ほとんどの輸入車に右ハンドルが用意されるいまでも「輸入車は左ハンドル主義!」な人が存在するワケ
この記事をまとめると
■いまや輸入車の大半が右ハンドル仕様となっている■しかし現在も根強い左ハンドルファンが存在■考えられる理由を7つ挙げて解説したい
今なお根強い左ハンドルファンが存在
かつては輸入車=左ハンドルで、それがステイタスになっていた時代もあったが、今ではベンツやBMWなど主だった輸入車の大半は右ハンドル仕様で、BMWはおよそ9割が右ハンドル。 その反面、一部で根強い左ハンドルファンがいるのも事実。 フェラーリ、ランボルギーニ、アバルトをはじめ、イギリスが本拠地のマクラーレンですら、圧倒的に左ハンドル仕様が多い。 これは一体?
理由 その1)ペダル配置の問題
ひとつには、スポーツカーの場合、コクピットがタイトなので、右ハンドルだとペダル類が左寄りになってしまうことがある。たとえば、964の頃のポルシェ911の左ハンドル仕様は、タイヤハウスがフットレスト。それがちょうどいいポジションだったが、右ハンドル仕様になると全部のペダルが左寄りで不自然だった……。 最新のスーパーカーだとそうした不自然さはないはずだが、その頃の印象が強いのかもしれない。
理由 その2)コーナーウエイトの問題
縦置きエンジンには当てはまらないが、横置きエンジンのクルマは、左右の中央にあるわけではない。どうしても左右わずかに偏ってマウントされるので、重量バランスを考えると、ドライバーはエンジンの反対側に座ったほうが理想的。 輸入車ではないが、ホンダのNSX(NA1)は、エンジンが右寄りに搭載されていたので、左ハンドルのアキュラの方が重量バランスはよかった。 同様に、三菱のFTOも全日本GT選手権に出場していたマシンは、重量バランスを考え左ハンドル仕様で参戦していた。
ショーファードリブンなどは同乗者へのメリットも
理由 その3)操作系の問題
かつてのアルファロメオやアバルトなどは、右ハンドル仕様にしても、ブレーキのリザーバータンクは左のままで、ペダル&マスターシリンダーとリザーバータンクの距離が長いために、右ハンドル仕様のブレーキフィールがイマイチだったことがある。 国産車でもマツダのロードスター(NC)は、左ハンドル前提の設計だったので、右ハンドル仕様はクラッチのマスターシリンダーが右側=エキマニの直近になってしまい、サーキットを走るとクラッチフルードがベーパーロック現象を起こすことも! その他、元が左ハンドル仕様のクルマは、サイドブレーキのレバーが助手席(左席)寄りだったり、微妙に使いにくいことがある。こだわる人は、こういうところが気になるのだろう。
理由 その4)ショーファードリブン
運転手付きの高級車、ショーファードリブンだと、クルマのオーナーやお客のVIPが乗降するとき、運転手が後席のドアを開け閉めする。そのとき、左ハンドルのクルマであれば、運転席からすぐに歩道側の後席のドアを開けられるというメリットがある。
理由 その5)レプリカ疑惑
右ハンドルが少ない車種で、右ハンドルに乗っていると、他人に「ひょっとしてレプリカ?」と思われてしまう可能性があり(?)、それを嫌って左ハンドルを選ぶことも!?
理由 その6)納期の問題
もともと生産台数が少ないクルマは、右ハンドル仕様をオーダーすると納期が長くなることがある。「左ハンドルなら納期が早い」といわれ、そちらをチョイスする人もいるだろう。 また限定車は左ハンドルオンリーというものもある。
理由 その7)好みの問題
最後は使い勝手の良し悪しなどではなく、個人の好みの問題。 なんとなく「このクルマには右ハンドルは似合わない」とか、歴代ずっと左ハンドルに乗ってきたからだとか、理屈ではないところにこだわるのもファン心理のひとつ。 高速道路の料金所もETCがあれば不便ではないし、これからも『これは』というクルマでは、左ハンドルをチョイスする人がいるだろう。