現代のクルマ好きには暗号レベル! オッサン御用達の自動車用語「死語」の世界
この記事をまとめると
■かつてはクルマ好きがこぞって使っていた自動車用語を紹介■ブームに関する用語はそのブームが去るとともに徐々に使われなくなった■メカニズムや装備もそれらがなくなると忘却の彼方へ
時代が時代ならコンプライアンス的にNGだったかも
「言葉は生き物」といわれる通り、かつてはクルマ好きの「ナウなヤングにバカウケ」だった自動車用語が、いまではすっかり耳にしないことも……。というわけで、クルマ好きの「死語の世界」にご招待!?
・カーキチ/エンスー
四六時中、クルマのことばかり考えているモーレツなクルマ好きは、かつて「カーキチ」と呼ばれた。カーキチとは「カー・キ●ガイ」の略。もちろん差別用語ではなく、どちらかといえば褒め言葉に近い!? バブルの頃は、「エンスー」というフレーズも流行。エンスーとは、「エンスージアスト(enthusiast)」の略で、「熱心な人」「熱狂的な支持者」という意味。 クルマ好き全般というより、旧車系や個性的なヨーロッパ車などの愛好者で、ウンチクに詳しく、金まわりのいいリッチ系のクルマ好きというイメージ。 同様の意味の「マニア」や「マニアック」はいまでも使われている。
・どっかんターボ
1980年代の国産ターボの初期の頃、まだターボの制御技術も未熟で、タービンのサイズも適切ではなく、ターボラグが大きく、負圧の間はモッサリで、正圧に切り替わった途端にドカーンとトルクが盛り上がり、一気に加速しはじめるクルマがあり、それらのターボエンジンの特性を「どっかんターボ」と呼んでいた。 日産の430セドリック/グロリアやR30スカイラインのターボ、Y31シーマなどがその代表。
・ハイメカツインカム
ハイメカツインカムは、吸気側プーリーをベルトで駆動し、排気側カムは吸気側ギヤで駆動する、カムシャフト間シザーズギヤ駆動機構を採用したトヨタのDOHCエンジンの総称。SOHC並の省スペース、軽量ヘッドで、バルブ挟み角が狭くなり燃焼室をコンパクトにできることから常用回転域のトルクに優れた画期的なDOHCエンジンだった。 1986年の3S-FEを皮切りに、V6の1VZ-FE、5A-FEと続いた。1987年、カムリに搭載されたトヨタ初のV6エンジン、1VZ-FEは直4サイズに収まる、世界初のFF車搭載用V6 DOHC 4バルブエンジンだった。 こうした実用型ツインカムに対して、4A-Gや3S-Gなどは、スポーツツインカムと呼ばれた。
ブームや新技術として誕生して消えた自動車用語たち
・デートカー/ハイソカー/RV
1980年代後半、クルマがあれば女にもてるといわれた時代があり、とくに2代目ソアラや3代目プレリュード、S13シルビアの人気が高く、これらのクルマはデートカーと呼ばれた。 それより少し前、初代ソアラが「スーパーホワイト」という画期的なボディカラーで登場し、その後、マークII、チェイサー、クレスタの三兄弟にも「スーパーホワイト」を採用し大ヒット。これらトヨタの白い高級車(?)を中心に、「ハイソカー」ブームが起きる。ハイソカーとはハイソサエティーカーの略。 1990年代に入ると、このハイソカーブームに変わって、パジェロを代表にしたRVブームが訪れる。RVとは「レクリエーショナル・ビークル」の略で、多目的レジャー車といった意味で使われていた。 RVはやがて、ステーションワゴン、ミニバン、SUVと細分化され、自然消滅……。
・ライトバン
ライトバンとは簡単にいえばワゴンの商業車版のこと。1ナンバーや4ナンバーがそれに相当し、広義では屋根がある小型貨物車両全般のことを指す。トヨタ・プロボックスや日産AD、(プロボックスのOEMの)マツダ・ファミリアバンなどがその代表。 車種も減ったせいか、「ライトバン」も死語になりつつある。
・グローブボックス
助手席前の収納スペースは、いまでもグローブボックスと言われているが、もともとは昔のクルマを始動させるためには必需品だった「クランク棒」を回すために使用する革グローブを収納するスペースだったことがその名前の由来とされている(諸説あり)。 今日では、「野球のグローブの形をして、車検証をキャッチして収納するスペース」と誤解している人もいるらしい。
・シガーライター
シガーライターとは、「電熱式のタバコ着火装置」のこと。 かつてはほぼすべてのクルマに標準装備されていたが、喫煙者人口の激減とともにフェードアウトし、いまはアクセサリーソケットという名称の給電ソケットとして重宝されている。