今度は深刻なアルミホイール不足が発生! スタッドレス商戦も大打撃
この記事をまとめると
■いま世界的なサプライチェーンの混乱の渦中にある■それによりアルミホイール不足が発生■中国の停電騒ぎなどが大きな影響を及ぼしている
アルミホイール不足が発生!
サプライチェーンの世界的混乱は依然として収束する気配もないようで、最近では最大手ファストフードチェーンが、輸入遅延が発生したとして期間限定ながらフライドポテトのサイズをSに限定して販売するなど、より生活に密着した部分にまで影響が出てきている。 新車販売の世界は、全体的には改善傾向に向かっているものの、報道ではトヨタは部品調達が困難となり、本稿執筆時点では、2022年12月は2万2000台減産するとされている。新型変異株のオミクロン株の感染スピードが速く、世界各地で大量の感染者が出ている現状では、短期間でサプライチェーンが回復することはまず期待できないだろう。 それでも、新車の納期遅延はいままででもっともひどかった2021年9月や10月に比べれば、改善傾向にあるのだが、新車販売現場で聞いたところでは「アルミホイールが足りません」とのことであった。最近では新車販売の利益だけではとても新車ディーラーは食べていけないのが恒常的となっている。そのため、アフターメンテナンスや物販を積極的に行っており、この時期はスタッドレスタイヤの販売に積極的な動きを見せている。「例年ならば、中国製あたりの格安アルミホイールにスタッドレスタイヤを履かせて販売しているのですが、今回のウインターシーズンでは、アルミホイールそのものがなかなか入ってきません。入ってきたとしても例年より高額で、“格安スタッドレスタイヤ販売”などは難しく泣いています」とのことであった。
中国の停電騒ぎなどが大きな影響を及ぼしている
業界事情通に聞くと、「スタッドレスタイヤを履かせる格安アルミホイールは、中国製が多いのですが、中国では停電がまだ深刻で、毎週深夜に3日ほどしか生産ラインを動かすことができないなどとも聞いております。まずは、“停電騒ぎ”によってアルミホイール自体の生産が滞っているようなのです」とのこと。 2021年夏ごろより、中国の停電騒ぎというか、“計画停電騒ぎ”がフォーカスされるようになった。計画停電により、電力消費の激しい工場の操業は厳しく制限され、前述したように、深夜に、それも3日のみ操業可能などという状態になっているようである。 その原因については、火力発電所向けの石炭供給が価格高騰により不足傾向にあるとか、政府の電力供給政策(化石燃料による発電を押さえる)、または、年明けに開催される北京オリンピックのために、大気汚染を抑えるために(開催地近辺の冬の大気汚染は深刻)火力発電所の操業を抑制するなど、さまざまなことがいわれているが、いまひとつその原因は定まっていないのも現状。 ただ、その煽りを受けてアルミニウムの生産量も抑制されており、アルミホイール加工工場の操業の問題とダブルで品薄状況を招いているようである。 しかし、話は中国からの完成品だけではないとは前出の事情通。「じつはアルミニウムの製造過程で使用する溶剤の生産量は中国が圧倒的に多く、これも計画停電騒ぎで供給量が限られているようです。そのため、世界的にアルミニウムは品薄状況となっています。まったく世の中からなくなるということはないようですが、“買い負け”しないようにしなければ品薄状況は目立ってくるかもしれません」。 世の中からまったくなくなるということは、多くのケースで起こっていない。ただ、供給量が限られるなかで、ありとあらゆる業種で日本企業が世界的に“買い負けて”いるのではないかとは、最近よく聞く話になってきている。