10万キロで「限界」なんて過去の話! 電動化時代のいま「エンジンの寿命」を探ったら内燃機関の偉大さがわかった
この記事をまとめると
■いまのクルマの技術はかなり進んでいる■しかしエンジンに寿命があることには変わりない■いまのクルマのエンジンはどれぐらい持つのかについて解説する
アメリカの通販番組では信じがたいパフォーマンスも!
「ほらほら皆さん、見てくださいよ! 信じられないでしょ! 凄いでしょこのエンジン!」。 20年ほど前から、アメリカのテレビの通販番組に登場するようになった、エンジン添加剤のワンシーンだ。 なにがどう凄いかというと、なんとエンジンオイルを全部抜いた状態で、エンジン添加剤を入れただけでクルマのエンジンをブンブン回しているのだ。いかにも、アメリカらしいエンターテインメントで、もちろん「絶対に真似はしないでください」という但し書きがしっかり画面に出ている。とはいえ、こうした状態で、しばらくの間はエンジンはブローせずに回り続けていることで、添加剤が凄いというより「エンジンって凄い!」と思う人が多いはずだ。 では、ちゃんとオイルや水をしっかり管理した状態で、クルマのエンジンはどのくらいの距離まで持つのだろうか? そもそもエンジンとは燃料と空気が混ざった気体が燃焼し、そこで生まれたエネルギーがピストン、コネクティングロッド、そしてクランクシャフトに伝達されていくという機械部品の集合体だ。部品は金属やゴムなどで構成されているので、それらは直接触れ合うことで摩耗していく。一定以上の摩耗、またはガタつきが出れば、それを調整したり、部品を交換する。補機類や電装部品も一定の期間で交換する必要も出てくる。
「20万kmまでは普通に使える」という開発者も多数
こうした各部のメインテナンスをしっかり行っていれば、エンジンの寿命は一般的なイメージよりはかなり長い。とくに、働くクルマであるトラックやバス、またはタクシーなど商用車の場合、数十万kmに渡って丁寧に使うのは当然のことだ。 それが乗用車になると、なんとなく状況が変わってくる。 いまでも日本ではメーターが10万kmの大台を越えると、「こんなに走ったんだから、エンジンに無理がかかっていて、そろそろ限界かも」という心配をする人が少なくないのではないだろうか。 中古車価格も、10万kmオーバー車の相場はどうしても下がってしまう。むろん、長年乗り続けたり、旧型を切望する、ランクル、ジムニー、ロードスターなどは例外的に10万kmオーバーでも価値が高いことがある。 一方、アメリカの場合、一般的に日常でのクルマ利用頻度が日本より多いので、10万マイル(16万km)を越えても、アメリカ市場の主流であるピックアップトラックやSUVの残価はけっこう高い。メーカーのパワートレイン(エンジンやミッション)の補償も、10万マイルが基準になる場合も増えてきた。 自動車メーカーのエンジン開発者らの声を聞くと「いまのクルマは、20万kmまでは普通に使えるのは、しごく当然のことだ」という人が多い。 世の中、EVシフトが進んできたが、いまこそエンジンの偉大さを見直し、大切に使っていきたいと思う。