世界に出しても通用するデザインを! 新型トヨタ・クラウンのデザイナーがこだわったポイントとは

コラム WEB CARTOP

クラウンは社内でも特別な存在で手間や苦労を惜しむ者はいない

 歴史を守ること。そして歴史を変えること。そんな矛盾するふたつの要素を両立させる。15代目となる新型クラウンのデザイン開発は、その高いハードルに挑んだプロジェクトだったと言える。 プロジェクトチーフデザイナーを務めた國重 健さんは、「クラウンらしい新しさ」の模索が、今回のデザイン開発でもっとも難しいことだったと語る。「60年以上の歴史を持つクラウンに対して、社内の誰もが思い入れを感じ、ひとりひとりがそれぞれのクラウン観を持っているんです。ですから、単に新しいだけでは『こんなのはクラウンじゃない』という意見が出る。けれど、クラウンがトヨタにとってとても大切な存在だという認識だけは共通しているんです。簡単に答えが見つからないのは、当然と言えば当然なんです」 エクステリアの開発過程を見ても、その模索がどれだけ難しいものだったかが伝わってくる。外形デザインのまとめ役である福井章人さんはこう振り返る。「膨大な初期アイディアから、まずはふたつの案が選出されました。A案はいわばクラウンの正常進化型という案。B案はクラウンという車名じゃなくてもいいほどの挑戦的な案です。A案については、クラウンを変えるというテーマから見て、これはないだろうということで却下されました。そしてB案が選ばれたわけですが、水平軸の非常に伸びやかなサイドプロポーションなどは評価できるものの、デザイン的にはまだまだという評価でした。つまり、チャレンジ精神だけで選択されたようなものだったんです」 一般的なデザイン開発なら、次の中期段階は、初期で選んだ案をさらに磨き上げていく過程となる。だが新型クラウンでは、この段階でもゼロから模索するような状態だったのだ。実際、初期案と最終的なデザインとを見比べると、その違いの大きさに驚かされるが、その飛距離の大きさは、最後の最後まで妥協することなく、「クラウンらしい新しさ」を模索した結果にほかならない。「行きつく先が見えないなかで進むには、ひとつひとつのことを地道に試すほかありません。不安も苦労も大きいんですが、そこに人や時間をかけることに対してネガティブに思う人は社内にはまったくいませんでした。どれだけクラウンというクルマが大切にされているか。その表れだと思いますし、だからこそできたことだと思います」(國重さん)

内側から膨らもうとするラグビーボールのような塊表現を

 もうひとつの高いハードルとなったのは、全幅1800mm以下というサイズを死守することだった。近年のセダンの世界的なデザイン潮流は、全幅を拡大して、より抑揚を大きくするものである。そのトレンドに、全幅サイズを守りながら勝負をかけるのは、ある意味、無謀と言えるかもしれない。だが仕上がったデザインを見ると、頼りがいのあるたくましい抑揚がしっかりとボディに表現されている。エクステリアのクレイモデルを担当した岡原 慎さんに話をうかがった。「限られた寸法のなかでフラッグシップモデルにふさわしい抑揚を付けるため、当初は凹凸の凹をしっかりと付けて、そのコントラストで表現しようというトライを重ねました。ですが、キャビンとボディのバランス、FRらしい凝縮感や伸びやかさなど、どれだけやっても、どうしても満足できるレベルにならなかったんです。そこで突破口となったのは、ラグビーボールというモチーフだったんです」 凹を強くしてコントラストで実際の寸法以上の抑揚を感じさせるのは、いわば王道的な手法だが、内側から膨らもうとする圧を感じさせるラグビーボールのような塊感を表現するというのは、王道とはまったく逆の発想だ。ボディ全体として絞りを効かせながら、ウインドウグラフィックやベルトライン、キャラクターラインなどの線分を、ボールの一番太い部分に乗せるように表現。これにより先代よりもフードが低められているにもかかわらず、たくましい厚みをボディに感じさせ、水平軸の伸びやかさも見事に両立。さらにはキャビンを薄くスポーティに見せることにも成功している。 新型クラウンのエクステリアでは、ほかにもまだまだ見どころがある。クラウンらしさの象徴となるフロントマスクもそのひとつ。担当したのは、初期B案のアイディアを描いたデザイナーでもある加藤紘基さんだ。「自分のような若い世代にも訴えかけられるようなクラウンを目指してイメージを大きく変えたい。そんな想いから、初期案では従来とはまったく違う横一文字のフロントグリルをデザインしました。ですが、開発が進むうちに、新しいクラウンらしさが全体でどんどん表現されるようになり、フロント部分は、飛距離のある新しさよりも、クラウンらしさを象徴するデザインにしようと考え方を変えたんです。先代のアスリートとロイヤルの意匠を融合させながら、ノーズやアッパーの突き出し感や、ボディ全体の流れがフロントに収束されるような3次元的な流れのデザインを用いることで、クラウンらしさを備えながら、これまでのクラウンとは大きな違いを感じる表現を狙いました」 先代のフロントグリルは稲妻型と呼ばれるキャラクターが強烈なデザインだった。新型は、キャラクターの強烈さこそないが、存在感自体はむしろ強くなっている。このように、ディテールの強さではなく、全体としてのまとまりで魅せるというのは、新型クラウンのエクステリアの特徴だ。ヘッドランプも特徴的な矩形となっているが、フェンダーやバンパーの流れるような3次元形状に溶け込むように乗っているため、ボディ全体に馴染んで見える。ディテール自体が強く主張するのではなく、全体の塊感に貢献するデザインと言えるだろう。

上質でシンプルな空間にワクワクするようなアクセントを

 クラウンらしい新しさの追求は、インテリアでも貫かれている。内装デザイン担当の吉村圭太さんにインテリアの狙いをうかがった。「歴代のクラウンを振り返ってみると、木目を多用するなど、豪華絢爛さを感じさせるインテリアが多かった気がします。ですが、今の自分たちの暮らしのなかで、そうした調度品や家具が家にあるかと考えてみると、じつは非常に少ないんですね。たとえば結婚式に着ていく服でもスリーピースではなくもっとカジュアルなジャケット、ただし、すごく上質感のあるジャケットが好まれるようになっていると思います。フォーマルとカジュアルが融合した上質でシンプルな空間に、ワクワクするようなワンポイントを備えたインテリア。それが新型クラウンで目指したものです」 新型クラウンには、新開発のダブルディスプレイが採用されているが、そうした先進デバイスと対比して印象的なのが、人の手で丁寧に作り込まれたような上質感のある仕立てのよさだ。しかも、そこにもクラウンらしい新しい表現がなされている。たとえば室内空間をぐるりと囲むように配置されたファブリック素材。ファブリックの内側にインパネが勘合しているというデザインは、従来にはなかった表現だ。先進感のあるデバイスや硬いインパネの背景に、柔らかなファブリックが見えることで、空間全体が品のある柔らかさに包まれる。また、注意深く見ると、驚くほど数多くの種類のファブリック素材が使われていることにも気付く。にもかかわらず、統一感のあるシンプルな美しさを獲得しているのも注目すべき点と言えよう。 カラーデザインを担当した居垣富実子さんと、内装全体の造形リーダーを務めた政川勇さんのおふたりに話をうかがった。「同じ素材でも、使う場所によってはエンボス加工で立体感を強く出すなど、いろいろなコーディネイトをしています。また、彩度が強すぎると居心地が悪くなったり、また柄が弱すぎると印象も柔らかくなりすぎたりしますので、それぞれの場所での見え方やそのバランスなど、かなりの時間をかけて研究しました」(居垣さん)「ひとつひとつの部品をよりモダンに見えるように心がけながら、同時に操作しやすい形状にもこだわっています。そしてそれらを全体としてシンプルに見せようとするんですが、シンプルにすればするほど、それぞれのパーツの質感が大事であることが明らかになっていく。そこでまた各部の質感向上を追い求める。その繰り返しは本当にイバラの道でしたが、こうしたことを地道に積み上げていかないと、クラウンとしての空間のレベルは上がっていかないと考え、最後までやり切りました」(政川さん) こうした苦労が無数に積み上げられて生まれた新型のデザイン。内外装の随所に見出せるのは、細部に至るまで徹底的にこだわりが貫かれたクラウンらしい新しさの表現だ。デザイナーたちのこだわりがとことん詰まった新型クラウン。まさに「日本のフラッグシップ」と呼ぶにふさわしいデザインと言えそうだ。

  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
  • クラウン
goo 自動車&バイク
トップ
中古車
車買取・査定
車検・整備
自動車保険
バイク
バイク買取・査定
ランキング
ニュース
特集
まとめ
Q&A
サイトマップ