強く引くと「ガッ」とひっかかる謎現象は何? クルマのシートベルトに備わる安全機能「ELR」とは

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この記事をまとめると

■シートベルトを強く引っ張ると、ひっかかるような現象が起こることがある■これは安全のために自動的にロックさせる機能が働いている状態■そのほかシートベルトには乗員を守るための機能がいくつか備わっている

衝撃などを感知すると自動的にロックさせる

 大変、時間がない! 急いで出発しないと遅刻しちゃう! なんて時に、クルマのシートに座って慌ててシートベルトをしようと引き出すと、そんな時に限って「ガッ」と引っかかってベルトが出てこなくなってしまう謎現象。みなさん、一度は経験したことがあるのではないでしょうか? 「なんで? 急いでるのに!」とますます焦ってチカラまかせに引っ張っても、ベルトはびくともしないですよね。そこで落ち着いてベルトを巻き戻し、もう一度ゆっくり引き出すと、今度はちゃんと適量が引き出せてカチッと締めることができると思います。 じつはこれ、シートベルトの機能の1つで、緊急時に乗員を守るため、衝撃などを感知すると自動的にロックさせるという機能。現在、多くの車種に採用されている「ELR(エマージェンシー・ロッキング・リトラクター)」付き3点式シートベルトに採用されている機能なのです。 仕組みとしては、リトラクターのゼンマイで巻き取られているベルトを引き出して装着するというもので、ロックがかかる条件としては主に3つ。「ベルトが急に引き出された時」「急ブレーキや急旋回などで車体が大きく傾いた時」「事故などで車体に大きな衝撃を感知した時」です。焦って急いでシートベルトを引き出すときというのは、この条件の「ベルトが急に引き出された時」に当てはまるということなんですね。 ロックがかかってしまった時は、一度ベルトから手を離し、ゆるめることでロック解除となりますので、再度ゆっくりと引き出せばOKです。 そしてELR付き3点式シートベルトには、ほかにも緊急時に乗員を守るための機能が備わっています。1つ目は、プリテンショナーという機能。これは、前面衝突が起こった際に瞬時にベルトを巻き上げることで、シートベルトのたわみをなくして乗員の拘束をはやめ、乗員のからだが前方に移動してしまうのを抑えてくれる効果があります。衝撃が強い場合にはエアバッグが作動しますが、エアバッグとの相乗効果でより高い安全性を発揮します。

徐々にシートベルトを緩めていく機能も

 もう1つ、フォースリミッター(ロードリミッター)機構というのもあります。これは、プリテンショナーによって乗員のからだを拘束したあとに、一定の荷重がかかるとそこから徐々にシートベルトを緩めていくことで、荷重を適切なレベルに抑えて乗員のからだにダメージを与えないようにして、乗員を保護するという機能です。 普段、なにも考えずに使っているシートベルトには、こんなにたくさんの安全機能が仕込まれていたんですね。 ちなみに、現在の新型車には採用されていませんが、2000年〜2010年頃までに製造されたクルマの多くには、後席シートベルトに「ALR(オートマチック・ロッキング・リトラクター)付き3点式シートベルトが採用されていました。これはまだISO-FIX式のチャイルドシートが主流になる前に、シートベルト固定式のチャイルドシートをより確実に固定するために考案された機構で、後席シートベルト全量を引き出すとロックし、巻き取る方向にしか動かなくなっています。 そのため、正しく使用すればチャイルドシートを最大の拘束力で固定することができて安心なのですが、この機構にはリスクもあり、子供などがチャイルドシートで遊んでいて誤ってロックさせ、締め付けられてしまうという事例が発生。最悪の場合には命の危険が懸念されるということで、2000年頃から2010年頃までに製造されたクルマにお乗りのかたは、十分に扱いに注意してほしいと思います。 また法律では、前席だけでなく後席のシートベルト着用も義務付けられており、違反者には罰則もあります。メーカーは自主的に、シートベルトを着用していない座席を感知するとアラームを鳴らしたり、警告灯が点灯したりする装置を装着してきましたが、2020年9月以降に販売される乗用車にはアラーム装置の装着が義務化されています。 クルマに乗る人はドライバーじゃなくても、全員が事故に遭うリスクを抱えており、シートベルトはそのリスクから身を守るために、誰もが簡単に、無料で、今日からできる安全対策です。「ちょっとそこまでだから」「後ろの席だから」と軽視せず、「乗ったら締める」を全席で習慣にして、交通死亡事故ゼロ社会を目指しましょう。

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