メーカー自ら旧車を直す! クルマ好きが絶賛する「レストアプログラム」は本当に正義なのか

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この記事をまとめると

■伊藤かずえさんが所有するシーマのレストアを日産が担当したことが話題になった■日本でメーカーがレストアプログラムを用意しているのはわずかな車種のみ■欧州では自社のクルマをレストアしてお墨付きを与えるプログラムが確立している

日本の自動車メーカーがレストアを請け負うのは異例

 昨年話題になった1台に、女優の伊藤かずえさんが所有する初代シーマがあった。日産自身がレストアを担当することになり、グループ会社のオーテックジャパンが作業を担当。完成後は東京銀座のショールームで公開された。 ただし、これはイレギュラーなケース。日本のメーカーやそのグループ会社が公式にレストアを引き受けているのは、初代NSX、R32〜R34のスカイラインGT-R、マツダの初代ロードスターぐらいに限られている。一方海外では、フェラーリクラシケやポルシェクラシックなど、メーカー自身が再生を手がける例が増えてきた。どちらも一定の年式より前のモデルはすべて対応してくれるようだ。 新車を作って売るのが本業のメーカーがなぜ、ここまで大規模にレストアを手がけるのか。理由のひとつはブランドイメージを高めることにつながるからだ。最近になって日本のメーカーもこのことに気づきつつあるけれど、それでもまだ新車を売ることに軸足が置かれている。旧いクルマが増税になるという自動車先進国では異例のルールに文句をつけるメーカーは皆無なわけだし……。 一方の欧州は、ブランドは文化なのだから新車を売るだけでは伝えきれない部分があると考えているのだろう。以前に取り上げたポルシェのエクスペリエンスセンターもそうだが、ブランドのなんたるかをわかっているのだ。 それとともに、ビジネスの幅が広がる点も見逃せない。クラシックフェラーリやポルシェのオーナーは、時間にもお金にも余裕がある人が多い。旧いクルマはパーツ確保も作業も時間がかかるけれど、その分の収益は得られる。

欧州ブランドのレストアサービスはパフォーマンスの一環でもある

 しかも、メーカー自らが行うということは、いわばお墨付きになるわけで、認定中古車同様に高めのプライスを掲げても納得する人が多いはずだ。 ただ、現在1971年式シトロエンGSを所有する自分は、メーカーが手がけるから素晴らしいという考えは持っていない。 国内外問わず、長年クラシックモデルの面倒を見てきたショップはいくつもあり、並外れた知識と技術を備えている。いくらメーカーの看板を掲げているからといって、最近生まれた組織がそれを上まわるとは断言できない。 さらに言えば、自分のGSは半世紀走り続けた年輪が随所に刻まれているけれど、それも魅力だと思っている。50歳の人が50歳なりの素敵な姿を目指すか、若い頃の姿を取り戻すかの違いだ。僕は人もクルマも無理に若作りしたいとは思わない。 たぶん欧州のプレミアムブランドのレストアサービスは、こうした事情を知らない富裕層を相手にしていると思う。旧いクルマは素敵、予算はいくらでもある、でも付き合い方がわからないという人に対して、すべて面倒を見ますというコンシェルジュ的な存在に感じられる。 おもてなしが得意であるはずの日本のメーカーがこの分野に進出するのは、前に書いた理由から難しい。でもメーカー純正のレストアサービスこそ最高というクルマ社会にはなってほしくない。これが1オーナーとしての気持ちだ。

  • クルマも文化な欧州ではブランドの価値を守るレストアプログラムが盛んだった
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  • クルマも文化な欧州ではブランドの価値を守るレストアプログラムが盛んだった
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