仰天スタイルでダカールラリーに参戦した「アウディ」! 負けず劣らずの「イカツ系」ラリー車たち
この記事をまとめると
■2022年ダカールラリーでもっとも注目されたクルマはアウディRS Q e-tronだった■もとともダカールラリーはレーシングカーのようなラリー車両が数多く参戦している■1986年まではWRCでもレーシングカーのようなエボリューションモデルも認められた
レーシングカーのようなラリー車が参戦するダカールラリー
2022年のダカールラリーには、四輪部門、二輪部門、トラック部門、ダカールクラシックカー部門を合わせて計550台が集結。そのなかで、もっとも注目を集めたマシンが、アウディが投入した「RS Q e-tron」だ。 同マシンは、電動ドライブトレインのクロスカントリーラリー車両で、DTMで搭載されていた効率的なTFSIエンジンと合わせて、フォーミュラE車両「アウディe-tron FE07」に搭載されていたモータージェネレーターユニットを採用。ユニークなシステムを持つマシンだが、同マシンが注目を集めた最大の理由が、その個性的なスタイリングだと言えるだろう。 アウディスポーツのデザインチームのリーダー、ファン・マヌエル・ディアス氏は、「このクルマは未来的な外観を備え、アウディならではの多くのデザインエレメントを採用しています。未来のアウディブランドを象徴するデザインを生み出しました」と語っているが、その言葉どおり、RS Q e-tronは独創的なシルエットを持つ。残念ながらアウディ勢の最上位はマティアス・エクストロームの総合9位にとどまったが、マシンのシステム的にもデザイン的にもRS Q e-tronは意義のあるチャレンジだったのではないだろうか? このようにアウディRS Q e-tronが2022年の大会において目玉車両となったが、もとともダカールラリーは、プロトタイプ車両を主軸としていただけに、砂漠や山岳グラベル車両を舞台にした競技ながら、これまでにレーシングカーのようなルックスを持つラリー車両が数多く参戦している。 なかでも、記憶に新しいモデルが2009年のダカールラリーに三菱が投入した「レーシングランサー」にほかならない。それまでのパジェロエボリューションと同様にマルチチューブラーフレームのシャーシにディーゼルターボエンジンをフロントミッドに搭載したマシンだが、エクステリアのモチーフとして世界戦略車のランサースポーツを採用。残念ながら、2009年の大会ではマイナートラブルが続出し、ホアン・ナニ・ロマの10位が三菱勢の最上位となったが、ルーフ上に大型なエアインテークを備えるなど個性的なフォルムを持つマシンにしがっていた。 そのほか、1987年〜1988年にかけて2連覇を果たした「プジョー205 T16 GR」や1995年および1996年に2連覇を果たした「シトロエンZXラリーレイド」も印象的なスタイリングを持つラリー車両だ。さらに、近年であれば2017年〜2018年に2連覇を果たした「プジョー3008 DKRマキシ」もレーシングカーのようなシルエットを持つマシンと言えるだろう。
1986年まではWRCもエボリューションモデルが参戦していた
一方、WRCに目を向けると、1987年〜1996年までのグループA時代は、ベース車両のスタイリングを踏襲。1997年に幕を明けたWRカー時代もフェンダーやリヤウイングなど空力デバイス改良は認められたものの、ベース車両のイメージが踏襲されていた。2017年には空力面における開発の自由度は広くなったほか、2022年はラリー1時代を迎え、チューブラーフレームとハイブリッドシステムを採用した専用モデルとなったが、それでも、マシンのシルエットはベース車両をイメージしたスタイリングと言えるだろう。 つまり、WRCと言えども、レギュレーションの関係から、1987年以降はプロトタイプカーのような独創的なマシンは参戦していないが、それよりも以前に遡れば、WRCにも個性的なマシンが参戦していた。 なかでも、1982年〜1986年のグループB時代は生産台数20台のエボリューションモデルを自動車メーカーのワークスマシンとして認めたことから、プロトタイプ車両のようなラリーマシンが続々と登場した。そのなかで、もっとも印象的なマシンといえば、やはり、オースチン・ローバーが1985年に投入した「MGメトロ6R4」がクローズアップされることだろう。 コンパクトなシャーシに2900ccのV6ターボエンジンを搭載した同マシンはエクステリアも個性的で、ウイングのようなフロントバンパーと左右に迫り出したフェンダー、そして巨大なリヤウイングがポイントとなっていた。残念ながらMGメトロ6R4はトラブルが続出し、目立った成績を残せずに終わったが、多くのファンに愛される一台となったに違いない。 そのほか、1985年にデビューした「ランチア・デルタS4」もグループB時代を代表するレジェンド車両。ターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせた550馬力のエンジンと4WDシステムで話題を集めたが、カナード形状のフロントバンパーとシンプルかつ大胆なリアフォルムが印象的で、ミニカーをコレクションしていた…というラリーファンも少なくないことだろう。 もちろん、1983年〜1984年にかけて2連覇を果たした「アウディ・クワトロ」もグループBを語る時に欠かせないマシンと言える。なかでも、張り出したフロントバンパーと左右のフェンダー、そして、巨大なリヤウイングを持つ「クワトロS1 E2」のシルエットは、まさにGTカーを彷彿とさせるスタイリングで、ランチア・デルタS4と人気を二分する一台となっている。