海外では魅力的な「激安EV」も多数! それでも並行輸入がほとんど日本で見られないワケ
この記事をまとめると
■海外では日本に正規輸入されていない電気自動車が多数存在する■とくに中国は100万円以下のモデルも■そうしたクルマが並行輸入されない理由を解説する
海外では多数のEVがすでに登場している!
ここへ来て、日本でも一気に、EVシフトしそうな気配だ。なにせ、日本の乗用車シェアの約半分を占めるトヨタが、2030年までにグローバルでバッテリーEVを年間350万台製造・販売すると宣言したのだから。 2022年央に発売予定のbZ4Xを筆頭としたbZシリーズだけではなく、クロスオーバー、オフローダー、商用車、ピックアップトラック、スーパースポーツ、小型スポーツカーなど、トヨタブランドとレクサスブランドで近年中に発売予定の15モデルが一挙公開された。 また、独メルセデス・ベンツも2030年までに「市場環境が整えば、グローバルで新車100%バッテリーEV化」を宣言している。 ところが現状では、日本国内のバッテリー販売台数は約1万5000台で、率にすると乗用車新車販売全体に占めるバッテリーEVの割合は、たった0.6%にとどまっている。 一方で、たとえば中国には100万円以下で販売されている小型EVなどさまざまある。 そうなると、海外のバッテリーEVの中古車を日本向けに個人輸入する並行輸入が盛んになるのではと思う人がいるかもしれない。
並行輸入車全体の審査がより厳格化!
そんな中、バッテリーEVに限らず、並行輸入に対する国の対応が最近変わった。 独立行政法人 自動車技術総合機構は、並行輸入自動車の届出書面について、「技術基準への適合性を証する書面」が偽造される事例が発生したことを問題視し、審査業務をより一層、厳正化することを決めたのだ。 そもそも、外国で使用されている自動車を日本で使う場合、日本国内での道路運送車両の保安基準に適合していなければならない。適合しているかどうかの判断として、たとえば技術基準証明書や、技術基準の試験成績書などの提出が求められる。 こうした各種書類等の偽造される事例があったため、2021年7月以降の届出では、並行輸入自動車届出書の一部様式が変わる。また、新たに技術基準等宣言書の提出が求めされることになった。この宣言書では、製造メーカーが自動車の保安基準等の技術基準について、誤りがないことを自ら宣言するかたちとして、仮に偽造など違法行為があった場合、法的な対応が明確に取れることになる。 このように、並行輸入自動車の全般について、届出制度が厳格化されるなかで、たとえば中国や欧米の中小メーカーが製造したバッテリーEVについて、技術基準等宣言書がしっかり提出されるだけの、コストを手間をかけるユーザーや業者がどれほどいるのか? バッテリーEVの場合、エンジン車とは違い、例えば搭載するバッテリーの使用状況や経年劣化における安全性の確保など、日本の保安基準に照らし合わせる書類の手配や、場合によっては新規の書類作成が必要となるだろう。 こうした状況下で、結果的に現状では海外からのバッテリーEVの並行輸入の事例は限定的になっているといえる。