限定車の台数に対して何倍もの購入希望が殺到! それでも販売台数を「増やせない」事情とは
この記事をまとめると
■台数限定車を多く作るわけにはいかない理由を解説■過去には売り切れた後も増産したケースがある■人気だった場合は第2弾と続く場合もあるので要チェックだ
「限定車っていっぱい作れないの?」という疑問に切り込む
クルマ界隈では定期的にリリースされる「限定車」。特にスポーツモデルの限定車は、カタロググレードにないスペシャルな仕様となっていることも珍しくなく、注文が殺到してあっという間に完売となるケースも珍しくない。 そのため最近では早い者勝ちではなく、注文期間を設けてその期間に申し込んだユーザーを対象に抽選を実施して、当選したユーザーに商談権を与えるという方法が一般的となりつつある。 そんな申込者のなかには残念ながら転売を狙ったいわゆる“転売ヤー”も紛れているが、ユーザーの多くはその性能や心意気にほれ込んだ熱心なファンであり、少々値段が張るとしても手に入れたいと思う人がほとんどとなっている。 それでは限定販売ではなく、申し込んだユーザー全員が購入できるようにしたり、追加販売すればもっと売れるのではないかと考えたことはないだろうか。 確かに過去には世界ラリー選手権(WRC)に参戦するためのホモロゲーションを取得するために、その最低ライン(当時)となる2500台限定で販売した初代ランサーエボリューションなどは、販売して即2500台が完売し、何度か追加販売をして最終的には7500台以上を販売したという記録もある。 ただ、ランサーエボリューションはWRCだけでなく、日本国内のラリー競技に出場するユーザーのベース車としても選ばれていたということもあり、そういったユーザーへ行き届かないのは“ラリーの三菱”としてもよろしくないということもあったのかもしれない。
最近はホモロゲ取得よりもプレミア性を重視
一方、近年リリースされる限定車の多くはホモロゲーションの取得に重きを置いたものではなく、スペシャルな装備を持ったいわばファン感謝型のモデルが多く、決して利益を追求したモデルではないことがほとんどとなっている。 記憶に新しいところでは2016年にオーテックジャパンの30周年を記念して30台限定でリリースされた「マーチボレロA30」などは、330万円(税抜)という価格はスペシャルな部品代のみが乗せられていると言われており、ボディワークやスペシャルパーツを組み込む工賃などは度外視した価格と言われていた。 つまり、いくら売れたとしてもメーカーに利益はほとんど入らないということになり、台数を限定しなければ会社が傾いてしまう可能性もあるため、スペシャルなモデルの多くは台数限定という形をとっていると言えるだろう。 ただ中には市場調査の意味も込めた限定車や、あまりの反響の大きさに第2弾が登場した限定車も存在しているため、残念ながら入手できなかった人もその可能性にかけてみる価値はあるかもしれない。