クラウンにスカイライン! 売れなくなった伝統車種の「名前」を意地でも残す「合理的な理由」とは

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この記事をまとめると

■各メーカーに長く続いている伝統車種がある■それらは必ずしもいまでも売れているとは言えない■クラウンとスカイラインを挙げ、存続させる理由について解説する

新興メーカーとの差別化に伝統的な車名は有効

「スカイライン生産終了」という報道があれば、日産はすぐさま「スカイラインを諦めない」と反応したのは2021年6月のことだった。そして2022年7月にはトヨタがクラウンを、セダンを含む4つのバリエーションに生まれ変わらせることを発表した。 いずれも、もともとは日本市場専用モデルであり、その全盛期を思うと近年の販売台数は非常に少なく、“あきらめて”もいいのではないかと思えるような状況なのも事実。 なぜ、日産はスカイラインに、トヨタはクラウンを存続させることにこだわるのだろうか。ブランディング、経営戦略の視点から考えてみたい。 この2台に共通するのは、それぞれにとって伝統ある名前だということだ。 スカイラインという名前のモデルが誕生したのは1957年(当時はプリンス自動車のモデルだった)であり、トヨペット・クラウンとして初代モデルが誕生したのは1955年。現在の日産ラインアップにおいてスカイラインというのは最古参の名前であり、トヨタにおいてもクラウンはランドクルーザー(1954年)に次ぐ長寿モデル名となっている。 しかも、スカイライン、クラウンとも一世を風靡したモデルである。昨今の販売状況に対して、大きなネームバリューを持っているといえる。自動車メーカーにおいて伝統ある車名のネームバリューというのは大きなブランド価値であり、企業価値でもある。 自動車を単なる移動の道具として考えると、スタイリングや性能で差別化する必要がない。しかし、もし差別化せずにどのメーカーの商品を買っても同じ体験・同じ価値であれば、自動車という商品全体がコモディティ化していき、価格競争だけが残る世界となる。 そうした消耗戦に陥らないためには、各社が個性的な商品をリリースして、差別化しつづけるしかない。自動車メーカーの経営戦略にとって差別化は絶対的な要素といえる。 とくに最近ではクルマの電動化に伴って多くの新興メーカーが登場している。そこで古くからあるメーカーが差別化するための絶対的な武器となるのがヘリテージ(歴史や伝統)である。 そうであれば、自社にとってヘリテージとなっている長寿モデル名を捨てるという判断はありえない。クラウンがSUVテイストになって生き残りをかけるのには、クラウンという名前を“守り続ける”ことに価値があるからだ。一度、途絶えてしまったらブランド価値として利用することが難しくなる。

販売実績とネームバリューの乖離というジレンマ

 主にブランディング的な視点でいえば、中身が変わろうとも長寿モデル名を残すことには意味があるといえる。 また長寿モデルというのは、なまじネームバリューが大きいだけに生産終了をしたときのネガティブイメージが実際よりも大きくなりがちという面も無視できないだろう。 利益の少ないであろう車種を整理することは経営的にはプラスのはずだが、もし「トヨタがクラウンを廃止」などという報道が出れば、一般には「トヨタはクラウンを維持できないくらい経営的に追い込まれている」といったイメージを持たれるだろう。 それは日産においても同様だ。スカイラインという貴重なブランド価値を守ることができないと市場に思われることは企業イメージを毀損してしまうことにつながるだろう。認知度が高いモデルの取り扱いというのは非常に難しいのだ。 車名のネームバリュー(ブランド価値)が高いほど、合理的な経営判断が世間に理解されない可能性が高い。それが株価の下落につながることはないだろうが、B to Cビジネス(一般消費者を対象のビジネス)である限り、ブランドイメージが悪化するのは得策ではない。そしてブランド価値が大きく下がれば、結果として株価にも悪影響を及ぼしてしまうかもしれない。株価は企業価値とイコールであり、株価が下がることは経営の失敗といえる。 自動車メーカーに限らず、良くも悪くも企業価値に影響を与えるであろうロングセラー商品の取り扱いというのは、ブランディング・経営戦略の両面から難問といえる。 ただし、伝統ある名前のモデルを、ただ維持するだけでは、問題の先送りに過ぎない。トヨタはクラウンで、グローバルなトヨタのフラッグシップ・シリーズとしてファミリー化するという攻めの判断を見せた。はたして、日産はスカイラインという価値ある名前をどのように活用するのだろうか。

  • そこまで売れていない伝統車種の継続にメーカーがこだわる理由
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