名車の名前を復活させたクルマはその名に恥じない仕上がりか? 4車種でチェック

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欧州車たちは初代オーナーを納得させるクルマに仕上がっている

トヨタが誇るかつての名車“レビン”の名前が中国市場で復活している、というのは知ってる人は知ってるお話。日本市場でレビンの“レ”の字も聞こえてこないのはまぁいいとして、中国版レビンがハイブリッドカーであるということもまぁいいとして、どこか釈然としないのはその名前がスポーティなモデルでも何でもない、凡庸な4ドア・セダンに冠されてるということだ。

レビン=ホット・モデルであり、その存在を好ましいものとして育った世代にとっては、大切なものを誰かにポイ捨てされちゃったような気分。このネーミングを凡庸なセダンに与えることを思いついた人もそれを許した人も、“レビン”という存在に特別な感慨を持つ少なからぬ熱心なクルマ好きたちの気持ちを理解してないのだな、とガッカリさせられる。

ヨーロッパのメーカーは、もっと上手くやっている。かつての名車の名前を携え、時を隔てて姿を現したクルマたちは、もちろん生まれ落ちた時代の違いで得ることができなかった部分もあるにせよ、いずれもオリジンが持っていた世界観というものをちゃんと身につけていた。

2001年デビューのミニ、1998年に誕生したフォルクスワーゲン・ビートル、2007年に登場したチンクエチェントことフィアット500については、今さら述べるまでもないだろう。いずれもそれぞれの国で暮らすフツーの人たちのための実用的な乗用車として作られ、多くの人に自由に移動できる喜びや自動車というものを運転する楽しさを与え、生活や遊びの幅を大きく広げ、いつしか世界中で愛されることになった歴史的な名車である。そして同じ名前を持った後継ぎは、それぞれ同じ実用車ながら少々スペシャルティ色の強いモデルとして誕生した。いずれもひと目でそれと判る姿をしていて、ミニはキビキビとした走りのテイストを、ビートルはまったりとした居心地の良さを、チンクエチェントは出会った人を自然に笑顔にさせる温かみを……と、明確に御先祖様との繋がりを感じさせるキャラクターを持ち、御先祖様のように世界中で愛されている。そのあたり、皆さんも先刻御承知であるに違いない。

昔の名前が今に活きているクルマたちは、ほかにもある。それらは果たして、その名に恥じない存在といえるのかどうか、ほんのちょっとだけ考えてみることにしよう。

1)アルファロメオ・ジュリエッタ

歴史のあるブランドにしては車名のつけ方にほとんど法則性がなく、だいぶ自由だったアルファロメオ。だが、珍しく“ジュリエッタ”というネーミングは、その歴史に3回も登場している。1954年に発表された初代ジュリエッタは、第2次大戦後に量産車メーカーへと転身を図ったアルファロメオの戦後最初のヒット作となったモデルだ。かつての超プレミアム・ブランドだったアルファロメオからは考えられないほどの価格設定もあって、フツーの人でも頑張れば手が届くスポーティカーとして人気を博したのだ。

初代ジュリエッタにはセダン、クーペ、オープンカーといったバリエーションが用意されたが、いずれもコンパクトな車体、小排気量ながら活発で元気のいいエンジン、軽やかなハンドリング、そしてエレガントで印象的なスタイリング、といった共通する魅力を持っていた。

そういう意味では、現行ラインアップにある3代目ジュリエッタも、同じ範疇にある魅力を持っているといえるだろう。5ドアのハッチバックでありスタイリングには御先祖様との類似性こそないが、その彫刻的なディテールを持つ美しい佇まいは、同じクラスでもっともエレガントでスタイリッシュといえるもの。エンジンは1.4リッターターボながら、爽快といえるレベルの加速力や不満などまったく感じられない高速巡航性を発揮してくれるし、ハンドリングも心往くまでワインディングロードを楽しめる水準にある見事なものだ。

駆動がFWDであること、エンジンの音色や特性がややマイルドに感じれることなどから熱心なオールド・アルフィスタに眉をしかめられることもあるが、時代の要求は自動車メーカーにとっては避けがたいもの。じっくり乗ってじっくり考えると、目指した方向が初代ジュリエッタと極めて似ていることがジワジワわかってくる。

2)アルファロメオ・ジュリア

ジュリエッタとは“小さなジュリア”、つまり妹分のようなもの。順番は逆だけど、ちょっとお姉さんなジュリアの名前がアルファロメオの歴史に初登場したのは、1962年。お姉さんっぽく車格がひとつというか半分ぐらい上がり、妹分の後継としての役割を担ったモデルだった。

初代ジュリアもそれまでのジュリエッタ同様、シリーズにはセダンもあればクーペもあり、派生車種としてオープン・モデルもラインアップされたが、最初に登場したのは4ドア・セダン。一見ただの四角い箱に見えたスタイリングは、当時としては珍しかった風洞実験を経て開発されていて、やや風変わりなディテールを持っていたことから“醜いジュリア”などと呼ばれ、そして愛された。

また四角いセダンでありながら1.3リッターと1.6リッターのDOHCエンジンを搭載していて、家族と一緒のときには快適なファミリーカーとして、ドライバーひとりのときにはスポーツカーを転がしてるかのようなホットな走りを存分に堪能できるクルマでもあった。また素性の良さを活かしてツーリングカー・レースなどでも活躍をおさめ、そのための高性能なベース車両もラインアップされた。

2015年に発表された2代目ジュリアも、パッと見からしてわかるとおりのスポーツ・セダンだ。後席は少々タイトめながらファミリーカーとしても快適に使えるのはもちろんだし、ステアリングをスッと切り込んだだけで気持ちいいから、ドライバーも決して退屈することはない。もっとも穏やかな200馬力の2リッター4気筒エンジンを積んだモデルでさえ、アクセルペダルを踏んだときのドライバーの期待感より少し先を走るような、アルファロメオ特有のフィールのチューニングもしっかり活きている。

そういうところが、初代ジュリアに見事に通じていると思う。ジュリエッタ同様、そのスタイリングは初代にはまったく似ていないけど、近年のアルファロメオはかつての名車の名前を継承させるにあたって、その存在意義や根底に流れる精神性、さらにはドライバーが感じ取るフィーリングの方向性のようなものを念頭に置いて開発してるのだな、と感じる。その名称にもっとも相応しくもっとも重要なのは何なのか。そのとても大人っぽい解答のひとつが、そこにあるのだ。

3)アバルト124スパイダー

初代アバルト124スパイダー、いや、正確にはフィアット・アバルト124ラリーがデビューしたのは1972年。1966年に発表されたフィアット124スパイダーをベースに、世界ラリー選手権への参戦を睨んでアバルトが大幅なチューンナップを施したモデルであった。

ベースになったフィアット124スパイダーは、ピニンファリーナによる美しいスタイリングを持ち、尖ったところのない性格やクセのない乗り味から、街中をイージーな気分で流して走るのも似合いな、デイリーなスポーツカーだった。

一方のアバルト版は、エンジンのチューンナップやサスペンションの新設計などあらゆる部分に手が加えられ、フィアット版が持つフレキシビリティをさほど殺すことなく全面的な高性能化を図っている。完全なラリー仕様に仕立て上げられたマシンは、世界ラリー選手権やヨーロッパ・ラリー選手権などの国際ラリーで常に上位争いに食い込む活躍を見せた。

現在のアバルトのラインアップにある124スパイダーは、その歴史をなぞるかのようなモデルである。日本には導入されていないが、本国にはマツダとの協業でND型ロードスターのコンポーネンツを利用して開発されたフィアット124スパイダーが存在し、そちらは初代フィアット124スパイダー同様、適度に力の抜けたオープン・スポーツカーというキャラクターを受け継いでいる。スタイリングも、初代の特徴的なディテールを巧みに取り入れたスタイリッシュなものだ。

それをベースに開発されたアバルト124スパイダーは、エンジンの力強さもサスペンションのセットアップもフィアット版とは異なり、よりスポーツ志向、スピード志向の強いモデルへと性格を変えている。ラリー専用のマシンも開発されて国際ラリーへと撃って出てるのも一緒。究極的な高性能はそのラリー仕様に任せ、ストリート版は昔からアバルトのロードカー特有の“寸止めの美学”とでもいうべき過激になり過ぎない程度のパフォーマンスをドライバーがしっかり使い切れるレベルに留めている。そこも一緒。現行アバルト124スパイダーは、ほとんどフィアット・アバルト124ラリーの再来みたいなものなのである。

4)アルピーヌA110

初代アルピーヌA110は、1973年から開催されている世界ラリー選手権の最初のチャンピオン・マシンだった。そのデビューは1963年。ルノーのメカニカル・コンポーネンツを巧みに利用し、バックボーン・フレームにFRPボディを組み合わせ、そのリヤにエンジンを搭載する小型軽量を旨としたスポーツカーだった。そのフランス流エレガンスを感じさせる可憐なスタイリングもさることながら、RRならではのトラクション性能、車重の軽さ、機敏でありながらコントローラブルな操縦性など、走りのテイストもかなり特徴的で、現在も世界中で数多くのファンたちから愛され続けている。

2017年に市販版が正式発表された現行アルピーヌA110は、初代を彷彿とさせるスタイリングを持ち、 巷ではかつての名車の再来と騒がれた。だが、じつは少々違っている。アルピーヌの人たちは初代の再来を目指したのではなく、初代がもし進化を繰り返しながら今も作り続けられていたらどうなったかということをテーマにして、すべてをそこに集約させて本気で開発を進めてきたのだ。復活ではなく継続、なのである。

車体のレイアウトはRRからミッドシップへ。車体はバックボーン・フレーム+FRPボディからオール・アルミ製へ。基本構造は大きく変わっている。が、クルマ全体の動きの軽やかさや機敏さ、路面を噛んだり滑らせたり自由自在な後輪、全方位的なコントローラブルさ……などなど、初代を走らせたことがある人なら誰もがそれを連想する乗り味は、昔からのA110の世界観に満ちている。

原始的といえば原始的であるがゆえのダイナミズムを持つ初代の方がより印象深いと感じる人も少なくないだろうけど、技術が進んでいる分だけさらに高いレベルでA110の走りがカタチになっていることには驚かされる。現行アルピーヌA110は、時を経て誕生した、まさしく“最新のアルピーヌA110”なのだ。

さて、何もかもヨーロッパが偉いなどというつもりはまったくないけれど、歴史をリスペクトすることに関しては、まだ敵わないようだ。中国版レビンで僕たちをガッカリさせてくれちゃったトヨタは、かの“スープラ”の名前を持つモデルを開発していることを発表。それがかつてのスープラのように僕たちが憧れを持てるクルマになるのかどうか……楽しみに待とう。

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