは気密性が高いように感じるが、クルマの構造上、気密性を上げるのは難しい■すべてのウインドウを閉めたまま車中泊しても息苦しくなることはない■とはいえ窓を少し開けてサーキュレーターを動かすなどすればより車中泊での快適性が上がる
閉め切った車内で車中泊してもなんの問題もなく過ごせる
クルマの高級感を判断する方法として、ドアを閉めたときの「バフッ」という音を参考に気密性の高さを判断している、というドライバーは少なくない。その方法自体は、厳密には気密性の優劣には関係なかったりするのだが、近年のクルマが静かになっていることからも気密性が高くなっているという印象を持つユーザーも多いだろう。 ただし、クルマの構造的に気密性を上げることは難しい。仮に気密性を極端に高くするとドアを閉めたときに空気の逃げ場がなくなってしまうし、乗員の呼吸によって短時間で車内の二酸化炭素濃度が上昇してしまう。ある程度、空気の通り道は確保する設計になっている。「車中泊」と「酸欠」という刺激的なワードを使ったタイトルとなっているが、結論からいえば呼吸困難になるほど二酸化炭素濃度が上がるということは考えづらい。セキュリティなどのニーズからガス兵器対策をしているような特殊なクルマを除けば、窓を締め切った車内で寝ていても、なんの問題もなく過ごせるはずだ。 車中泊での安全性を考えると、ドアを施錠するのは当然として、窓もきっちり閉じておきたいものだが、そうして一晩を過ごしたからといって、呼吸をするという点においてはなんの問題もない。 ただし、筆者の経験でいうと、閉め切った車内で一晩を過ごすと窓の内側が結露によってビショビショに濡れてしまうことはある。湿度計の数値が80%ほどに高くなってしまうこともあるから、季節によっては、けっして快適とはいえないこともあるのだ。
ちょっとした工夫でより快適な車中泊が可能
こうした事態を避けたいのであれば、必要なのは換気機能の確保となる。 基本となるのはウインドウバイザーをセットしておいて、外部から手を入れられない程度に少し窓を開けておくこと。さらに、窓にセットするタイプの電動ファンを利用して換気するのもいい。 筆者は窓を少し開けるのに加えて、ポータブル電源(大容量バッテリー)によりサーキュレーターを動かすことで車内の空気を攪拌、車中泊での快適性を上げるよう工夫している。 本格的なキャンピングカーになると屋根に換気扇を設置することもあるが、屋根に穴をあけるというのはリセールバリューを大きく下げる改造であり、手軽な車中泊仕様でそこまでやるのは現実的ではないだろう。 ただし、これまた経験則でいえば窓を少し開けて換気するくらいの対策では結露をゼロにすることは難しい。季節によっては隙間からの冷気を防ぎたいこともあり、窓を閉めるほうが快適に過ごせることもある。むしろ結露は覚悟の上でウエスなどを用意しておいて対策するほうがいいかもしれない。 なお、エンジンをかけたまま就寝するというのは、マフラー出口が塞がれるなど不測の事態が起きると「一酸化炭素中毒」になってしまうこともあるので絶対にNGだ。窓を閉め切った車内でガスコンロを使用したり、ストーブなどを使ったりするというのも同様に一酸化炭素中毒の危険性を高める。 ご存じのように一酸化炭素中毒というのは意識を失い、そのまま死に至ってしまうことがある。車中泊では密閉性による酸欠ではなく、なにかを燃やすことで発生する可能性がある一酸化炭素を注意すべきだ。 一酸化炭素炭素の濃度を簡易的に計測できるチェッカーは手軽に入手できるので、キャンプなどを趣味としている方も含めて、一酸化炭素が心配なシチュエーションがありそうならば、購入を検討することをおすすめしたい。