ことごとく排ガス規制で潰されてきた高性能車! それでもめげない開発者たちの戦いとは

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この記事をまとめると

■これまでに何度も排ガス規制によって多くの高性能車が生産終了に追い込まれた■その後、規制をクリアする技術の開発によって高性能車は復活を果たすことになる■カーボンニュートラルも内燃機関で実現できる技術が開発されることを期待したい

排ガス規制で日本車からDOHCエンジンが消えた

 現在、二酸化炭素の排出による地球の温暖化が、世界規模で大きなテーマとなっているが、自動車の排出ガスに含まれる有害成分、それによる大気汚染が本格的に懸念され始めたのは1970年のことだった。米上院議員マスキーが提唱した「マスキー法」で、この法案を受けた日本では、昭和50年、同51年、同53年の各規制値が取り決められ、自動車の排出ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の量を大きく減らすことが目的の規制だった。 当時、世界一厳しいと言われた昭和53年規制は、自動車メーカーの総力を傾注しても達成は困難と見られ、段階的に規制値を厳しくしていった昭和50年、同51年の規制値を前にして、有害成分の排出が多いモデルは順次生産中止に追い込まれていた。その代表格が、高性能の代名詞でもあったDOHCエンジン搭載車(必然的にウェーバー、ソレックスの双胴型キャプレター装着車)であるスカイラインGT-RやベレットGT-R、ギャランGTO-MRなどだった。 こうしたDOHCエンジン搭載車は、三元触媒の登場、電子制御燃料噴射装置の普及によって、1980年代初頭には息を吹き返すことに成功し、その後に続く高性能化競争の主役として市場で支持されていくことになる。それにしても、自国で決めた規制値とはいえ、日本メーカーが昭和53年規制をクリアしたことは奇跡に近く、ハードルの高い規制値を達成したことで、その後の日本の排出ガス規制は止まってしまうことになる。

技術の進化により高性能車は不死鳥の如く復活する

 次に本格的な排出ガス規制が実施されるのは平成12年規制で、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の排出量を昭和53年規制値から70%削減する厳しい内容だった。この規制は、平成12年10月1日以降に販売される新型車に適用され、それ以前に認可された現行販売車両に関しては、平成14年8月末までに対応しなければならない、という猶予期間が設けられていた。 このため、平成12年排出ガス規制値への対応に際し、高性能エンジンを積むスポーツモデルのいくつかが、生産・販売を中止する事態となっていた。R34型スカイラインGT-Rや80系スープラ、RX-7(FD3S)などだったが、昭和53年規制実施時とは事情が異なっていた。 昭和53年規制実施時は、メーカーに排ガス対応の技術がなく、有害成分を多く排出するスポーツモデルの生産中止はやむを得ない状況だったが、平成12規制に関しては、各メーカーとも相応の排ガス技術を持ち、その気になれば規制値の達成も可能な状況だった。しかし、これらのモデルはいずれも少数生産で、車種別に生じる排ガス対応コストを販売益から補填することが見越せず、また、モデルライフが寿命を迎えていたことなどから、対応しても採算が見込めないモデルとして生産の中止が決定した。 ちなみに、この規制が実施される平成12年(2000年)ごろの市場動向は、ファミリカーとしてミニバンが普及の度を深め、スポーツタイプのモデルがあまり売れない時代背景だった。それだけに、メーカーが在来の高性能スポーツモデルの生産・販売中止を決定したのも当然の成り行きだった。 実際、その後の流れは、日産GT-R、トヨタ・スープラやGRシリーズ、マツダのSKYACTIV技術を投入した一連のモデルを見れば、昭和53年規制から有害物質の排出を70%にまで削減した平成12年規制値も難なくクリアして現在にいたっていることがよく分かる。 こうした歴史的な流れを見ると、まったくの私見であり技術的な根拠もまったくないが、特殊な排気ガスのリサーキュレーションシステムが考案され、化石燃料を使う内燃機関でも二酸化炭素の排出を激減させることができるのではないか、と淡い希望を抱いてしまう。ガソリン機関を使う自動車の走りには、EVにはない、なんともいえない魅力が溢れているのだから……。

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