「オールシーズン」=「オールマイティ」タイヤじゃない! 凍結路面はNGという知っておくべき事実
この記事をまとめると
■非降雪地帯での降雪に備えてオールシーズンタイヤが浸透し始めた■スタッドレスタイヤとは異なりオールシーズンタイヤは凍結路面には対応できない■オールシーズンタイヤは雪道でも使えなくはないが盤石ではないことを知っておくべきだ
オールシーズンタイヤでは凍結路面には対応できない
冬でも雪の降る機会が少ない、非降雪地帯(ひこうせつちたい)とされる地域でも、年に一度くらいは雪が降り、数センチほど積もることがある。そこで、オールシーズンタイヤが充実しだし、次第に浸透しはじめている。 オールシーズンタイヤは、舗装路での走行性能をあまり犠牲にせず、万一雪が降った際にも慌てずに済む商品性を備える。雪が踏み固められた圧接路(あっせつろ)と呼ばれる路面状況では、発進でタイヤが空転する不自由がなく、ブレーキ性能もそれなりに確保されるので、年間を通じて安心感をもって利用できるタイヤだ。 ただし、冬用のスタッドレスタイヤとの違いは明らかにある。 まず、凍結路面への対応はできない。スタッドレスタイヤの開発目標は、凍結路面でのグリップと、雪道での登坂性能の確保にある。もちろん通常の雪上運転での全方位的な走行性能の確保が前提だが、降雪地域でのさまざまな路面状況に対処できることが大前提だ。したがって、氷上でも時速20km以下であれば、ブレーキを踏んで停止することができる。なかには、ブレーキを踏みながらハンドルを切っても曲がれる銘柄もある。 冬の道は千差万別で、雪国といえども雪道だけでなく、踏み固められた雪が凍ることもある。また、少し雪が融け、雪と水たまりが混ざったような路面状況もある。そうした路面が朝になると水分が凍って、氷の上を走らなければならないことも起こる。そこで氷上性能が不可欠なのだ。
オールシーズンタイヤが磐石ではないことを意識して運転すべき
同様の路面状況は平地だけでなく、坂道でも起こる。そのため、登坂性能は暮らしに欠かせない。急な坂道の途中で登れなくなったら、滑りやすい路面で後退せざるを得ず、後続車と接触する危険さえ起りえる。 以上のような厳しい冬の路面に対処したのがスタッドレスタイヤだ。その分、舗装路での走行性能や降雨時の排水性能に若干の弱点があるのは仕方がない。それでも、近年のスタッドレスタイヤは、そのまま高速道路の乾いた路面を走り続けることもできる。 さて、非降雪地域でも、じつは雪が降らなくても路面が凍結することはある。路面の夜露が、晴れ渡った夜の冷気にさらされて凍るのだ。そうした場面で、スタッドレスタイヤなら徐行すれば走り抜けられるが、オールシーズンタイヤは雪への対処しかできていないので、凍結路面ではグリップの保障はない。非降雪地域の人は、タイヤが滑るのは雪だと思い込みがちだが、逆に凍結路面の可能性は気温が数度まで下がると高まるのである。 圧雪路においてもスタッドレスタイヤほど高速での盤石なグリップの手ごたえはない。なんとなく進路が落ち着かないような走り方をする傾向にある。逆にそれがスピードの出し過ぎを抑える心理的効果にもなるが、スタッドレスタイヤのように万全とはいかないのがオールシーズンタイヤだ。雪道でも使えなくはないが、盤石ではないことを知っておく必要がある。