「なんでこんなに違う?」というぐらい値段はピンキリ! 迷いまくりのエンジンオイルの選び方
この記事をまとめると
■エンジンを動かすうえでエンジンオイルは欠かせない■エンジンオイルには化学合成油、鉱物油、部分合成油の3種類がある■さまざまな規格や粘度などがあり、適したものを入れる必要がある
頻繁に交換しないために存在を忘れられがちなエンジンオイル
エンジンを快適に、また有効に使う上で欠かせないのが、エンジンオイルだ。一方で、燃料のように頻繁に補給することがないため、いつオイル交換したか忘れられがちな存在でもある。 いざ、オイル交換をしようというとき、迷うのが値段だ。同じ粘度表示でも価格に大きな差がある。 エンジンオイルは、基本となるベースオイルと添加剤から成り立っている。ベースオイルには、化学合成油、鉱物油、そして部分合成油の3種類がある。昔馴染みなのは、鉱物油だ。ガソリンエンジンが生まれたときから使われてきた長い歴史がある。 いずれのベースオイルも、元となる原料は石油だ。これを精製してつくられたのが鉱物油である。同じく石油を基にするが、不純物などを取り除く手間を掛けたのが化学合成油だ。温度差に強く、劣化しにくいので長持ちするといえる。部分合成油は、鉱物油と化学合成油の中間といえるもので、鉱物油の劣化や、低温でのエンジン始動性などを改善している。 そのうえで、エンジンオイルの区分表示の最初に書かれているアルファベット2文字は、SAからSPまで、Sのあとのアルファベットが進むにつれ、オイルの性能がより改善されていることを示す。 SAは基本となるオイルで、添加剤を含まないことを示す。これに添加剤を加えることで、幅広い用途に適応させていけるようになり、SB、SC、SDというように進化し、酸化を防止したり、錆止め効果があったり、動弁系の保護性能があったりというように、効用が増えていく。当然、それにしたがって価格も上昇していくことになる。
オイルの進化によって交換時期の間隔も伸びた
2000年代に入ると、燃費向上や、排出ガス浄化性能の向上を新車がいっそう求められ、エンジンオイルも省燃費性能や排ガス浄化性能を加えた製品が登場し、それらはSL規格以降SPへ進化していく。 ちなみに、このSA~SPの表記は米国で基準化された表現で、ほかに日米で規格されたGF-1~GF-6(SH~SPと同じ内容)という表記の仕方もある。 次に、数字表記による0W-20といった表示が、アルファベット2文字表記のあとに記されている。これは、オイルの粘度を示す。 Wの付く最初の数字は、低温でのエンジン始動のしやすさを表し、数字が小さいほど寒くても始動しやすいことを表す。ハイフンのあとの数字は、高温での粘度の維持性能を示し、数字が大きいほど高速走行や高負荷運転に適している。寒冷地でなく、日常的に高速道路などをあまり利用しないのであれば、Wの付く数字は大きく、後ろの数字は小さい製品でよく、そのほうが安く手に入れられるだろう。 オイル交換時期については、現在は1万kmまたは1年ごとといわれることが多い。かつては、5000kmでとされてきたが、化学合成油が増え、混合気の制御がより緻密になるなど、燃焼が適切に行われるようになって、オイル交換の必要な間隔が長くなってきた。 それでも、クルマの使用条件や運転状況は利用者によって差がある。オイル交換を頻繁に行えばエンジンによいということだけでなく、廃棄された使用済みオイルの処分も視野に環境負荷も踏まえ、自分のクルマの利用状況に応じた適切なオイルの種類の選び方と交換時期を、整備工場など専門家と相談しながら進めるといいだろう。