F1やWRCでも見られない「タイヤ戦争」! 4社が想像を絶するガチバトルを繰り広げる「スーパーGT」の中身をヨコハマゴムに直撃

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この記事をまとめると

■スーパーGTはタイヤのマルチメイクを採用■ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、ミシュランが参入し、開発競争を展開している■スーパーGTに使用されるタイヤについて開発陣にインタビューを行った

タイヤのテストができる回数はレギュレーションで決められている

 F1およびWRCのピレリを筆頭に、国内外の多くのカテゴリーでタイヤのワンメイクコントロールが行われるなか、スーパーGTではタイヤのマルチメイクが採用されている。現在、GT500クラス、GT300クラスの両クラスともに、ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、ミシュランと4社が参入し、激しい開発競争を展開。当然、予選、決勝ともにタイヤの特性がリザルトを左右するシーンがみられるが、果たしてスーパーGTに使用されているレーシングタイヤはどのような特徴があるのか? GT500クラスとGT300クラスで何か違いがあるのか? というわけで、ここではスーパーGTに参戦するほか、スーパー・フォーミュラにもオフィシャルサプライヤーとしてタイヤを供給するヨコハマを直撃。第4戦の舞台、富士スピードウェイの会場でMST開発部の清水倫生氏とMST開発部の技術開発1グループリーダーの白石貴之氏にスーパーGTにおけるタイヤ開発の状況を伺ってきた。──先程、タイヤサービスを見せて頂いたんですけど、タイヤがいっぱいありましたね? そもそも1レースで1チームが使えるタイヤに本数の制限はあるんでしょうか? 白石氏:ありますよ。通常の300kmのレースはドライで6セット、ウエットが7セット。今回の富士は450kmレースなので、ドライ、ウェットタイヤともに1セットがプラスされます。──なるほど。使用できる本数に供給するチーム数をかければタイヤの本数になりそうですね。ところで、ヨコハマはGT500クラスに対して「WedsSport ADVAN GR Supra」と「リアライズコーポレーションADVAN Z」の2台、GT300クラスには15台にタイヤを供給していますが、そもそもGT500クラスとGT300クラスでタイヤは違うのでしょうか? 白石氏:見た目は丸くて黒いものですが、違うタイヤで共通の部分は少ないです。というのもGT500クラスとGT300クラスでクルマが違いますよね。GT500は車両重量が軽くてスピードも速いし、ダウンフォースもGT500のほうが高い。タイヤとしても普段は軽くて、ダウンフォースがかかって重くなった時にも対応できるようにしないといけないので、GT500のタイヤは広い荷重レンジをカバーできるようなタイヤになっています。──GT300クラスのタイヤをGT500のマシンに使ってしまうと耐えられないんですね。ところでGT500の2台、GRスープラとZは同じタイヤなんでしょうか? 白石氏:本当は同じタイヤが理想なんですけど車種やチームのセッティングも違うので、タイヤもそれに合わせて開発しています。──GT300クラスも車種ごとに違うんでしょうか? 白石氏:GT300は「GT3」と「JAF-GT(注:GT300)」、「マザーシャーシ(注:GT300MC)といったように、まずは車両の形式によってタイヤも変わってきますし、FRやミッドシップなど、そういったレイアウトでも変わってきます。あとはタイヤサイズも違います。GT-3の日産GT-R GT3やJAF-GT、マザーシャーシなどは4輪ともに330/710/R18で同じサイズなんですけど、他のGT3車両は前後でタイヤサイズが変わってきます。──GT500とGT300でタイヤは異なるし、同じクラスでも細分化されているんですね。ところで、ヨコハマはスーパー・フォーミュラにもタイヤを供給していますが、スーパー・フォーミュラもやっぱり違うタイヤなんですよね? 白石氏:まったく違います。スーパー・フォーミュラはスペックが決まっていて、季節的には暑い時期から寒い時期まで、サーキットについてもタイヤの負荷のかかる鈴鹿から、負荷の少ない岡山まで、どんなレンジでも対応できるタイヤを目指して開発しています。──たしか、スーパー・フォーミュラはタイヤの種類もドライとウエットで各1種類でしたよね。スーパーGTはドライだけで何種類もあるんでしょうか? 白石氏:基本的に1レースでドライは6セットしか使えないので、大雑把に言えばソフト側とハード側で1種類ずつ持ち込むケースが多いです。──レースに持ち込むタイヤは事前テストの結果で決めるんでしょうか? 白石氏:シーズン中のテストの回数はレギュレーションで決められており、今年の当社のケースでは4回になるのですが、それに対してレースは8戦あります。テストを実施した場合はその結果でスペックを決める場合もあるし、テストができない場合は、他のテストやレースの結果をみながらスペックを決めています。──各ラウンドに違うタイヤを投入していると思いますが、だいたい準備期間はどれくらいなんでしょうか? 白石氏:タイヤは各レースでスペックは違います。準備期間は1カ月ぐらいです。

マルチメイクにより世界トップレベルのメーカーと戦うことができる

──予選のあとに決勝のスタート時に使用するタイヤをポールシッターが抽選で決めていますが、あれはどういう意味があるんでしょうか? 白石氏:予選のQ1を勝ち残ってQ2に進みますよね。チームによってQ1とQ2で同じタイヤを使っている場合もあるし、それぞれ違うタイヤを使うこともあります。抽選でQ1かQ2のスタートタイヤを決めていますが、Q1とQ2で違うタイヤを使用した場合、抽選の結果で決勝の戦略は変わってきます。──なるほど。ソフト傾向にあるタイヤをスタートで使用しなければならなくなった場合、そのチームはあまりピットストップをひっぱることができないわけですね。おそらく決勝の気温や路面温度とかも影響してくると思うんですが、レーシングタイヤの適応範囲は何度ぐらいまでなんでしょうか? 白石氏:オフシーズンにテストをすることがあるんですけれど、レンジが違うタイヤは、いくら走行を重ねても温まってこないので、ドライバーは「氷の上を走っているみたい」と表現しています。だから、路面温度が何度から何度までとはっきりは言えないんですけど、レンジを外すとかなり影響が出てきます。レースでも暖まりが不十分だとコースアウトするシーンもありますが、それぐらいシビアだと思います。 清水氏:レースの場合、タイムを競いますよね。レンジを外すとまったく走れない……というわけではないんですけど、我々が狙っていたピークから外れるので、どうしてもタイムが落ちてしまう。とくにスーパーGTのタイヤはその時の季節やコースに合わせて開発しているのでシビアです。ちなみに、一般のタイヤはあらゆる温度で対応できるように作っていますが、実際は最適な温度があります。──なるほど。ちなみに一般のタイヤは2万kmぐらいが交換の目安だと思いますが、スーパーGTのタイヤは何kmぐらい走れるんでしょうか? 白石氏:どれくらいのタイムで走ろうとするかですよね。タイムを気にせずにサーキットでただ周回を重ねるだけなら、かなりの距離は走行できると思いますが、限界付近のタイムで走り続けるためには、300kmレースで1回はタイヤ交換をしないと極端にパフォーマンスが落ちてきます。──たしか、56号車のリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rがタイヤ無交換で走りきったことがあったと思いますが、300kmレースなら走りきれなくもない? 白石氏:昨年の第7戦のもてぎですね。あれはギリギリだったと思います。 清水氏:走りきれたとしても、距離を重ねるとタイムは落ちていく。タイヤを交換するとその分、ピット作業でタイムはロスしますが、その後のラップタイムを速く走行できる。そのあたりは、チームが勝つためにどういう戦略を取るかによって変わってきます。──ちなみにスーパーGTのほか、全日本ラリー選手権や全日本ダートトライアル選手権、全日本ジムカーナ選手権もタイヤはコンペティションですが、このマルチメイクはタイヤメーカーにとって何かメリットがあるんでしょうか? 白石氏:最大のメリットは、世界のトップレベルのタイヤメーカーと戦えることです。戦うことで学ぶことが多い。勝つために技術開発をしていくし、その経験を社内にフィードバックできるところが魅力です。──逆にデメリットはありますか? 白石氏:スーパーGTに関して言えば、常に技術開発して新しいものを投入していかないと、ライバルメーカーに遅れてしまうので、マンパワーに関してもコストにしてもリソースが必要になる。それに、どうしてもムダになってくるタイヤが出てくるので、そのあたりが気になる部分ですね。──ムダになるタイヤがあるんですか? 白石氏:各ラウンドでウエットタイヤを持ってきていますが、雨が降らないと使用しませんからね。次のレースの使用条件が変わらなければ、そのまま持ち越すこともありますが、夏場のレースに合わせて作ったウエットタイヤを冬場に使うことはないので、どうしてもムダになることがあります。──スーパー・フォーミュラのようにワンメイクレースのメリットは何かありますか? 白石氏:スペックを決めてしまえば、1シーズンの使用本数が計算できるので効率的な生産をすることができます。それに1つのスペックでシーズンを通してあらゆるサーキットに対応できるようにしなければならないので、コンペティションとは違った部分で技術開発ができるところもメリットです。──逆にワンメイクのデメリットは? 白石氏:チームによって使い方が多岐に渡るので、それを考慮した開発が必要になってきますね。あとはどうしても、スピードを求めていく部分が難しいです。──ところで、タイヤサービスに多くのスタッフがいましたが、スーパーGTの場合、だいたい何名が現地に来ているんでしょうか? 清水氏:全部で35名ぐらいですね。──あとスーパーGTのタイヤですが、1本あたり、いくらぐらいするんでしょうか? 白石氏:スーパーGTのタイヤは一般に市販していないですからね。同じサイズで市販しているスリックタイヤがあるんですけど、それが1セットで25万円です。──なるほど。じゃあ、スーパーGTのタイヤはもっと高額になりそうですね。 以上、スーパーGTのタイヤ競争を中心に話を聞いてきたが、このようにタイヤメーカーは各ラウンドに合わせてピンポイントでタイヤを開発。レース展開を左右する重要なファクターとなるだけに、スーパーGTではマシンだけでなく、タイヤにスポットを当てて観戦しても面白いだろう。 なお、第4戦の富士の予選ではWedsSport ADVAN GR SupraがGT500クラスのポールポジションを獲得したほか、リアライズコーポレーションADVAN Zが予選2位につけるなどヨコハマ勢がフロントロウを独占。しかし、翌日の決勝では予選3位のKeePer TOM’S GR Supraが逆転で勝利を飾るほか、予選で7位に出遅れたカルソニックIMPUL Zが2位入賞を果たすなどブリヂストン勢が長丁場のレースで躍進した。リアライズコーポレーションADVAN Zがヨコハマ勢の最上位となる3位で表彰台を獲得し、MOTUL AUYECH Zがミシュラン勢の最上位となる8位、Modulo NSX-GTがダンロップ勢の最上位となる11位で完走を果たした。 一方、GT300クラスではブリヂストン勢のLEON PYRAMID AMGが予選でトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得。決勝では予選2位につけていたダンロップ勢のSUBARU BRZ R&D SPORTが逆転で優勝している。

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