それでも人間よりは安全? Uberの自動運転車による死亡事故は自動運転の未来にどんな影響を与えるか

コラム WEB CARTOP

「人間の運転による事故は多数起こっている」とは言えない事情

 交通事故による死者数は減っている。日本ではバブル期の1990年に1万4592名だった死者数は3694名で過去最少となった。こうした傾向は、自動車先進国といえる各国でも共通している。

 たとえばアメリカでの数値は同じく1990年が4万4599名だったのに対して2015年は3万5092名となっている。そのほか、ドイツは1万1046名が3459名に、フランスは1万1215名が3461名と減っている。ちなみに日本の2015年における交通事故による死者数は4859名だった。(※数値は内閣府発表値 )

 世界的にクルマの保有台数が減っているわけではなく、またクルマ社会であるアメリカにおいても交通事故による死者が減っているというのは、単純にハードウェアの進化によるものと考えるのが妥当だろう。衝突時に乗員を守る衝撃吸収ボディや各種エアバッグは数多の命を救ってきただろうし、ここ数年で一気に進化している予防安全機能は、事故の発生そのものを減らしている。

 その成果は、シチュエーションに限れば80%の低減効果とも言われており、いわゆる自動ブレーキや操舵アシストといった運転支援システムのさらなる進化は求められているところだ。すなわち、その発展として自動運転に進むことは大きな流れとしてもはや止められないところまで来ている。ドライブという行為を楽しんでいる自動車ファンにとっては、機械が目的地まで連れて行ってくれる完全自動運転の世界はもろ手をあげて歓迎できるものではないかもしれないが、バリアフリーの視点からも自動運転技術の進化が、多くの人に移動の自由度を上げることも疑いのない事実であろう。

 前置きが長くなったが、そうした社会的ニーズを背景に、自動運転の研究は世界中で進んでいる。いや、各国政府が実験しやすい特区の設定や法改正などの整備によって自動運転の開発をサポートしているのだ。自動運転技術は次世代に欠かせないイノベーションとして認識されている。それは日本においても同様で、経済産業省が自動運転の開発に対して積極的なことからもわかるだろう。そこにはAI(人工知能)など自動運転だけにとどまらない技術革新のきっかけになることも期待されている。

 一方で、自動運転技術を進化させるにはリアルワールドでの実証実験が必要だが、実験ということは失敗のリスクもあるわけで、そうした点において警察庁などの監督官庁からは消極的な声も聞こえてくる。

 さて、そうした状況の中、アメリカにおいて衝撃的な事故が発生した。それこそUberテクノロジーズが自動運転の実証実験中に起こした死亡事故だ。年間3万名以上が交通事故によって命を失っているアメリカでは、一日あたり100名以上が亡くなっているわけだが、ひとりの女性(自転車を押していた歩行者)が亡くなった事故は、ワンオブゼム(大勢のなかの一人)ではない。

 明らかになった範囲で、おそらく初めてのレベル3以上の自動運転走行中における死亡事故なのだ。「自動運転は常に安定していて、ドライビングのクオリティやレベルにバラツキのある人間よりも安全であるし、ヒューマンエラーをカバーしていることで交通事故減につながっている」というのが、これまで自動運転を推し進めるマインドを支えていた。

 しかし、市販車には採用されていないようなハイテクノロジーを用いた自動運転実験車で死亡事故が起きてしまったという事実は、そうした大前提を揺るがしている。 

 たしかに、公表されたオンボード映像などを見る限り、複数車線のある道で歩道とは逆側の、ヘッドライトの照射範囲外から自転車を押した歩行者が現れている。これは人間の目でも事前に検知できないと思えるものであるし、LIDARのような最新の空間センサーを使っていたとしても、自転車によって人間のカタチが消えてしまったと仮定すると、そこにある何かを歩行者と認識できなかったのもやむなしという意見が出てくることも理解できる。

 それでも人間の目では判別できない領域をカバーするのが自動運転技術であり、人間であっても避けられない事故という“いいわけ“のは自動運転からすると敗北でもあり、失望であろう。もちろん、システムの誤作動などをカバーするために乗っていた監視員の責任問題としては、人間の能力によって避けることができたかどうかは議論の中心となるだろうが……。

 それはさておき、今回の事故において自動運転を否定する感情については、ひとつには失望の要素があるだろう。技術進化によって交通事故は減ってきたという認識があり、さらに将来的にはゼロになるかもしれない、という期待が裏切られたことによる失望だ。

 もうひとつ、自動運転を信じられないという層からすると「それ見たことか」という感情が生まれている面も否めないだろう。ここで問題なのは前者、今回の死亡事故によって失われた信頼や期待というのはUberだけの話ではない。より進んでいるとされる多くの自動車メーカーも、これまで以上に厳しい目で見られることになろう。

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