新型車を生み出すように改良! トヨタ新型アルファード/ヴェルファイアのエンジニアが込めた思いとは

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高級車を知り尽くした人も満足する最上のクルマづくりを目指した

 初代アルファードの誕生は2002年。2008年には初のフルモデルチェンジが行なわれ、ヴェルファイアも導入。そして2015年に登場した3代目(ヴェルファイアは2代目)は、歴代モデルのなかでも最大のヒット作となり、国内Lクラスミニバンの王者たる地位を確固たるものにした。

 3代目が目指したのは、高級ミニバンの不文律にとらわれない新しいクルマづくり。3代目の開発と、今回のビッグマイナーチェンジで責任者を務めた吉岡憲一さんは、アルファード/ヴェルファイアを取り巻く状況について、次のように語ってくれた。

「2代目で全体ユーザーの約2割だった法人富裕層のお客さまが、現在では約3割になっています。個人事業主のお客さまも含めれば4割を占めるほどです。そのほか、著名人のお客さまも増えています。また、先代まではヴォクシーといったミディアムクラスのミニバンから買い替えられるオーナー様が少なくなかったのですが、3代目では先代のアルファード/ヴェルファイアから乗り替えられるお客さまが増えています」

「さらに言えば、3代目になってからは、最上級グレードの売れ行きがよく、もっとも人気の高いグレードが従来よりも上のグレードになりました。こうした状況は、われわれが3代目で目指した『新しい時代の本当の高級』がしっかり訴求できている証だと思います」

 こうしたユーザー層の変化は、今回のマイナーチェンジの方向性に大きな影響を及ぼしている。

「大切にしたのは、高級車を知り尽くした富裕層のお客さまがさらなる満足感を得られるような最先端の安全装備を盛り込み、高級車の基本性能をしっかりと作り込むこと。とくにこだわったのは2列目の乗り心地ですね。3代目からはダブルウイッシュボーンを採用するなど、先代に比べて格段に進化していますが、この点はある意味、青天井の分野です。やってもやってもキリがない。それでもとことん進化させなきゃいけない。今のアルファード/ヴェルファイアは、レクサスLSやクラウンにお乗りなっているようなお客さまも購入の検討をするクルマです。やり過ぎということはありません」

3代目で向上させた乗り心地をさらに磨き上げた

 開発チームでは、歴代アルファード/ヴェルファイアのユーザーへの徹底的なリサーチを実施し、数多くの意見を収集。ほとんどが好評点ではあったが、なかには高速道路で若干ふわふわするという意見もあった。著名人やVIPユーザーには、移動中の時間を2列目のシートでゆったりと快適に過ごしたいというニーズが多い。富裕層ユーザーの増加によって、より厳しい目でジャッジされるようになったということだろう。操縦安定性の煮詰め作業に携わった辛島智聡さんは次のように語る。

「高級サルーンでは実現できない大空間がアルファード/ヴェルファイアの最大の魅力のひとつですが、一方、背の高いボディはセダンに比べて重心が高くなり、また、大空間ゆえにボディ剛性でも不利です。とくにアルファード/ヴェルファイアはスライドドアの開口部が大きくなっているので、そのままではどうしても弱いんです」

「2代目から3代目のフルモデルチェンジの際に構造用接着剤を用いることで開口部の変形対策を行っていますが、今回のマイナーチェンジでは構造用接着剤の適用範囲をさらに広げ、ボディ剛性の一層の向上を図っています。上物をしっかりと作り上げたうえで、細かいチューニングを施し、ミニバン特有の大きなロールの低減を図っています」

 構造用接着剤は、質感の向上にも大きな貢献を果たしていると語る吉岡さん。

「フロントガラスやバックドアのガラスなどに高剛性接着剤、ボディに構造用接着剤を使ったことで、高周波の振動を抑えています。これらの接着剤はボディ剛性向上にすごく効果がありますが、単純にすべてに適用させてしまうと、ボディが硬くなり過ぎてしまいます。操縦安定性は高まるけれど、ゴツゴツとした乗り心地や、ビリビリ音のような高周波のノイズなど、質感が低下してしまうんですね。うまいバランスを考え、効果的な効きどころを探りながら行なう必要があるんです」

 振動・ノイズ対策といった質感向上対策は、それぞれのグレードで実施されているが、とりわけ最上級グレードの「エグゼクティブラウンジ」では、徹底的な対策が行われたという。

「エグゼクティブラウンジは売り上げの全体構成比で約10%を占めるほど好評です。このグレードを対高級サルーンという意味においてもしっかり作り込んでいけば、アルファード/ヴェルファイアというクルマのイメージリーダーとしての存在感を放てるのではないかと考えました。フルモデルチェンジの際にも専用のサスチューニングをはじめ、さまざまな取り組みを行いましたが、今回は2列目の低騒音化・低振動化の向上についてとくに力を入れています。このグレードではアコースティックガラスと呼ばれる吸音ガラスを採用して、風切り音や外部から侵入するノイズを、さらに低減させています」(吉岡さん)

 最上位グレードのエグゼクティブラウンジの魅力のひとつは、ゆったりと過ごせる幅広のエグゼクティブラウンジシート(2列目)だ。だが、ユーザーへのリサーチでは、もう少し楽に3列目へ移動できることを望む声があったという。とはいえ、幅の広い贅沢なシートのままで、3列目へのウォークスルーもさらに快適にというのは、ほとんど無い物ねだりに等しい要望に聞こえなくもない。だが、開発チームはこの声にも正面から取り組んでいる。

「電動のエグゼクティブラウンジシートに、マニュアル式のウォークインレバーを付けたんです。このレバーを引くと、パワーシートのロックが外れて、シートを前側に倒すことができ、3列目にすっと行けるようになるんです」(吉岡さん)

 もともと電動のウォークインスイッチも備えているが、電動だとどうしてもシートの可動に時間がかかってしまう。VIPのユーザーのなかには、短い移動時間でもシートをフルフラットにして少しでも休息を取ろうと考える人が多く、なおかつ1分1秒の時間の価値を大切にする人が多い。シートを1秒でも早く可動させようというマニュアルのウォークインレバーは、そんな富裕層ユーザーの立場に立って考えた、開発チームの「おもてなし」の心による工夫と言えるだろう。

「おっしゃる通り、『おもてなし』は3代目の開発時にも大切なキーワードのひとつでした。エグゼクティブラウンジだけでなく、たとえば上からふたつ目のグレードにもフロントのシートヒーターや空調シート、ステアリングヒーターを標準装備するなど、ほかのグレードでも、おもてなしの心は大事にしています」(吉岡さん)

今回は4つのモデルを作るようなもので開発に苦労を重ねた

 各グレードにさまざまな心配りが行き届いている新型アルファード/ヴェルファイア。それぞれのモデルごとに標準ボディとエアロボディが用意されるため、開発チームにとって、今回のプロジェクトは、まるで4つのクルマを作り上げるようなものだった。

 製品企画の土屋郁俊さんは、プロジェクトを次のように振り返る。

「フロントのデザインひとつとっても、空力性能やエンジンルームの冷却性能、さらにはホーンの音量を決めるための穴の大きさなど、4つのモデルすべてでさまざまな部分に対する風洞実験を行う必要があります。とはいえ、開発期間には限りがあります。それぞれの試作車を用意するタイミングが適切でないと、全体のスケジュールも大きく変わって来てしまいます。そうした面でも苦労の多い開発だったと思います」

 ちなみに開発責任者の吉岡さんは、初代アルファードを15万km以上も乗り続けた元オーナーであり、現在も3代目アルファードが愛車というエンジニア。自分が一番好きなクルマもアルファード/ヴェルファイアというだけあって、このクルマへの想いは人一倍熱い。

「好きなクルマを作らせてもらうので、どんな苦労も苦になりませんし、どこまでだって入り込めます。開発中は寝ているときでさえもクルマのことばかり考えているかのようでした」

 さらに充実した安全装備や、質感が高く余裕のある走りを生む新型V6エンジンなど、見どころの多い新型アルファード/ヴェルファイア。高級感をここまで追求したミニバンは、そもそも世界でもきわめて稀な存在と言えるが、今回のビッグマイナーチェンジによって、さらなる高みに到達したと言えそうだ。

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