ズボラ派は購入厳禁! 買ったあとが地獄の「洗車」が凄まじく面倒くさいクルマとは
この記事をまとめると
■洗車のしやすさはクルマによって大きく異なる■ボックス型ミニバンなどは洗車が面倒くさいクルマの筆頭格■洗車の手間がかかるクルマの特徴について解説する
人気のスーパーハイト軽も高さがネックに
80年代の洗車ブームを盛り上げ、その後も洗車関連のビデオ、書籍、TV、ラジオ出演を重ねてきた筆者だが、昔に比べ、クルマの洗車がどんどん大変になってきたと痛感している。じつは筆者はモータージャーナリストだから、自動車メーカーからさまざまなクルマを借り出し、試乗しているのだが、返却の際の洗車は、基本的に自宅での入念な手洗い洗車である。ボディに優しいのはもちろんだが、洗車のしやすさの可否も検証できるからだ。 で、洗車が面倒くさいクルマの筆頭は、ボックス型ミニバンであることは、誰でも想像がつくはずだ。全高が洗車する人の身長よりはるかに高い1900mm以上だったりすると、脚立などの道具が不可欠。それに登ったとしても、ルーフの中央には手が届かないことも多いのだ。筆者の場合、ボックス型ミニバンのルーフは、柄の長い洗車用ソフトブラシを使って、ルーフ全体を洗うようにしているのだが、Lクラスミニバンともなればルーフの面積がハンパなく大きいため、それはそれで疲れるし、面倒だ。 しかも、ボックス型ミニバンはボディサイドの面積も、縦、横に大きい。洗車にセダンタイプの倍の時間を要することになる。出かける前にサッと洗車して……というわけにはいかない。 また、小柄な女性がスーパーハイト系軽自動車を手洗いする場合も、やはりルーフの高さがネックになる。たとえばホンダN-BOX1790mm、スズキ・スペーシア1785mm、ダイハツ・タント1755mmと、けっこう高く、ルーフの面積も大きい。比較的ルーフが低く、洗車がしやすい両側スライドドアモデルのスズキ・ワゴンRスマイルでさえ1695mmだ。 ちなみに、ハイルーフ車の洗車対策としてアルミ製の脚立などを使う場合は、プロの洗車の現場でもそうしているように、ボディに当たりそうな部分にクッション材を貼っておくこと。そうしないと、脚立とボディが接触した時、キズが付いてしまう。筆者の場合は、蓋付きでその上に乗れる踏み台兼用のバケツ(イノマタ化学のかしこいバケツなど)を使っている。 しかし、ハイルーフ車でなくても、洗車が大変なクルマがある。それは、主にフロントグリルまわりのデザインが原因だ。たとえば、ホンダ・フィットのように、フロントグリルまわりに凸凹や横バーが少ない、ペロリとしたデザインのクルマは洗車がかなりラクなのに対して、ミニバンのなかでもトヨタ・ヴェルファイア、そして最新のトヨタ・ヴォクシーは、兄弟車のアルファード、ノアに対してフロントグリルまわりのデザインが複雑で横バーも多いため、タオルやスポンジでの洗車では細部まで洗い切れない。 きっちり洗うには、ブラシや専用にカットしたスポンジなどが必要になってくる。その上で、手間もかかるというわけだ。言い方を変えれば、横バーグリルじゃないほうのアルファード、ノアのほうが、フロントグリルまわりの洗車は比較的しやすい。
マットカラーはかなり手間がかかる
SUVではトヨタ・ランドクルーザーも、フロントまわりは横バーだらけ。悪路を走りまくったあとの洗車は、巨大なボディでもあり、大変だ。いずれにしても、グリルまわりは機械洗車をするにしても、機械洗車のスポンジブラシが奥まで届かないため、完全にきれいにはなりにくく、手洗いでのプレ洗車が不可欠となる。 なお、筆者はそうしたボディ細部用に、さまざまなサイズ、用途のブラシを用意している。 そんなボックス型ミニバンやスーパーハイト系軽自動車、背の高いSUV以上に洗車がやっかいなのが、密かに流行っているマットカラーのボディだ。クリア塗装が施されていないため、つや消しの精悍さが得られる反面、キズやシミが付着しやすく、コンパウンドなどの磨き材を使えないため、落とすことは不可能に近く、再塗装するしかないと言われている。しかも、ワックスを掛けると艶が出てしまうため、ワックスがけも不可とややこしい。 もちろん手洗い洗車限定だが、自分で洗うにしても、水洗いが基本とされる。カーシャンプーはメーカーが推奨する中性のクリーナー成分なしのもの限定だ。クリーナー成分が入っていると、これまたマット塗装の大敵である艶が出てしまう可能性があるからだ。また、スポンジなどでゴシゴシこするのもNG。つや消し塗装部分が剥げて、ムラムラに艶が出てしまうこともあるからやっかい。マット塗装のボディを保護するには、高額になるが、難易度の高いマッド塗装専用コーティングを業者にしてもらうしかない。施工価格はMクラスで15万円~(新車時は多少、安い)だ。素人のコーティングは絶対避けるべきである。なお、マット塗装車は屋外駐車もボディに厳しい。屋内駐車場での保管が基本だろう。 ボディ以外にも、洗車が凄まじく面倒くさくなる部分がある。それが、もっとも汚れが付着しやすいホイールだ。70年代、筆者はいすゞ117クーペにボラーニのワイヤーホイールを履いていたのだが、ワイヤーが何本もあって、奥行きもあり、洗車は大苦労。1本洗うのに15分以上はかけていた記憶がある(まだ洗車素人でもあったため)。 現在、クラシックカー以外でワイヤーホイールを履いているクルマは皆無だと思うが、スポークホイールのスポークの数が多いクルマも同じようなホイール洗いの悩みを抱えることになる。 スポークの数がめっちゃ多いのは、例えば、トヨタMIRAI Zグレードの20インチホイール、オーテックのセレナ用ホイール、メルセデスベンツEQAのアルミホイールなどである。言い方を変えれば、ホイールの奥の見える範囲が大きいほど、洗車のしやすいホイールということになる。