小手先の威圧感は要らない! 新型トヨタ・ハイラックスが醸し出す「本物」の力強さ

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装飾で威圧感を出す今どきのトレンドとは一線を画す

 久々のニューモデルとして国内で発売されたハイラックス。スポーティなデザインを採用しているが、プロフェッショナルの目にはどう映ったのか? 自動車をはじめ各種工業製品や空間、住宅など、さまざまな分野でのデザイナーインタビューを行っている鈴木俊男さんが解説する。

「タフ&エモーショナル」をコンセプトに、迫力と躍動感を求めてデザインされた新型ハイラックスのエクステリアデザイン。個人的な印象を述べさせていただくなら、そのデザインの特筆すべき点は、「力強いけれど、決して威圧的ではない」ということだ。

 力強さは、近年のカーデザインの大きなトレンドのひとつ。もともとはクルマのハイパワー化にともないタイヤが大型化し、それを収めるために大きく張り出したフェンダーが、力強さを表現するデザインの原点になったと言えるだろう。いわば機能を形にすることで始まった力強さ表現だが、その後、表現の幅は広がり、今やクロカンやSUVはもとより、ミニバンにさえ「力強さ」がもてはやされるようになっている。これらの多くのクルマの力強さの表現には、ある共通点がある。それは「押し出しの強さ」や「威圧感」だ。

 そう見えてしまう理由の1つは、力強さを装飾性によって表現しようとすることにある。それは人間にたとえるならば、これみよがしに筋肉を他人に見せつけたり、武器をたくさん身に付けたりした人の姿ということになるだろう。見た目は確かに強そうだが、「力」をひけらかす姿は周囲の人間に対して強い威圧感を与えてしまう。エアロデザインや加飾によって力強さを演出するカーデザインにも、それと同様の威圧感があるというわけだ。

 一方の新型ハイラックスは、装飾で力強さを表現しようとはしていない。たとえばボディサイドやデッキのデザインの印象は、装飾どころかむしろシンプルだ。けれども「単純」ではない。ボディパネルの3次元的に変化する微妙な抑揚は、シンプルどころか複雑精緻の極みのような産物だ。この形状が決定するまでには、間違いなくコンマミリ単位での修正が何度も何度も繰り返されているはずだ。

 現代の先端をいく工業デザインでは、「シンプル」イコール「単純」ではない。さらに言えば、「シンプル」イコール「質素」でもない。複雑な各ディテールを巧みにまとめ上げ、全体の印象をシンプルに見せつつ、さらには上質感まで表現するのが現代の「シンプル」なのである。

 新型ハイラックスのエクステリアは、そんなデザインのひとつと言える。見る者に親密な印象を与える柔らかで上質な面表現は、「威圧感」ではなく「頼もしさ」を感じさせてくれるもの。「頼もしさ」は、ハイラックスというクルマの性格に見事なまでに一致した「力強さ」と言うべきものだ。

 装飾ではなく、佇まい。ハイラックスの力強さはそこにある。見れば見るほど味わいが出てくる力強さだ。

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