一時は消えかけた4WSが今高性能車を中心に続々採用されている理由とは

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曲がりやすさに加えて安全面や燃費にも有効

 4WSというのは4 Whell Steering(フォー・ホイール・ステアリング)の略です。日本語では四輪操舵といいます。通常のクルマは前輪が操舵輪になっていますが、後輪にも操舵機構を与えて4WSが成立します。

 この4WS、世界で初めて量産化したのは1987年のホンダ・プレリュードで、その後、日本メーカーは次々と4WSを採用しますが、違和感が大きく改善されることはなく、自然消滅していきました。しかし最近、4WSが復活してきているんですね。とくに高性能なモデルやスーパーカーに、4WSが採用されているのです。

 最近はリヤ・アクティブ・ステアとか、リヤ・アクティブ・トーコントロールなど、4WSとは呼ばない場合もありますが、要するに後輪も操舵するシステムということでは、変わりありません。コンピュータコントロールによって、精密に操舵量を制御するのが一般的です。

 ではどうして高性能車やスーパーカーに採用されるようになってきたのでしょうか?

 まずはクルマの姿勢制御です。ワイドなタイヤほど、曲がりにくくなります。クルマが曲がろうとする時に、リヤタイヤは捩じれることになりますが、ワイドタイヤほど捩じれ難いので、結果として曲がりにくくなります。ステアリングの操舵量が大きいタイトコーナーになればなるほど、クルマは曲がりにくく感じるわけです。それで前輪とは逆方向へステアを与え、捩じれなくてもクルマが曲がる状況にしてやるわけです。

 また高速コーナリングなどでは、前輪と同じ方向へステアし、ヨーイングモーメントを少なくすることで、クルマの走行安定性を高めます。これはホイールベースを伸ばしたような効果になりますね。

 4WSは低燃費にも有効です。クルマがもっとも不安定になるのはブレーキング時ですが、安定させるために後輪にトーイン(クルマの前方に向かってタイヤがハの字になる状態)のジオメトリーを与えたいのです。しかしトーインにしておくと、リヤタイヤの走行抵抗が増えてしまいます。そこで通常はトーをゼロにしておいて、ブレーキング時にだけトーインを与えることで、安定性を高めることが可能になります。それも4WSのひとつの効果になります。

 さらに安全性を高める効果もあります。それはESC(横滑り防止装置)が作動するようなシーンでは、ブレーキよりも後輪をステアさせるほうが有効なケースが少なくありません。前輪にアクティブステアを与えれば、前後輪ともにコンピュータ制御が可能になり、より効果は高まります。とくに速度が高くなるほど、ブレーキよりもステアンリングのほうが有効性は高くなります。

 そして4WSは将来的に、どんどん拡大していくことになります。それは自動運転化技術のひとつだからなんですね。安全性はもちろんですが、ライントレース性の補正に使いやすいなど、ドライバーの不安感を小さくするための効果もあります。

 また最終的にステアリングホイールやペダルがなくなった場合には、前輪と後輪は同じような角度にステアすることで、より取り回しが楽になると考えられています。完全自動運転の大きなハードルのひとつは、難度の高い場所への駐車で、それを上手くこなすためにも必要な機能のひとつであると予想されているのです。

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