「死ぬまでに一度は乗りたいクルマは何ですか?」 乗馬が趣味のジャーナリストは「パテント・モトールヴァーゲン」を運転したい

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この記事をまとめると

■ライター陣に「死ぬまでに一度は乗りたいクルマ」を聞く本連載■今回は御堀直嗣さん■パテント・モトールヴァーゲンの名前が挙げられた

シュッ・ポン、シュッ・ポンという音とともにエンジンが始動!

 死ぬ前に乗っておきたいクルマは、カール・ベンツが世界で最初に発明したガソリンエンジン自動車であるパテント・モトールヴァーゲンだ。そのレプリカ(複製品)は、世界に100台ほどあるはずだ。日本でも、トヨタ博物館が所有していると思う。 じつは、一度乗ったことがある。ただしそれは、現地のドイツ人技師が運転し、私は同乗しただけだった。そこで、次に機会があれば、ぜひ自分で運転してみたいのである。新車試乗でも、同乗と運転では、感じ方に差があることがある。 ダイムラー社には、クラシックセンターという施設があり、ここで歴代車両のレストアが行われている。その一環として、パテント・モトールヴァーゲンのレプリカ製作が行われている。2004年に取材で訪れたとき、同乗の機会を得た。 パテント・モトールヴァーゲンは、ベンツが独自に製作したフレームを持つ3輪車で、エンジンは954ccの単気筒を横に寝かせ、座席後ろに搭載している。大きな弾み車を手で回すと、シュッ・ポン、シュッ・ポン(シュッは空気を吸う音、ポンは燃焼する音)という音とともにエンジンが始動する。車輪は、前が1輪で、後ろが2輪の後輪駆動だ。操舵を行う前輪が1つであるのは、当時はまだ前2輪を操舵した際に旋回半径が内輪と外輪で異なるのを調整するアッカーマン・ジオメトリーが生み出されていなかったためだ。

乗馬との共通点も運転してみたい理由のひとつ

 世界初のガソリンエンジン自動車を発明するに際し、ベンツは、「機動性と実用性に優れ、エンジンが車体と有機的に一体化した自走車」という概念を持っていた。つまり、単に馬に替わって走らせる動力(エンジン)を持った車両というだけでなく、機動性、つまり旋回性能を含めた走行性能の高さを考慮していたと考えられる。旋回時に内輪と外輪の軌道半径の違いによる不都合を起こしたくなかったのだろう。それに対し、ゴットリープ・ダイムラーは、馬車の客室の床に穴をあけ、エンジンを載せる手法で、まさしく馬なし馬車を作った。動力を馬からエンジンへ、それがダイムラーの着想だった。 のちにアッカーマン・ジオメトリーの考えを手に入れたベンツは、次の車両で4輪にしている。 パテント・モトールヴァーゲンの速度は、時速15kmほどだ。これは、馬が速歩(はやあし)と呼ばれる足の運びで駈けるときの速さに等しい。ベンツが構想のなかに、「有機的」といっていることから、私は、生き物である馬のような自在な走りを目指したのではないかと解釈している。 また、馬の速歩における足の運びは2拍子で、まさにパテント・モトールヴァーゲンの単気筒エンジンが発したシュッ・ポン、シュッ・ポンの調子と同じなのだ。 私は、20年近く乗馬をしてきて、その感覚は2輪車(バイクや自転車)ではなく4輪車に近いと考えている。旋回の際に、馬は馬体を傾けないし、騎乗する人も体を垂直に保つのが基本だ。そして馬は、右旋回と左旋回で足の運びを替える(この点は、4つ足動物は同じ)。その様子は操舵感覚だ。乗馬との類似点からも、世界で最初のガソリンエンジン自動車であるパテント・モトールヴァーゲンを、一度は自ら運転してみたいと思うのである。

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