「女性向け」は必要なくなった? イマドキの「女性ターゲット」小型車事情

コラム WEB CARTOP

1970年代後半から女性ドライバーが急増した

「女性向けに作られた軽自動車」と聞いて、皆さんが思い浮かべるイメージはどんなものでしょうか? きっと多くの人が、丸目のヘッドライトで愛嬌のあるフロントマスクや、パステルカラーのピンクや水色といったボディカラー、おしゃれ雑貨みたいなインパネなどが浮かぶのではないかと思います。代表されるモデル名を挙げると、スズキ・ラパンとダイハツ・ミラココアがまず出てくるのではないでしょうか。 それもそのはず、やっぱり軽自動車と女性の関係を紐解いていくと、スズキ、ダイハツ両メーカーの貢献なしには語れないことがわかります。日本は欧米に遅れて1970年代からようやく各家庭がクルマを持つようになり、マイカーブームが沸き起こりましたが、さらに70年代後半になると女性ドライバーも急増。とくに主婦層がセカンドカーを持つことが憧れとなり、中古車で45万円程度の価格帯に人気が集まっていたのです。 そこでスズキは、それを新車で実現するために鋭意開発したのが、「アルト47万円」の衝撃フレーズが今も語り継がれるスズキ・アルト。その狙いはあたり、爆発的なヒットを飛ばして2年後にはアルトユーザーの2人に1人は女性という結果をもたらしました。 その流れに続けとばかり、ダイハツも室内空間の広さをウリとし、ファッションブランドとのコラボモデルなども登場したミラ(当初の車名はミラ・クオーレ)を投入。アルトも負けじと、当時女性に流行していたタイトスカートでも乗り降りがしやすい、回転シートを装備したモデルを投入して女性にアピールするのです。 そして1985年にホンダがトゥデイを発売すると、これがまたしても女性を中心に大ヒット。こうして、女性と軽自動車の関係は盛り上がりを見せていくことになります。 ただ、そこからしばしの間、軽自動車はターボを用いたパワー競争に入ったり、女性はトヨタ・ヴィッツ、日産マーチ、ホンダ・フィットのコンパクト御三家に人気が移ったりして、表立った動きは影を潜めていました。そして、その静けさを破ったのが、2002年に誕生した初代アルトラパン(現在はラパン)。フランス語でウサギを意味する車名を持ち、エクステリアデザインもインテリアも、「レトロかわいい」世界観で統一したセダンタイプの軽自動車です。 これがまんまと女性たちの心を鷲掴みにして、なんと2002年度には年間7万2000台以上の大ヒット。翌2003年度は8万5000台以上も売れて、「女性向け軽自動車」市場をあらためて発掘し、その後のキュート系女性向け軽自動車ウォーズの火付け役となったのです。 2003年にはフルモデルチェンジしたホンダ・ライフが女性向けの癒し系路線へと大変身。2006年になると、それまでボーイズライクだった日産モコも女性向けへと路線変更し、スバルからもビタミンCのシャワーが出るエアコンなどで女性にアピールする軽自動車、ステラを投入。ダイハツはミラから派生し、レトロビンテージ路線のミラジーノで応戦していたのですが、ついに2009年、ホンワカかわいい路線のミラココアにスイッチします。この5モデルによる女性向け軽自動車の熾烈な闘いは2011年ごろまで続き、各年度とも合計で年間20万台以上の販売台数を記録するほどに盛り上がりを見せました。 では、その2007年から2010年までの女性向けキュート系軽自動車の最盛期に、本当の勝者だったのはどのモデルでしょうか。2021年現在もこの中で唯一、販売が継続されているラパンか? そのガチライバルとして常に比較されてきた、ミラココアか?

「女性向け」とうたう商品自体がナンセンスとされるようになった

 じつは、真の勝者はどちらでもありませんでした。ずっとこの5台の中で販売台数1位を譲らなかったのは、ホンダ・ライフだったのです。2位も変わらず、ずっと日産モコ。そして3位は、2006年まではラパンでしたが、2007年にステラが抜き去り、2008年までラパンは4位に後退します(2009年から再び3位)。ミラココアに至っては、デビュー当初からずっと、1位ライフの4分の1程度という販売台数で、5位から上がれず。認知度のわりに、それほど売れていなかったのです。 なぜ、このような結果となったのか。もちろん、クルマとして見てもライフやモコはいい軽自動車だったと思いますが、じつはモコは、作っていたのはスズキです。スズキではMRワゴンという車名で売っていたモデルのOEM販売車だったのです。 そういった背景を踏まえつつ、これはあくまで憶測ですが、やはり女性はブランド、CM、イメージに弱いということではないでしょうか。ホンダ、日産はその点、テレビCMや広告などもバンバン打っていましたし、販売店の数や規模も大きいので女性の目に入りやすい。また、夫や彼氏など身近な男性に意見を聞くと、ホンダ、日産を勧められることも多かったのではないかと推測できます。 ただそんな状況で、2009年から常に3位に食い込んでいたラパンは、ブランドや広告などに頼りすぎず、純粋に女性たちに「欲しい」と思わせたという実力の持ち主。いまだに、ユーザーの約9割が女性という事実を誇り、唯一生き残っている最後のキュート系軽自動車ということからも、真の勝者はラパンだと言うこともできると思います。 さて、女性向け軽自動車の盛り上がりは2011年を境に急激にしぼむことになったわけですが、それはなぜでしょうか。この年は東日本大地震が日本を襲った年でもありましたが、軽自動車界に新たなスターが彗星の如く現れた年でもありました。 そのスターとは、現在7年連続で軽自動車販売台数No.1を独走している、ホンダN-BOX。そうです、この年を境に、軽自動車のトレンドは長らく市場を牽引してきたハイトワゴンから、両側スライドドアをもつスーパーハイトワゴンへとスイッチしていったのです。 セダンというボディタイプそのものが苦戦を強いられている状況もあって、現在のラパンの売れ行きは芳しくありません。さらに、女性が好むクルマの傾向も大きく変わり、時代もジェンダーレスが進行。わかりやすい可愛さ、女性らしさといった要素は敬遠されることさえある時代になってきています。もはや、クルマに限らず「女性向け」とうたう商品自体がナンセンスと捉えられたり、なかなかPRも難しいのではないでしょうか。 でも、女性に配慮して開発された軽自動車は全滅したわけではありません。ダイハツでは、初めて性能評価チームに女性が加わり、女性はもちろん誰でも安心して運転でき、快適に乗れる軽自動車を目指して開発されたのが、ミラトコットです。これも逆風のセダンタイプのため、今ひとつ売れ行きは伸びませんが、乗るととてもいいクルマだと思います。 また、日産デイズや三菱ekクロス/ekワゴンも、女性の小さな手でも握りやすいシフトレバーや、小さな足でもしっかり踏みやすいペダル角度などを研究して、採用しています。さらに、ダイハツ・ムーヴキャンバスは「レトロかわいい」雰囲気を両側スライドドアのボディタイプで実現しており、大人気。こうして、2000年代に各メーカーが培った女性向けという技術やノウハウは、コンセプトや形を変えて、最新の軽自動車にも受け継がれていると言えるでしょう。

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