「信頼できるSUVに新しい価値を加えたい」スバル新型フォレスターの開発エンジニアにインタビュー

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歴代の価値をしっかり守りながら、新たな価値を創造

 1997年に初代がデビューし、今ではスバルのグローバル最量販モデルにまで成長したフォレスター。その第5世代となる新型がいよいよ正式デビュー。今回のフルモデルチェンジで開発責任者を務めた布目智之さんは、開発がスタートしたときのことを次のように振り返ってくれた。「どこにでも行ける、どんな場所でも使える。そういった信頼感はSUVにとってとても大切な価値であり、フォレスターはその価値を世界中のお客さまから高く評価していただいたクルマです。新型でもそこは絶対に変えるべきではないと考えました。信頼できるSUVという価値をしっかりと守って進化させながら、そこに新たな価値を加えたい。では、その価値とはなんだろう。それが今回のモデルチェンジのスタート地点になりました」 世界各国をまわって、SUVユーザーの声を聞かせてもらうなど、新たに加えるべき価値の模索のためのさまざまな取り組みを行った開発チーム。その結果、加えるべきふたつの価値が導き出されたという。「運転している自分は満足しているけれど、一緒に乗っている家族や仲間のための快適性も大切にしたい。そんなお客さまの声にしっかり応えることがひとつ目の価値。もうひとつは、冒険心を持っているけれどどこかで躊躇している人に、あとひと押しをしてあげられるようなクルマであること。このふたつの価値とひも付けできるパッケージングやデザイン、装備を実現し、それを一台のクルマとしてまとめあげること。それが新型フォレスターの目指したものなんです」 布目さんは、ふたつのこの価値を、「情緒的価値」という言葉で表現する。だが、情緒的価値のあるデザインと聞くと、なんとなく違和感を覚えてしまう人がいるのではないだろうか。とくに昔からスバルに強い愛情を抱いているファンならなおさらかもしれない。デザインに注力するより、むしろ質実剛健さに特化してそれをさらに磨いてほしい。そんなスバルファンの声が聞こえてきそうな気がするが、布目さんの右腕としてプロジェクトを牽引した只木克郎さんは、次のように否定する。「情緒的価値と言っても、飾り立てるとか、着飾るといった意味ではないんです。見た目をよくするために中身を犠牲にするといったことは一切やっていません。機能をカタチにするというスバルのこだわりはこれまでとまったく同じです。その前提のうえで、クルマに乗る前からなにかができそうだというワクワク感を感じられる、そんなデザインを目指したんです」

そこまでやるのかと言われてもとことん追求する

 自分の可能性を広げ、クルマを見たときのワクワク感を仲間や家族と共有し、同乗者全員がクルマで過ごす時間の楽しさをより濃密にするということ。言わば、モノそのものの価値ではなく、モノを使うことで新たに生まれる価値。それが情緒的価値であると語る布目さん。その考え方は、新型フォレスターのじつに細かな部分にまで貫かれている。 たとえばルーフレールに新たに追加されたロープ穴もそのひとつ。特筆すべきは、単に穴を開けただけではなく、後席ドアのステップの平面部やドアの開口角度などの拡大も一緒に行っていることだ。ステップに足を乗せることでロープホールに手が届きやすくなり、広がったドア開口のおかげで、穴にロープを通す際にも安定した姿勢を取りやすい。単にルーフレールに穴を開けるだけなら、デザインや部品強度の問題だけで済むかもしれないが、ここまで広い範囲でやろうとすると、実現のためには設計をはじめとした多くの部署を巻き込むことになる。「穴ひとつのためにそこまでやるのかと言われてしまうかもしれませんが、そこまでやるからこそ安心して使えるし、『じゃあ使ってみようか』と考えていただける。『スバルのクルマは使える』という評価を多くのお客さまからいただけているのは、ここまでやり切るという姿があるからこそだと思っています」(布目さん) ステップ平面部やドア開口角度の拡大は、乗降性の向上にも貢献する。こうした「意味のあるカタチ」へのこだわりは、スバルの真骨頂と言っていいだろう。ロープホールのように見過ごされてしまいそうな細部だけでなく、新型の目玉となる大きな部分にも情緒的価値を見出すことができる。たとえばふたつのモードを簡単に切り替えられるスイッチが新たに設定された『X-MODE』。「悪路走破性を高めるX-MODEは以前からご好評をいただいている装備ですが、その反面、機能が進化しすぎた分、どこでどう使ったらいいのかわからないという意見もありました。路面に合わせてさまざまな制御を行っているのですが、お客さまのなかには悪路はすべてX-MODEのスイッチを入れておけばいいとお考えになっていたり、わからないので使わないという方もいらっしゃいました」「今回はスリッピーな路面と、ぬかるみを走るときのふたつの場面のモードを設定することで、より多くのお客さまにとってわかりやすいシステムになっています。マルチファンクションディスプレイも装備しているので、選択中のモードやクルマの姿勢も併せて表示することで、より使えるクルマになっていますし、使ってみようという気持ちをいっそうかき立ててくれるはずです」(布目さん) 2L直噴水平対向エンジンとモーターアシストを組み合わせた「e-BOXER」も、ほかとは違う、スバル独自の情緒的価値に満ちたハイブリッドシステムと言っていいだろう。ハイブリッドと言うと、真っ先に浮かぶのは燃費性能への貢献だが、「e-BOXER」ではじつは燃費向上を大上段には掲げていない。「モーターを加えることで、スバルらしい愉しさを表現できないかということが第一にありました。モーターはガソリンエンジンと違って、アクセルを開いた分だけ瞬時にトルクや出力を出せます。レスポンスが欲しい場面で使ってあげれば、街なかでもキビキビした走りが楽しめるし、行きたいところへ存分に行けるような気持ちのいい走りも楽しめます。SI-DRIVEの制御の変更も併せてガソリン車を上まわる力強い加速性能を発揮できる設定を目指しました」(布目さん) 楽しさに加え、「安全」もスバルらしさを象徴するポイントだ。新型フォレスターでは全車標準装備の「アイサイト・ツーリングアシスト」に加え、スバル初となる「ドライバーモニタリングシステム」を新採用。これは、専用カメラがドライバーの顔を認識して、目や頭の動きから居眠りやよそ見運転を検知、警告音と警告表示で注意を喚起するシステムだ。5人までの顔を登録できるため、それぞれの好みのシートポジションやミラー位置などの自動調整を行う機能も備えている。スバルの「安心と愉しさ」というコーポレートスーガンをそのまま機能で表現したと言えるようなシステムだ。

1mmにとことんこだわって、泥臭く議論する

 開発責任者の布目さんは、今回の開発でもっともこだわったことという質問に、「すべてをやり切ること」と答えてくれた。「安全や走りの性能はもちろん、乗員の配置や荷室などのパッケージングや新型プラットフォームの使い方、快適性、静粛性など、あらゆることにこだわり抜きました。どの点についても高いハードルを設定して臨みました。たとえば荷室の開口幅の1300mmという寸法は、このクラスのクルマでは絶対にこれ以上できないだろうというサイズを狙ったものなんです。開口部を拡大する一方で、フェンダーの厚みをしっかり取って、見るからに信頼できるデザインも両立させています。開口部を大きく取ることとフェンダーを厚くすることは、言わば二律背反とも言うべきことで、これもまたハードルの高い目標です。こうしたことが実現できたのは、チーム全員が目標を共有したチームワークの強さがあったからだと思います」 さらに、只木さんが次のように補足してくれた。「スバルのクルマづくりは現場と現場が顔を直接合わせて議論するのが特徴のひとつだと思います。お互いがダイレクトに意見を交わし、ぶつけ合う。たとえば視界について言えば、現場で実物を作って、デザイナーだけでなく、実験、設計や企画の部署など、みんなが集まって乗ってみます。そしてここがあと2mmほしいとか議論しながら何度も何度も修正を加え、全員がこれなら大丈夫と納得できるまで追い込んでいきます。1mm1mmの決め方がすごく泥臭いんですよ(苦笑)。私がスバルに入社してからこれまでに、技術はすごく進化していますが、クルマづくりの、姿勢の根っこの部分はまったく変わっていませんね」 布目さんの「すべてをやり切ることが最大のこだわり」という姿勢は、こうしたスバルの土壌があるからこそと言えそうだ。インタビューの最後に、これからオーナーになるかもしれない読者に向けて、布目さんからのメッセージを伝えたい。「走ることが好きなお客さま、日常の買い物でよく使うというお客さま、休日のアウトドアレジャーの楽しみの相棒として使いたいというお客さま。そんなふうにどんなアプローチから接していただいても、しっかりと進化が感じられ、新たな発見ができるクルマに仕上がっています。実車に触れていただければ、我々の想いや作り込みの細やかさなどを、さらにおわかりいただけるはずです。ぜひ一度、実車をご覧になっていただきたいです」 自信に満ちた笑顔で語ってくれた布目さん。その表情からは、心からやり切ったというエンジニアの充実感が伝わってきた。

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