アジア向けに開発したタイヤは本当にアジアに合うのか? コンチネンタル マックスコンタクトMC6試乗

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路面に吸い付くようなグリップ力と静粛性を併せ持つ特性

 アジアパシフィック地域をメインターゲットとして開発されたコンチネンタルのスポーツタイヤが「マックスコンタクト6」(以下MC6)だ。アジア向けの戦略商品ではあるのだが、商品説明を聞くと大真面目にタイヤ開発を行っている。なにより最新の超ウルトラハイパフォーマンスタイヤである「スポーツコンタクト6」の技術がふんだんに使われているのだ。加えて、アジアパシフィック地域で評価の厳しいノイズ性能にも力を入れている。ドライ、ウエット路面でのハイグリップ性能と静粛性がこのタイヤのキーワードといえそうだ。

 具体的にどんな技術が盛り込まれているのかだが、トレッドデザインは5リブ(縦のブロック列)の左右非対称パターン。4本の太い縦溝が基調になっているのだが、この縦溝はU字型の左右の壁の角度が異なり、大げさに言うとやや台形の断面形状となっている(左右非対称リブアングル)。これによって横方向の力がかかったときに、ブロック剛性が高くとれるようになっているのだ。

 また縦溝のエッジは面取りが施されている。チャンファといってブロックに強い力がかかったときに、ブロック端がめくれあがって接地面が減少するとともに磨耗の原因となる。これを抑制するための処理だ。またショルダーブロックには、周方向にブロックをつなぐスタビライザーバーが設けられており、強い加減速でブロックが縦方向に変形したときに、前後のブロックがつながって強いブロック剛性を発揮するというもの。

 反対にイン側ショルダーブロックにはシェブロングリップエレメントと名付けられた切り欠きが刻まれている。これはコーナリング中のブロック剛性を適正にすることで、トレッドイン側の接地性を良くし、グリップ性能を高める働きを持っているのだという。

 縦溝にはノイズブレーカー2.0と名付けられた突起がつけられており、これが溝内で発生してパターンノイズとなる“気柱管共鳴音”を抑える役割を果たしている。雨でも200km/h以上で走るアウトバーンでは、排水性を妨げる突起はネガティブな要素が大きくなる。しかしそこまで常用速度が高くないアジアパシフィック地域なら、限界領域の排水性を若干落としてもノイズ性能を高めることができるということ。

 コンパウンドはマクロ、ミクロ、ナノレベルでの密着性を重視していて、徹底的に路面との密着性を良くしているのが特徴。興味深いのはミクロの密着性を良くすることで“ファンデルワールス力”が増大するといっているところ。ちなみにファンデルワールス力というのは、大雑把に言うと分子間に働く引力の事。たとえば、吸盤のないヤモリが家の壁にくっついていられる力も、ファンデルワールス力だといわれている。この考え方とテクノロジーは、スポーツコンタクト6にも用いられている。

 構造面ではエクストリームフォースコンストラクションと呼ばれる、ある程度の柔軟性を持ち一定のテンションがかかると伸縮性が抑えられ、高い剛性を発揮するベルト(キャッププライ)を採用する。これにより乗り心地のよさと高速域での操縦性を両立させている。

 説明が長くなってしまったが、試乗した印象も期待以上だった。試乗時はうまい具合に(?)ウエットコンディションだったので、図らずもウエット性能をチェックすることができたのだが、これが抜群に良いのだ。

 コンチネンタルの提供してくれた資料にあるレーダーチャートだと、先代MC5と比べてウエットハンドリングの伸び代はそれほど大きくなく、ドライハンドリングと耐摩耗性が伸びている。しかし、絶対値の印象としてウエット路面をとらえるタイヤのグリップする感触がいいのだ。まるでドライ路面のようにビタッ! とグリップし、不安なくカーブを曲がることができる。

 またグリップしている感触が手もとにはっきりと伝わってくるのだ。ちなみに、今回テスト用に用意したクルマはアクセラのスカイアクティブD。2.2リッターのディーゼルエンジン搭載車……のチューニングカー。ECUチューンでパワーを40馬力ほど高め、足まわりも車高調を組んでいる。タイヤサイズは純正サイズの215/45R18だ。

 クルマ自体のできは、カタログオプションにありそうなくらいまとまりのいい仕様だが、トルクに関してはノーマルに輪をかけてぶ厚くなっているので、ウエットの発進加速はタイヤにとってかなり過酷。ところが、MC6はあっさりとトルクを受け止め、加速してくれた。ウエットの発進で、一切ストレスがなく走れることにまず驚かされた。このところ省燃費系のタイヤの試乗が多かったこともあり、ウエットのフィーリングは最近の記憶にないくらい良かった。

 乗り心地は意外なほどマイルド。ソフトというのではないがタイヤの路面への当たりがマイルドで、しかもスムースにタイヤが転がっていく心地よい感触がある。なにやら長い名前のベルト……エクストリームフォースコンストラクションが低中速域でしなやかな乗り心地を作り出しているのだろう。

 経験的に言って、このくらいマイルドな乗り心地を持っていると、ドライ路面ではタイヤのヨレが目立ちやすいのではないかと思ってしまう。だが、ドライ路面ではむしろ逆にガシッと踏ん張るような剛性感があって、しかもタイヤが路面に密着している接地の良さからくる安定感と、粘着系のグリップの強さからくるどっしり感があった。

 操縦性も正確度の高いもので、ノーマルよりはだいぶ引き締められた足まわりのアクセラで高速コーナリングを試みても、タイヤがヨレるどころか、ビタッ! と路面をグリップし、そのままきれいに旋回していく。静粛性も上々だった。抜群に静か……ではないが、ざわついたような騒がしいノイズが上手に抑えられており、スポーツタイヤとしてみれば十分な静粛性を備えているといえる。

 正直なところアジア向けのタイヤにあまり良いイメージを持っていないのだ。1つには安く大量に売ることを目的にしたタイヤが多いからだろう。そんななか、MC6ついては個人的には例外の範疇に入る性能を持っていると感じた。国産コンパクトカーからスポーツカーまで、あるいは日本で乗る欧州系スポーティカー、高性能セダン。もちろんチューニングカーも。広く走る楽しさを提供してくれると思う。

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