世界の道を走りこんで進化した新型スズキ・ジムニーのメカニズムをチェック

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オフロードでの走行性と信頼性が格段に向上

 ジムニーのエンジンは、従来のK6Aターボからほかのスズキ車と同じR06Aターボへチェンジした。このエンジンはFF用では横置きレイアウトだが、新型ジムニーは伝統のFRレイアウトを採用するため、縦置きとなっている。 新旧のスペックを比較すると、形式としては水冷4サイクル直列3気筒インタークーラーターボの総排気量658㏄という点では同じだが、K6Aはボア×ストロークが68.0×60.4mmでストローク/ボア比では0.89のショートストローク型なのに対し、R06Aは64.0×68.2mmでストローク/ボア比では1.07というロングストローク型という大きな違いがある。 これによって吸気のタンブル(縦渦)流を大幅に強化することで混合気を強くかき混ぜ、燃焼速度を上げることが可能となり、燃費や環境性能を大幅に改良している。また、スパークプラグを細径にすることで、もっとも高温となる燃焼室周辺の冷却効果を高め、圧縮比もK6Aの8.4対1から9.1対1へと大きく向上。これも燃費向上につながっている。 吸気側にはVVT(連続可変バルブタイミング)機構が装備されたので、運転状況によって最適なバルブタイミングに調整できるようになっている。燃費面では、より実走行に近いとされる新基準のWLTCモードでの表記に切り替わり、5速MTで16.2km/L、4速AT車で13.2km/Lとなる。 先代が旧方式のJC08モードで、それぞれ14.8km/L、13.6km/Lであったことからカタログ値以上に実燃費の向上が大きいと言えるだろう。さらにターボの過給エアを冷やすインタークーラーがエンジン上からラジエーター右の前置きレイアウトとなり、走行風がダイレクトに当たることで通過風速は約1.3倍にアップ。これにより先代のフード上エアスクープは廃止となった。 一方ジムニーシエラのエンジンは、先代のM13Aから1.5LのK15Bへと刷新。今年モデルチェンジした、インドネシア向けのエルティガから搭載している新開発エンジンと同じ型式ではあるが、これはシエラ用に開発されている。 基本的なスペックは水冷4サイクル直列4気筒の自然吸気型で、M13A同様に吸気VVTを装備。ボア×ストロークは74.0×84.9mmでストローク/ボア比1.15のロングストローク設計。圧縮比をエルティガ用の10.5から10.0に0.5下げることで、世界市場を考慮したときの燃料品質のバラ付きにも対応できるようにしている。 出力のスペックは、M13Aの最高出力88馬力/6000rpm、最大トルク12.0kg-m/4000rpmからそれぞれ102馬力/6000rpm、13.3kg-m/4000rpmへと大きく向上。また燃費性能も、WLTCモードで5速MTが15.0km/L、4速ATで13.6km/Lとなっている。 さらに両エンジンとも、MT用ではフライホイールの厚みを増すことで回転慣性力を大きくして、オフロードで求められる低速域の粘りを強化したほか、悪条件下での信頼性を高めるための対策を実施している。補機ベルトへの被水や異物噛み込みを防ぐ樹脂カバーの装備や、吸気口の位置を高めるとともに、開口部を工夫するなどして渡河走行や深雪路での水や雪の浸入を防ぐ構造が採用されている。

半世紀に亘って守り続けてきた基本構造を継承

 ジムニーが半世紀にも亘って支持されている理由のひとつが、本格オフローダーとして欠かせない屈強なシャシーやサスペンションにあるのは言うまでもない。もちろん、新型ジムニー/ジムニーシエラでもラダーフレーム構造と3リンクリジッドアクスルサスペンションが踏襲されている。 新開発のラダーフレームは基本的なディメンションは先代と大きく変えていないものの、構造やフレーム材を変えることで走行性能や乗り心地を大きく進化。フレームは鋼板をプレスしたりパイプを組み合わせて作られているが、先代は通常鋼板で引張強度270Mpaに対し、新型では高張力鋼板の590MPaが採用され、軽量化と強度の両面で性能が大きく向上。ラダー自体も中央部で断面積を増やし、CAE解析によるフレーム形状や板厚の最適化を実施している。 さらに、フレームセンター部はX(エックス)メンバーで左右のラダーをつなぎ、ねじり剛性を高めるとともにオフセット衝突時に片方のフレームだけが押されるような変形をなくし、左右のラダーに入力を分散させるようにしている。ラダーフレームをつなぐメンバーの本数も増やし、トランスミッション下付近と、リヤ側にも追加でクロスメンバーを入れている。 こうした改良によってねじり剛性は従来の約1.5倍となり、フレームのしなりが少なくなったため、サスペンションが有効に作動するようになった。これが操縦性の節度と安心感を高めることに大きく貢献している。また、車体振動を抑える効果も高くなり、乗り心地でも新型にふさわしいものとなっている。フレームのエンジンより前の部分は、万が一の衝突時でも衝撃を吸収しやすい構造となっている。 ボディとの取り付け点は8カ所あるが、ボディマウントゴムのサイズを拡大するとともに上下に柔らかく、横方向に硬くすることで、ボディに伝わる振動をカットしつつ操縦安定性でのダイレクト感は失わないようにチューニングされている。これによってオンロードでの快適性と操縦安定性の面でもレベルアップを果たしている。 サスペンションは、従来と同様で前後とも3リンクリジッドアクスルとコイルスプリングの組み合わせ。開発の過程では乗り心地面で大きなメリットのあるフロント独立懸架も検討されたそうだが、伝統の悪路走破性やタフネス性を堅持した。古めかしく見えるリジッドだが、本格オフローダーとしては大きな武器になる。 まず、悪路走行で突起や穴を通過する際、片方のタイヤが上下に大きくストロークしたとき、車軸のハウジングでつながっている反対側が逆の方向に動いて接地性を確保するように作用するので走破性が確保される。次に、独立懸架だとタイヤが沈み込んだ場合にデフ部が路面に近くなってしまうが、リジッドだとディファレンシャル部もタイヤと同じ動きをするため、地上高が確保されていて干渉を防ぎやすい。 さらに、ドライブシャフトなどの回転部が頑丈なハウジングに内蔵されているので、地面や石、倒木などとの接触があっても駆動系への致命傷を避けることができる。つまり頑丈で壊れないサスペンションや駆動系にすることが可能なのだ。今やメルセデス・ベンツのGクラスがモデルチェンジでフロント独立懸架となっため、現行車でフロントリジッドを採用するのはランドクルーザー70、ジープラングラー、そしてジムニーの3車となっている。 サスペンションリンクは先代と共通のダクタイル鋳鉄製で形状寸法も同じだが、組み込まれるブッシュは新型シャシーに合わせた特性の見直しを実施している。コイルスプリングのばね定数を下げ、ショックアブソーバもとくに縮み側で減衰力を下げる一方で、スタビライザーは太くしてロール剛性を確保。乗り心地と操縦安定性を大幅に向上させている。これらの改良もフレームの性能が大幅に上がり、サスペンションの動きが緻密に設定できたことで実現した。 快適性の面では、穴や継ぎ目を減らした一体成型フロアカーペットに全面フェルトを被せることで、ロードノイズやトランスミッションノイズの侵入を減らしたり、天井のルーフライニングにあるサイレンサーの設定範囲を広げて吸音性能を高めている。エンジンルームからのノイズも、エンジンルーム内のダッシュアウターサイレンサーとキャビン側のダッシュインナーサイレンサー、フロントフェンダーカバーで透過音を効果的に遮断している。さらに遮音構造を持つウェザーストリップやリヤサイドのクオータートリムサイレンサーで、風切り音や後席の透過音を低減している。

卓越した悪路走破性をベースに電子制御システムをプラス

 駆動系では、トランスミッションは従来同様の5速MTと4速ATが採用されているが、エンジンが変更されことに合わせて、結合部(ベルハウジング)の形状変更が行われている。 さらに5速MTではシフトレバーの取り付け方法を変更して、加速中に発生する不快な振動の伝達を大幅にカット。これは、シフトレバーユニットの取り付けが、先代ではトランスミッションへのマウント4点だったのを、新型では前側をトランスミッションのマウント2点、後ろ側をラダーフレームのマウント1点としたもの。回転方向や前後方向の揺れをシフトレバーに伝えにくい構造となっている。 4WDは伝統の機械式副変速付きパートタイム4WDだが、トランスファーの切り替えはレバー式を採用。先代では初期型がレバー式で、その後ボタン式の電動アクチュエータ式だったが、今回はあえてシンプルな方式に戻した格好だ。 これは、各国のジムニーユーザーへのヒアリングを行った結果、切り替えを視覚や操作の感触で認識しやすいレバー式への変更を望まれたため。そのためトランスファーは電動アクチュエータ部を廃止しているが、基本的な構造は従来と同じである。このような原点回帰を図りつつ新型にふさわしいアイテムとして、電子制御式のブレーキLSDトラクションコントロールが加えられた。 パートタイム4WDは前後の車軸へ確実に駆動力を伝達するものの、それぞれの片輪がスリップしてしまうと駆動力が伝わらなくなってしまう。それを回避するためにLSDが装着されるが、舗装路での異音や操縦性の違和感が出ることがあるほか、とくに摩擦板式ではメンテナンスも必要になる。 ブレーキLSDは、空転した車輪だけにブレーキを掛けて車軸上の反対側に駆動力を伝達することでオープンタイプのディファレンシャルでも高い走破性を引き出してくれる。このシステムは4WD-Lにすると、ESPの機能であるスタビリティコントロール(SC)がオフとなり、トラクションコントロール(TCS)では、エンジントルクダウンを行わずブレーキの介入度がより高くなってくる。こうすることで、悪路の登坂などでも駆動力を途切れさせることなく走破できる。また、ブレーキLSDの作動を繰り返した際の温度上昇やオプションのヘリカルLSDを装着した場合の作動も検証されている。 登坂や降板での使い勝手をよくするヒルホールドコントロールやヒルディセントコントロールも追加されているが、ヒルホールドは4WD-Lの場合、ESPスイッチの長押しでオフにすることができる。これは車両を前後に揺さぶりながら脱出するテクニックを邪魔しないためのものだ。ヒルディセントは4WDのL-H双方で作動するが、速度はLが5km/h、Hが10km/hに設定されている。もちろんアクセルを踏めばそれに応じた速度になる。

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