年度末セールは値引きが荒れる? ディーラーの初売りを回って感じた異変
この記事をまとめると
■新年の初売りセールはまずまずの賑わいを見せていた■各ディーラーとも隠し球ももっている様子■そうしたなかで年度末決算セールの値引きが荒れそうな雰囲気を掴んだ
初売りセールの活気は上々
ある地域に絞り、1月3日と4日にかけ、いわゆる“初売りセール”をスタートさせた新車ディーラーの様子を見に行った。3日にはスズキ系の一部、4日には日産系、ホンダ系のいずれも一部、そしてダイハツ系が初売りセールをスタートさせていた。 2021年の初売りセールについても、3日と4日に店を開けているディーラーをまわったのだが、どこも午前中の早い時間から多数のお客でにぎわっていた。なかには、セールスマン全員が接客中で、暗にほかの店へ行くように言われたところもあった。また、別のディーラーでは、週末のスーパーなどのように警備員が駐車場で交通整理までしていた。 2021年の正月といえば、みなさんも記憶に新しいと思うが、新型コロナウイルスの感染再爆発が起こり、帰省ラッシュもできない寂しい正月であった。遠出ができないひとたちが多かったこともあるのか、「それなら」ということで、新車ディーラーの初売りがコロナ禍でも盛り上がったものと考えている。 それでは2022年の正月はどうかといえば、オミクロン株の動きは怪しいものの、強い行動自粛要請もなく、久しぶりに鉄道、飛行機、高速道路ともに帰省ラッシュで混みあった。そのため、新車ディーラーの初売りも2021年ほどのにぎわいはないものの、開店直後から真剣に新車購入商談をしているお客がどのディーラーでもいたのが印象的であった。 ホンダ系ディーラーだけは、駐車場も満車で、店内も商談テーブルが満席となり、席が空くのを待つお客が多数いるという、“ランチ時のファミレス”のような状態で驚いたのだが、これはその店で新車を買ったりした、“管理顧客”向けに来場記念品との引き換えクーポン券の入ったダイレクトメールを送っていたため、多くの管理顧客が店に殺到したことが大きいようだ。しかし、ただ記念品だけもらって帰るというお客は少なく、新車購入のための商談を進めているお客が多かった。ダイレクトメールには、管理顧客向けに短期納車可能なお買い得車情報も掲載されており、これを目当てに商談を行っていたようである。
部品調達の混乱からくる納期遅延が値引きに影響
“まったく納期が読めない”や、“納車まで時間がかかる”というわけではなく、管理顧客にだけ知らせるなどの“隠し玉”はどこのディーラーも少なからず持っている様子。こうなると、少々アナログとなるが、新車ディーラーへ足しげく通い情報を集めるほうが、リアルタイムで状況は変わる現状では、より有益な情報がつかめるようであった。筆者は今回“フリー来店の新規客”として店を訪れたが、管理顧客向けの“隠し玉お買い得車”を勧められた。 昨今のサプライチェーンの混乱による納期遅延が問題化する以前から、新車の納期は時間がかかる傾向があったので、本来なら2・3月で展開する事業年度(2021事業年度なら、2021年4月から2022年3月の間)末決算セールも、最近では、1月に前倒しして事実上事業年度末決算セールを展開する傾向があった。 そこで、2022年の正月に初売りを回ったところで、2021事業年度末決算セールの傾向をみると、すでに事業年度内に納車が可能となるかは、ほとんどの新車で良くても“微妙”というのが現実で事業年度内に納車が可能となる車種は限定的となっている。おおまかな生産予定などは出ているものの、これも状況次第では変更となってしまう。 そのため実際セールスマンが話してくれたところもあるが、傾向としては「納車まで待ってもらうことになるので、その分値引きで還元」というトーンがセールスマンからは伝わってきた。それほど本気モードで商談をしていなくとも、軽自動車でさえ、いきなり限界に近い値引き額を提示してきたり、カーナビなどのオプション用品の一部金額負担や、超低金利ローンの期間限定展開など、いつになく今後事業年度末決算セールが進んでいくなかで、値引きが荒れそうな気配というものを初売りで感じた。