売れないことは問題じゃない! 話題の「新型フェアレディZ」に課せられた重要な使命とは

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初代モデルは爆発的な大ヒットとなり知名度を上げた

 2020年9月16日に日産フェアレディZのプロトタイプ(試作車)が公開されると、インターネットやTVで話題になった。これはとても珍しいことだ。今はクルマが売れず、2019年の国内販売台数は、最盛期だった1990年の67%まで下がった。「若年層のクルマ離れ」といわれ始めて、かなり時間が経過した。そのために新型車が登場しても話題になりにくい。従って新型フェアレディZでは、クルマ自体に加えて、話題性の高さまで関心を呼んだ。 新型フェアレディZが注目された一番の理由は知名度だろう。2019年におけるフェアレディZの登録台数は、1カ月平均で50台だから1万台のノートに比べて圧倒的に少ないが、車名は良く知られている。とくに中高年齢層の男性なら「フェアレディZって何?」という人はほとんどいないだろう。街なかや販売店でも見かける機会はほとんどなく、広告やCMも目に付かないが、車名は多くの人たちが知っている。 その理由として挙げられるのは、1969年に発売された初代モデル(S30型)の大ヒットだ。フェアレディZは、初代から北米で大量に売ることを目的に開発されたが、ボディサイズは日本車らしくコンパクトだった。全長は4115mm、全幅は1630mmに収まり、全高は1290mmと低い。 サイズは小さくても、外観はボンネットの長いロングノーズのデザイン。それに合わせてエンジンは直列6気筒で、中級から上級スポーツカーの要件を満たしていた。小さなボディに、カッコイイ外観と高度なメカニズムを凝縮させる開発手法は、今の軽自動車にも通じる日本メーカーの得意ワザであった。 その結果、初代フェアレディZは人気車になっている。1970年代には厳しい排出ガス規制が実施されたので、2代目が登場する1978年まで約9年間にわたり製造された。生産台数も多く、国内/海外仕様を合計すると48〜49万台に達する。 日本国内の売れ行きも堅調で、排出ガス規制によって市場が縮小した1976年でも、1カ月平均で約900台が登録された。この年の国内販売総数は410万台で、2019年(520万台)の79%に留まる。そこを考えると、1カ月平均で900台なら、スポーツカーとしては立派な売れ行きだ。当時の初代マツダ・サバンナ、いすゞ・ジェミニなどと同等の登録台数であり、2019年に比べると18倍に達する。

その名を消さずに残し続けることが大事

 また最近はスポーツカーがあまり話題にならず、新型フェアレディZが新鮮に感じられたこともあるだろう。2019年に現行スープラが復活したときも、それなりに話題になった。 問題はそのあとで、毎年新しい話題を提供しながら売り続けることが大切だ。2002年に5代目フェアレディZ(Z33型)が発売されたとき、開発者から次のような言葉が聞かれた。「スポーツカーは生産台数が少ないため、フルモデルチェンジを頻繁には行えない。その一方で、技術力の高さ、話題性が大切なカテゴリーだから、1年に1度は何らかの改良やモデル追加を行いたい」。 この言葉を受けて、フェアレディZは2003年にロードスターの追加、2004年は一部改良、2005年と2006年には特別仕様車の設定、2007年は再び一部改良を行った。2008年に現行型(Z34型)へフルモデルチェンジされ、2010年以降は改良の度合いが少し弱まったが、この流れは今も継続している。 クルマが日常生活のツールになった今、スポーツカーを大量に売るのは難しいが、イメージリーダーの役割は依然として大きい。時々存在感をアピールすることで、日産のブランドイメージを高く保てる。 そしてクルマ好きは「いつかフェアレディZに乗りたい」と目標を持つことができる。登録台数が伸びるとか、日産が儲かるといった次元を超えて、世の中のためになる。 フェアレディZのような商品は、簡単に造ることはできない。情感に訴えるデザインや運転感覚が大切で、さらに伝統やストーリーまで大切な魅力に含まれるからだ。クルマである以上、ノートやデイズにも情感に訴えるクルマ作りやストーリーは大切だが、スポーツカーはその傾向がとくに強い。50年以上の歴史を持つフェアレディZは、まさに貴重な存在だ。新型も大切に育ててほしい。

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