ステップワゴンが復活を狙い6代目をリリース! 歴代の「飛び道具」を振り返る

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この記事をまとめると

◼︎ホンダのミニバン「ステップワゴン」を振り返る◼︎6代続く人気モデルなだけに各モデルでさまざまな特徴がある◼︎6代目の売れ行きにも期待したい

ホンダのこだわりが詰まったかつてのミニバン王者を振り返る

 1996年、日本のファミリーカーの概念を変えた、クリエイティブな多人数乗用車が登場した。それが、1994年登場のアダムスファミリーのCMでも盛り上がった初代オデッセイ、1995年登場の世界的ヒットとなったクロスオーバーSUV(そうした言い方はまだなかったが)であるCR-Vに続く、ホンダのクリエイティブムーバー第三弾、かつ乗用車ベースのステップワゴンであった。「日本のファミリーカーの概念を変えた」という意味は、こうしたジャンルのクルマとしてはまさにパイオニアだったから。熾烈なライバル関係にある日産セレナやトヨタ・ノアもあるでしょ……と思うかも知れないが、日産セレナがFF化され、国産ミニバン初の両側スライドドアを備えたモデルとして登場したのは1999年、トヨタ・ノアは2001年のデビューなのである。 ステップワゴンの名前の由来は、ライフステップバンに由来し、グレード名にW、G、Nを揃えたあたりも当時イケイケのホンダの遊び心が見て取れる。そんな初代ステップワゴンは、シンプルで親しみやすい、それまでのボックス型とは一線を画すスタイルで登場。B20型2リッターエンジン+4ATのみの構成で、走りにこだわるホンダらしく、サスペンションはフロントストラット、リヤダブルウイッシュボーンを奢ったほか、ボディ剛性を確保するため、運転席側のスライドドアがないボディ構造を採用していた。運転席を下りて後席にアクセスするには、車体をグルリと回らなければならない面倒はあったのだが……。 もちろん、室内空間は広大。まるでわが家に一部屋増えたような感覚をもたらしてくれた。2列目席は回転対座とポップアップシートの2タイプがあり、ファミリー層に大きな楽しみと使い勝手の良さを与えてくれたのも事実。ボックスタイプのミニバンでありながら、どこか洗練された雰囲気が漂っていた初代ステップワゴンは、ファミリー層、子育て世代にバカ受けしたとともに、デザイン関係、ファッション関係のオシャレ層にも大流行。例えば、2列目席の2:1分割回転対座シートを選択すれば、車内で打ち合わせなどもでき、多人数乗用車としてだけでなく、走るオフィス、クリエイティブ空間としても便利だったわけで、新しモノ好きなユーザーを含め、大ヒットしたのは必然でもあったのだ。 2001年、2代目となったステップワゴンは、初代のキープコンセプトモデルとして登場。シートアレンジはさらに進化し、対座モード、レストランモード、フルフラットモード、カーゴモードを用意。初代に続き大ヒットしたことはもちろんで、2003年にはこれまでの2リッターエンジンに加え、2.4リッターエンジンを追加。以来、人気のエアロ仕様となるスパーダグレードも、このタイミングで加わっている。ただし、両側スライドドアはまだ未採用のままである。 2005年に登場した3代目は、ステップワゴン初の両側スライドドアを採用。しかし、ボックス型のコンセプトから一転、低床、低全高、ワンステップフロア、ダウンサイジングのパッケージに転換(デビュー当時スパーダは廃止。2007年に再登場)。「ついにステップワゴンのスライドドアが左右に貫通した」と話題にはなったが、低全高化、あるいは日産セレナ、トヨタ・ノアといった強豪ライバルが出現していたため、初代、2代目ほどの爆発的な人気は得られなかった。

かつての人気を取り戻すために”わくわくゲート”が生まれる

 それをホンダが黙って見ているわけもない。2009年デビューの4代目ステップワゴン&スパーダは、3代目の反省!? もあってか、低床パッケージはそのままに、全高を45mm高め、今で言うMクラスボックス型らしいスタイリングで登場。3列目席は床下格納でき、大容量ワゴンとしても使えるパッケージが、ミニバンを使いこなせる人には好評だった。2010年には国産ミニバン販売台数NO.1の座を記録したほどである。エンジン、ミッション、エアコンなどを強調制御するいわゆるエコモードのECONがステップワゴンに採用されたのもこの4代目からである。ただし、2.4リッターエンジンは廃止。ファミリーミニバンとして適切な2リッターのみの設定となった。 そしていよいよ2015年、現時点(2022年1月)で現行型となる5代目ステップワゴンが登場。ホンダ車初採用の1.5リッターダウンサイジングターボエンジンの搭載もニュースだったが、それ以上に話題を提供してくれたのがバックドア。それは左右非対称のわくわくゲートと呼ばれる、一体の縦開き、さらに玄関ドアのように横開きも可能な、サブドアを備えたものだ。すごいのは、5:5分割の3列目席=マジックシートを床下にすっきりと格納でき、バックドアの横開きサブドアから人やペットが乗降可能な点であった(バックドア内側にもオープナーがある)。つまり、ミニバンに第五のドアが誕生したというわけだ。 わくわくゲートのサブドアは、、6:4分割の左右非対称、リヤバンパーレスということで、いまひとつ受け入れにくかったものの、ボックス型ミニバンのラゲッジルームの使い勝手を大きく進化させたのも事実。つまり、ボックス型ミニバンの巨大なバックドアを跳ね上げるには、車体後方に約1mのもスペースが必要だが、横開きのサブドアなら、車体後方に必要なスペースは、3段階のストッパーによって約400/640/760mmで済む。壁やクルマにバックでギリギリに止めても荷物の出し入れや乗り降りが可能となって超便利。ステップワゴンの場合、バンパー一体の縦長バックドア全体を大きく跳ね上げるには、車体後方に約1200mmのスペースを要するのである。 2017年には待望のSPORT HYBRID i-MMDモデル=ハイブリッドを追加。走りの面ではクラストップレベルの実力、快適感を備えていた。 走ればクラスベストと思える5代目ステップワゴンだったが、ライバルの安定人気のトヨタ・ノア&ヴォクシー、プロパイロットを備える日産セレナほどの人気は得られていない。2021年11月の国産ミニバン販売台数でも、ヴォクシー6711台、アルファード5423台、フリード5114台、ノア3888台、シエンタ3808台、セレナ3219台に続く7位の2916台にとどまっている(とはいえ前年同月比127.1%)。 その理由は、先に触れた左右非対称バックドアが、どうやら女性の美意識!? に抵抗があったらしいのと、ノア、ヴォクシー、セレナでは可能な2列目キャプテンシートの左右スライド=ベンチシート化アレンジを備えず(キャプテンシートかベンチシートかの選択を迫られる)、またセレナにあるプロパイロットのような飛び道具もなく、ロングドライブ派にうれしいACC(アダプティブクルーズコントロール)の機能もイマイチ(ノア&ヴォクシーはACCそのものが不採用)などの要素が組み合わされたからだったと推測できる。 とはいえ、モデューロXといったスポーティバージョンも揃える、日本のMクラスボックス型ミニバン=多人数乗用車のパイオニアであるステップワゴンは、今も標準車、スパーダともに走りの良さではピカイチの存在であることは間違いないところ(HVモデル)。個人的には、日常からアウトドアまで大活躍必至のわくわくゲートのクリエイティブムーバーの血を受け継ぐマルチな使い勝手の良さ、子供がワクワクできる楽しさはライバルにない大きな魅力だと思えるのだが……。 しかし、ホンダは5代目ステップワゴンから6代目ステップワゴンへと、大きく進化させるはずだ。2021年いっぱいでオデッセイが消滅したわけだから、今しばらくはホンダの最上位ミニバンとなる。2022年1月7日、ジャパンプレミアがYouTubeで行われたが、四角さに安心と自由を落とし込んだ、すっきりとしつつタイヤの踏ん張りを強調したボクシーなエクステリア、シンプルかつ高級感あるリビングのようなインテリア、3列目席が特等席になりうる3列目席からの前方視界にもこだわったパッケージング、これまでにライバルにあってステップワゴンになかったキャプテン&セミベンチ自在の2列目席中寄スライド機構の採用(祝!)、オットマンなどの上級装備など、新型らしさ、オールマイティな使い勝手が満載だ。 ただ、個人的に残念なのが、わくわくゲートが廃止されたこと(現行セレナはバックドアのガラスハッチだけ開閉する)。開発責任者が最後に「走るとすごいんですよ」というメッセージを残したあたりも、運転好きのミニバンユーザーにとって気になるところである。発売は2022年春とされている。楽しみだ。

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