好条件を引き出しやすい! 新車セールスマンに「気に入られるお客」とは

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かつて主流だった「ライバル車と競わせる客」はNG

 景気に左右されずに、構造的な新車販売の苦戦が続いている。若者を中心としたクルマ離れの加速、シェアリング社会の拡大、人口の高齢化による保有台数自体の減少傾向などなど、自動車販売を取り巻く環境について明るい話題が少ないのは確か。

 そのような状況のなか、販売現場で最優先されているのが既納客の囲い込みである。他メーカー車へ代替えされないようにするのはもちろんだが、今やその手前の自動車保有を続けてもらうようにしていかなくてはならなくなっている。

 既納客の囲い込みに効果的といわれ、今や自動車ローンでなくてはならなくなっているのが残価設定ローン。3年後や5年後の当該車両の残価をあらかじめ設定し、その残価相当分を支払最終回分として据え置くことで月々の支払い負担を軽減するもの。また支払最終回分の精算は当該車両の返却でも可能となっているので、そのタイミングで代替え促進に上手くつなげられるものとされていたが、そのまま車両返却をして自動車の保有をやめるひとが目立つという、想定外の事態に販売現場は困惑の色を隠せないでいる。

 つまり、まずは自分が今までお付き合いさせてもらっているお客について、自動車保有を継続してもらうことがある意味セールスマンの最優先の活動になりつつある。

 これは単なる新車販売台数うんぬんというだけでなく、車検をはじめとする定期点検入庫の減少傾向という事態まで招き始めている。最近ディーラーの店頭に、「他メーカー車の車検入庫大歓迎」などとする幟(のぼり)があがっていたりするのは、それをきっかけに新車代替えに結び付けようというのではなく、点検入庫自体の減少傾向に歯止めをかけたいという狙いが強いのである。

 そのためセールスマンとしては、できるだけ長くお付き合いができそうなお客を歓迎する傾向にある。過去にはライバル車を5車も6車も設定して、時間をかけて値引き額を競い合わせるのが新車購入についてはベストな商談法とされていた。

 今でもこの攻め方が通用しないとはいえないが、このような商談方法で好条件が提示されるのは、「このお客と長くお付き合いしたい」というよりは、たまたまその1台でノルマが達成できるなど、販売実績ありきのケースが多い。このような買い方をするお客は同じメーカー車で代替えを続けるケースは少なく、“お気に入りのクルマ”を優先させ、さまざまなメーカーを渡り歩く“ジプシー客”などと呼ばれることもあり、じっくり腰を据えたお付き合いができないケースが多いのである。このあたりはセールスマンも割り切った付き合い方をしてくる傾向が強い。

 セールスマンとしては、新車購入の優先基準が“お気に入りのクルマ”ではなく、とくにご執心なモデルはなく、応対してくれたセールスマンの人柄などが購入決定に大きく影響したなという手応えのあったお客については、より積極的なお付き合いを続けていきたいと感じることも多いようだ。

 ネット社会が浸透し、メーカーウェブサイトで見積りシミュレーションまでできる時代に、わざわざ5車も6車も比較検討して商談を続けるというのは、セールスマン側から見れば、「安く買えればそれでいい」という気持ちを強く感じ、「それだけでいいんだ」という気持ちになるのも確かなようである。

 いくらお客を囲い込みたいとしていても、誰でも良いというわけでもないのである。

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