モノコックのほうが優れているんじゃないの? イマドキの新車でも「本格クロカン四駆」にラダーフレームが使われるワケ

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クロカン4WDに採用される「ラダーフレーム構造」

 ヘビーデューティー指向の4WD車、いわゆるクロカン4WDのメカニズムを見ていくと、車体構造に共通した特徴があることに気付く。独立したシャシーを持つ車体構造となっている点だ。シャシーまたはフレームとも言うが、クロカン4WDではラダー(はしご)型フレームを持つ車両構造が一般的なクルマ作りの基本となっている。 さて、シャシーは日本語にすると「車台」となり、フレームは文字どおり「枠」の意味だが、シャシーが鋼板で枠を組んだ形となることから、車台のことをフレームとも呼んでいる。現在、乗用車系の車両でシャシーを持つ車両は、ほぼクロカン4WDに限られ(トラックなどもあるが)、そのほかはモノコックボディが標準的な車体構造として使われている。 歴史的に眺めれば、シャシーを持つ構造が自動車の原点で、これは自動車の誕生以前、馬車の時代から使われてきた車体構造の基本でもあった。基本にシャシー(車台)を据え、これにタイヤ/サスペンションを取り付け、客室を載せ、さらに自動車の場合は、パワートレイン系(エンジン/トランスミッション)を組み合わせて車両を形成してきた。 ところが、自動車は進化する過程で、軽量、高剛性、高効率(スペース性)であることから、シャシーとボディを一体化したモノコックボディの構造が考案、実用化されるようになっていた。モノコックとはmono(単一)とcoque(殻)を組み合わせたフランス語で、先進技術の導入に貪欲的だったアンドロ・シトロエンが、同社の革新的新型車トラクションアヴァン(1934年)で実用化した構造である。 車体を応力外皮と考えるモノコック構造は、卵の殻を思い浮かべてもらえば分かりやすいと思うが、とにかく軽量で剛性が高いという特徴がある。鋼製シャシーに客室を載せたそれまでの車体作りとは異なる画期的な手法だったが、専用シャシーを使う車体構造には、モノコック構造にはない長所もあった。モノコック構造の特徴は軽量、高剛性だが、シャシーを持つ車体構造には高強度という特徴がある。剛性は曲げや捻りの力に対してそれに耐える特性のことだが、強度は力が加わった際、構成材が破断(破壊)する限界を示す特性で、厚い鋼板を用いるシャシー(フレーム)は、入力に対して高い耐性を示す特徴が備わっているのだ。

路面入力に対して高い強度を保つことができる

 このため、シャシーを持つ車体は、路面入力に対して高い強度を保つことができ、サスペンションなどから加わる瞬間的な大入力に対しても、安定した状態で車体を保持することができる。クロカン4WDに向くと言われるのはこのためで、もちろんモノコック構造の車体でも同等の性能を確保できないわけではないが、車体を構成する鋼板の厚みや路面入力の支持点となるサスペンションピボットの処理、対策などを考えると、専用シャシーを持つ構造のほうがはるかに対応しやすいのである。 また、モノコック構造はボディ全体で入力を受け持つ構造のため、大きな衝撃を受けてボディが変形してしまうと走行不能に陥ることも考えられるが、専用シャシーを持つ構造なら、ボディが変形、損傷した場合でも実走行には影響することはない。堅固なシャシーに支えられたサスペンションやパワートレイン系が正常に機能し、可動状態を保ってくれるからだ。 ところで、この専用シャシーだが、その形状によっていくつかの種類がある。現在、クロカン4WDで採用されるラダーフレームは、シャシー構造のなかでもシンプルな形式で、左右1対のメインフレーム(サイドメンバー)を90度に直交する何カ所かのサイドメンバーでつなぐ構造で、その形がハシゴと似ていることからラダー(ハシゴ)フレームと呼ばれるている。構成材は、H形鋼、チャンネル鋼、I形鋼、あるいは鋼板を溶接して組み上げた部材などが使われ、ベーシックなラダー形状のほかに、バックボーン形式、X字形式、ペリミーター形式のフレームなどが自動車用として使われてきた歴史がある。 また、丸パイプ(904から936にいたる一連のポルシェ純レーシングカー)や角パイプを立体的に組み上げたチューブラースペースフレーム構造を採る形式もあるが、量産車としてはラダーフレームが、もっとも一般的かつベーシックな形式となっている。 なお、クロカン4WD風に見える4WD車の中には、ヘビーデューティーなクロカン4WDの雰囲気に着目し、初めからオフロード走行は想定せず、実際は舗装路走だけに用途を絞ったモデルも少なからずあった。これらのモデルはモノコック構造で作られ、RVブーム時には都市ユースの車両として人気を集めたが、いったんブームが去ってしまうと需要を失い、気がつけば市場に残ったモデルは、オフロードでの使用や走行に基本を置いたシャシー構造の車両、トヨタ・ランドクルーザーやスズキ・ジムニーだけという状況で、なんとも感慨深い。長く支持され続けるのは本物だけ、ということなのだろう。

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